このミステリーがすごい!2012年版 「このミステリーがすごい!」編集部 |
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作家 | 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 |
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出版日 | 2011年12月 |
平均点 | 4.40点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 4点 | Tetchy | |
(2012/03/07 22:21登録) 国内・海外ともども出版当初から話題になっていた作品が1位を獲得した。国内が高野和明の『ジェノサイド』、海外が新人デイヴィッド・ゴードンの『二流小説家』。これらはおおむね予想通りだったといっていいだろう。両者とも似ているのは小説読みならば読書の愉悦に浸ってしまうその構成の妙にあるだろう。形は違うものの、一つのジャンルに留まらず、複数のジャンルに跨った内容を包含しており、1冊で色んな味わいを楽しめるところとページを繰るのを止められない展開の面白さが特徴的だ。 また正直『ユリゴコロ』がこれほど上位に来るとは意外だった。しかし大沢の新宿鮫シリーズは強い。シリーズ10作目にして第4位という高位置。クオリティの高さが窺える。 翻って海外はとにかく新装開店したポケミスの躍進が光る。上位20位になんと5作がランクイン。このうち3作が初紹介作家の作品。月1冊のシリーズのうち約半分がランクインしたことになる。ポケミスがこれほどまでランキングを賑やかした年が今まであっただろうか? またランクインしたミステリ作品が英米以外の作品がますます増えてきた。もはやミステリ大国と化してきたスウェーデンの他にドイツ、デンマークと続き、いずれも評価が高い。ますます海外ミステリの好況ぶりに目が離せない時代にあるのに、現実の売り上げはますます下がる一方というのが哀しい。もっと海外ミステリを盛り上げていこうではないか! そういった出版業界の旗振り役を『このミス』は務めなければならないのにもかかわらず、この内容の薄さは一体どうしたことか?昨年非難したその年のミステリーシーンの傾向とお勧めの新人作家を紹介するコラムは復活したものの逆に名物の座談会が無くなってしまった。もっとミステリを掘り下げて熱く語ることで作品の魅力が伝わるのに、それを辞めてしまうとは本末転倒である。ワンコインという価格にこだわって内容と紙の質がどんどん悪くなっていっている。値段挙げてもいいからもっと読ませる紙面づくりに努めてくれい。 |
No.4 | 5点 | 臣 | |
(2012/01/10 10:12登録) 読書傾向を考えれば本書より祭典サイトのほうが役立つことはまちがいないが、500円とお手ごろだし、雑多なミステリーが紹介されているし、なんといてっても最新情報を仕入れるには最適なので、結局今年も購入しました。 長年続いている隠し玉や我が社の隠し玉、私のベスト6などは、本家の風格が感じられました。でも新たな注目点はなかったですね。 海外ランキングで目を引いたのは、新聞でも書評を読んだ1位の『二流小説家』。ちょっと気になったのが店頭でちらっと見た『犯罪』。翻訳モノはたまにしか読まないので、これらに手を出すのはいつになるかわかりませんが。 国内ランキングで気になったのは、いずれも未読だが、1位の『ジェノサイド』と、22位の『マスカレード・ホテル』。よく行く書店のほとんどで、同時期に新刊コーナーに平積みで並んでいたが、しばらくすると『マスカレード』だけが後方へ追いやられてしまっていた。この現象が『このミス』の順位を物語っているようです。一時期はハードカバーを買う気満々だったが、順位が発表されてしまうと、ランキングが高くても低くてもやめとこうっていう気にもなりますね。なお、文春では『マスカレード』ももっと上位でした。 |
No.3 | 5点 | HORNET | |
(2012/01/04 19:48登録) 私はAmazonやBOOKOFFで中古本を買ったり、図書館を利用したりと、書店で最新刊を購入することはめったにないので、今後読む本の参考になっている。ランキングは、他の方も書いているように独自色がなくなってきている=つまり、かなり一般的な人気投票になってきている感は確かにあるが、まぁ周りの人が多く読む本も読みたい庶民なので、個人的にはさほど不満はない。 「私のベスト6」が結構好きで、とても個性的なベスト6を選んでいるものに興味を引かれる。巻末の読みきり短編も、暇つぶしに読むにしてもなかなか質の高いものだった。 |
No.2 | 4点 | kanamori | |
