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ミステリの祭典

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密室殺人
星影龍三もの ほか

作家 鮎川哲也
出版日1979年02月
平均点6.50点
書評数4人

No.4 7点 人並由真
(2025/03/08 06:29登録)
(ネタバレなし)
①「赤い密室」
②「白い密室」
③「青い密室」
④「矛盾する足跡」
⑤「海辺の悲劇」
 ……の5本を収録。

①~③は少年時代に、1973年刊行のサンケイノベルスの短編集『赤い密室』で読んでいるが、数十年ぶりの再読。

 今回は④が目当てで、ネットで本書の古書を購入。
 同編の作中で、ジョージ・バグビイ(旧クライムクラブで『警官殺し』の翻訳が出てる)の未訳の長編で不可能犯罪ものが、登場人物たちの話題になっていると、少し前にネットのウワサで聞いた。ソレで興味が出て、取り寄せてみた。そうしたら中盤の、食堂にヌードポスターを貼るか貼らないかと言い合うくだりで、あー、これ(④)も大昔にどっかで読んでたな、と気づく(笑・汗)。バグビイの未訳作の件は失念していたくせに、くだらない(?)描写の方はしっかり覚えていたようである。いかにも私らしい(笑)。

 いずれにしろ折角だから今回、この一冊、最初の収録作から順々に①→⑤の流れで読んだ。
 ①に関しては(中略)を使った大トリックはさすがに覚えており、殿堂入りした名作だとの予断もあったのだが、それを前提に読むと、すごいことはスゴイけど、フツー、警察の鑑識捜査で犯行の痕跡がわかるんじゃないの? とも思う。だってどうしたって、アレ、痕が残るよね?
 むしろ今回、星影ものでは②と③が地味に(予想外に)面白い! と思った。
 双方とも、後年の新本格が隆盛した以降の、新世代パズラーの醍醐味に通じるものがある。
 ④と⑤はまあボチボチ。④の、作者のノンシリーズ長編『死者を笞打て』に繋がっていくような、文壇ものっぽい設定は楽しい。

 名作『赤い密室』に関しては、少年時代に読んでトリックの大技に感銘を受けたようなそれほどでもなかったような中途半端な感もあり、一方で全体のどこかグルーミーな雰囲気がすごく印象深かった。
 謎解きパズラーとしての評価はさておき、私にとってはあの死体初登場のシーンのインパクトと、やがて明かされる真相の一部のビジュアルイメージの鮮烈さで心に引っかかり続けていた短編である。
 その辺の想念が過剰に記憶のなかで膨れ上がっていたところもあり、今回、読み返すとああ、こんなものか、という面もなきにしもあらず、ではあったのだが、一方で、格調の高い、美しい謎解きパズラーであることは、確かに認めざるを得ない。

 それにしても読み始めてあっという間に、ほぼ一日で全5編読んでしまったなあ。読み出す前は、一日一本ずつ読もうか、くらいに思っていたのだが。ひとつ読むと、次がすぐ読みたくなる、そんな短編集ではあった。

No.3 7点 測量ボ-イ
(2017/12/12 19:32登録)
この短編集の採点をするのが抜けていました。
他の短編集でもコメント済みですが、「赤い密室」は名作です。

No.2 6点 メルカトル
(2017/07/13 21:10登録)
タイトル通り、密室殺人を扱った短編集。
表紙を見る限り高木彬光のような、デッサンみたいなカバーです。赤、青と来れば当然白だと思いきや黒だったというオチも。でも実は鮎川の頭の中には『黒い密室』の構想もあったらしいのですが、密室殺人に対する情熱が薄れて幻に終わったという逸話も残っています。
で、本書の中で最も評価の高いのが『赤い密室』です。出入り不可能な解剖室で発見されたバラバラ死体という、萌え要素満載の星影龍三シリーズの名作。これは面白いです。当時、こういう発想もあったのか的な斬新さに驚いたものです。なるほど、こうした密室もありなのかみたいな、とても勉強になった作品ですね。
他は・・・ほとんど憶えていません。想像するに大してインパクトのない作品だったのではないかと思います。
出版されてから38年ですか、しかしそんな昔から『赤い密室』のような奇想を持った作家がいたとはねえ。

No.1 6点 斎藤警部
(2017/07/09 12:40登録)
赤い密室/白い密室/青い密室/矛盾する足跡/海辺の悲劇
(集英社文庫)

密室トリコロール揃い踏み+小品二つ。ま「青密」も風情は小品。
最後の「海辺の悲劇」、 軽いお話なんだけど、妙に後引く鮎川の抒情があってさ。。

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