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ミステリの祭典

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猟犬探偵
猟犬探偵・竜門卓

作家 稲見一良
出版日1994年05月
平均点7.33点
書評数3人

No.3 6点 ことは
(2022/12/25 00:16登録)
「セント・メリーのリボン」の主人公が、独立した連作短編になって再登場。ほんの少しだが、「セント・メリーのリボン」の登場人物もででくる。
「セント・メリーのリボン」より、私立探偵小説風味が薄れ、ファンダジー成分が増えている。そのため、「セント・メリーのリボン」のほうが好み。

No.2 8点 E-BANKER
(2017/05/03 22:56登録)
名作「セント・メリーのリボン」に登場した猟犬探偵こと竜門卓を主人公とした作品集。
1994年、作者の死後すぐに発表されたのが本作であり、作者最後の作品となる。

①「トカチン、カラチン」=“猟犬”の探偵であるはずの竜門が、クリスマスイブに探すことになったのは何と「トナカイ」と少年だった・・・。一年前のクリスマスイブには盲導犬を探していて(「セント・メリーのリボン」)、作中で竜門は何度も「なぜクリスマスイブに・・・」と嘆くことになる。とにかくラストが幻想的。何とファンタジックな光景なんだ!
②「ギターと猟犬」=今度はちゃんとした“猟犬”探しなのだが、探す場所が大阪のミナミ~キタというド繁華街! その猟犬は、なぜか「流しの艶歌師」と行動をともにしているのだ。猟犬を探し終えた竜門に待っていたのは、ひと組の心温まる家族の絆だった・・・。(ミナミの街中を狼連れて歩いてる男って・・・コワイよ!)
③「サイド・キック」=今回探すのは犬(シェパード)と「馬」、とおっさん!! しかも、この妙なトリオを追って、千葉~青森まで車を走らせることになる。この「おっさん」の行動が鍵となるのだけど、「そこまでするか!」という気にさせられる。あと、気になるのは赤いポルシェで竜門を追いかけてきた謎の美女。(因みにタイトルは「相棒」という意味だそうです)
④「悪役と鳩」=ラストは連続して発生した猟犬の“誘拐(盗難?)”事件がテーマ。竜門に捜索を依頼した大男・天童の男気にも惹かれるけど、やっぱり竜門のストイックさには脱帽! ラストの「詩」は染みるねぇ・・・

以上4編。
前作(「セント・メリーのリボン」)があまりにも良かったため、続編的な位置付けである本作にも手を伸ばすことに。

いやいや、このただならぬ香気は何だ!
他の作家、他の作品では決して味わうことのできない、唯一無二の作品世界。
とにかく、登場人物のひとりひとりが何とも言えないキャラクターというか、「匂い」を発しているのだ。

現代日本という国に、こんな「ハードボイルド真っ只中」みたいな奴なんているか?
っていうことを思わないでもないけど、それは野暮というもの。
とにかく夜更けの読書にはうってつけのシリーズ。世評の高さも十分に頷ける。そんな評価。
(どれがベストかな・・・? 敢えていえば②、いや④か・・・)

No.1 8点 itokin
(2011/10/02 14:10登録)
稲見さんの作品は初めて。久しぶりに良質のハードボイルドに出会えた。こぎみ良いテンポと文章の連作短編集で特に「トチカン、カラチン」「ギターと猟犬」は秀逸。

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