(2011/12/24 18:51登録) 今年は立ち読みで済まそうかな、と思って行った近所の書店では、なんとビニールに密封されて店頭に置かれていた。「このミス」まさかのビニ本化状態。で、やむなく購入。 ランキング入り作品は年々独自色が薄れているけれど、今年は特に顕著で、ほぼ文春と変わらなくなってしまった(ベスト3は国内、海外ともまったく同じ)。来年は一般投票を取り入れるらしいが、そうすると今度は昔の文春のようなランキングになったりして。 企画のほうは、”我が社の隠し玉”ぐらいしか興味が湧かない。論創社の「ウィザーズ&マローン裁判」に期待したいが、それより論創社さん、去年の隠し玉で予告した、クェンティンやクリスピンはどうしたのでしょう? ”このミス大賞作家極上ミステリー特別書き下ろし!”と称して、今年も宝島社お抱え作家の短編が4編収録されているのだけれど、今回初めて読まさせていただいた。 いずれも思っていた以上に筆が立っており(ハードルを低く設定したこともあり)、小粒だけど「クリスマス・テロ」や「YESか脳か」なんか結構面白い。ミステリというよりエンタメ小説といった感じでしたが。 |
No.1 | 4点 | mini | |
(2011/12/12 10:03登録) 昨年に引き続いてランクする作品群の質は豊作と言われるのだが、『このミス』自体は年々ショボくなっていくような、最近は500円でも高く感じるよ 昨年の『このミス』では各社横並びに北欧系旋風かと思ったが、今年のランキング見るとちょっと拍子抜けか ランキングで興味魅かれた作品は2位のフォン・シーラッハ「犯罪」、創元だけど文庫じゃなくて単行本だが文庫化予定あるのかな? ドキュメンタリー風との事だが、何年か前の1位「あなたに不利な証拠として」のノワール版みたいな奴なんだろうか? ウィンズロウ「夜明けのパトロール」は10位以内に入らなかったが、多分「サトリ」と票が割れたのが原因かもな では今年も”我が社の隠し玉”、しかし今回はちょっと魅力に欠けるなぁ、おぉぉぉ!と思ったのは論創社だけだな では恒例により「このミス」での掲載順にて 東京創元社: 今回のランキングで興味魅かれたフォン・シーラッハ「犯罪」の続編短篇集を予定、他は旬の北欧の警察小説など ドイツの作家ノイハウスのは”ナチス台頭下ベルリンを舞台にした三部作”って、どこかで聞いたような・・・ 集英社: 一押しがC・J・サンソムという作家、CWA賞系だからいかにもな英国風なのかな? あとはマクダーミドのCWA賞受賞作にエルキンズ夫妻のゴルフもの第2弾、集英社って質的には悪く無さそうなんだけど、何となく後回しに(苦笑) 新潮社: 毎年それとなく魅力的なんだけど、今回の予定のはなぁ(これも苦笑) 国書刊行会: 今回はE・P・バトラー「通信教育探偵ファイロ・ガッブ」につきる、どこかで出してくれるのを長年待ってたんだよ「ファイロ・ガッブ」 扶桑社: 今年はランキングと無縁だったが時々変な穴馬を出すからなぁここ、でも知られてる作家の時は案外と期待外れなんだよなぁ 武田RHJ: 今年も20位に1冊送り込んでさ、意外とシリアス作品で良い仕事していて、もう”ランダムハウスはコージー専門”との偏見を見直すべきだよなぁ 論創社: 何たってC・ライス&S・パーマー合作のマローンとヒルディの競演短篇集が楽しみ、この調子でパーマー単独の短篇集と未訳長編も頼むよ あとは「クレイ大佐」だが、ツイッターによるリクエストは私は不満、私の欲するものが大抵抜け落ちているんだ 大体さぁ、「クレイ大佐」って悪党キャラだから厳密にはホームズのライヴァルじゃねえだろ、他に違うのあるだろうよ 早川書房: 今年は1位だけでなく20位以内に5冊を送り込むなどポケミスが絶好調の早川、しかも既出の大物作家の名前に頼っていないのだから今の早川はどこも止められない 来年の隠し玉もS・ハミルトン「解錠師」など話題をさらいそうだ ヴィレッジブックス: ・・・・・・・ 講談社; お約束のP・コーンウェルはまぁいいや(苦笑) D・クロンビーにD・ハンドラー、誰それ? 目玉はコナリー「リンカーン弁護士」の第2弾か 原書房: 不可能トリックマニア御用達の原書房、しかし昨年の隠し玉のラインナップはどうした?ボツなのか? 文藝春秋: 早川と並んでランキング20位以内に5冊を送り込んだ絶好調の文春、早川と比較すると既出作家や大御所の名前頼みな感じなのが気になるが、まぁいいだろう、マイケル・コックスみたいな掘り出し物と評判の作家も居るからね 来年はディーヴァー、ライムものとノンシリーズの2冊 隠し玉っぽいのはトゥロー「推定無罪」の続編 小学館: ベリンダ・バウアーの2作目と、あの「20世紀の幽霊たち」のジョー・ヒルの新作が 角川書店: トリは今年も角川、ダニエル・H・ウィルソンのロボットものってSF風サスペンスってとこか? ウィンズロウのは多分サーファー探偵の2作目かな? ところでB級グルメって・・・・・・・ |