home

ミステリの祭典

login
少女

作家 連城三紀彦
出版日1984年05月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 6点 じきる
(2022/04/09 22:58登録)
官能描写の強い短編集。ミステリとしては「金色の髪」、小説としては「少女」に引き込まれます。
でも、私の好きなタイプの連城作品とはややズレているかも。

No.3 5点
(2021/06/21 09:45登録)
 『宵待草夜情』に続く、第七番目の作品集。1982年初夏から1984年11月にかけて「小説宝石」誌に掲載された五編を収めている。出版の際には〈ポルノ小説と童話を同時に一回出してみたい〉という著者の意向があったらしく、直木賞受賞作『恋文』とほぼ同時期の刊行となっている。ただしこちらは雑誌の要請もあり官能描写重点。トリの「金色の髪」を筆頭として、全編明暗のコントラストを重視したイメージに彩られている。
 収録作を年代順に並べると 盗まれた情事/熱い闇/金色の髪/ひと夏の肌/少女 。ちょうど普通小説に移行する時期のためか、ミステリとしては『夜よ鼠たちのために』『宵待草夜情』収録各編と軌を一にする前半三作が優れている。ベスト3も概ねこれ。氏の小説には珍しく、中には幻想寄りの短編も含まれる。
 「盗まれた情事」と「金色の髪」はいずれもスワッピングを絡めた殺人事件を扱っているが、前者の方がストレートな後者よりも出来は上。雑誌の読者伝言板の求めに応じ、十万で〈私の代わりに妻を抱いてくれ〉という "仕事" を請け負った医師の矢沢亜木雄。二度三度と奇妙な逢瀬を重ねるが、やがて行為を監視する誰かの視線を感じ――
 異様な状況を利用したアリバイトリックが見事。味わいも出来も『夜よ~』収録作に近い。「金色の~」はパリのアパルトマンを舞台に、日仏カップルの夫婦交換をテーマにしたスケッチ風映画を撮影する日本人カメラマンの犯罪を描いたものだが、冒頭シーンの強烈な呪縛と真相との乖離が虚しさを唆る。著者の海外ものには他に「親愛なるエス君へ」があるが、本作ではそれを越え、滅びゆくパリの怠惰と退廃がトリックと一体化している。動機の崩壊と同時に否応なく犯行が暴かれ、最後には広がる金髪が読者の脳裏を埋め尽くす作品。
 『熱い闇』はある官能小説家の原稿が、担当編集者の現実の情事を不穏になぞるように進行していくストーリー。一応合理的な解釈は用意されているが、それだけで全ての説明はつかない。SFめいた「ひと夏の肌」と共に、どちらかと言えば語り重視の奇譚に属する。
 表題作はシンプルな反転ものだが、社会派的な要素を導入し差別化を図っている。トリックよりも事件の構図に秘められたドロドロ部分が見所か。アッサリ纏めているが扱いは思ったより難しく、中長編の部分ネタ向きにも思える。
 以上全五編。悪くはないがこの時期の連城作品として満足のいくものではなく、実質5.5点といったところ。

No.2 6点 斎藤警部
(2020/02/20 19:40登録)
熱い闇 5点
官能ホラーファンタジー in 現実世界。反転の肝暴露がタイミングは性急、スピードは緩慢で、連城らしいピリッとした魅力には欠ける。半端に文学づいた佐野洋がエロ短篇を書いたみたい。(佐野先輩、大好きです) 連城基準なら4点弱

少女 6点
小澤陽子が登場!w 所々クソキモいのはともかく、無実証明の為の興味深いねじくれ現象やら、味のありそうな社会派暗闇をも絶妙にチラつかせつつ、、 軽く一点突破のその、その反転でカタ付けたってか。。小せえよ。。 で刑事の最後の台詞、この世の性差別の肝を凝縮した論点のレトリックで、胸糞悪いこと無双の響きあり、最高の締めだ。 連城基準で5点強

ひと夏の肌 6点
まさかの      。。。。でも良かったです。 ただ、去年のアレの動機が明かされずじまいなのは、どうなのか。 でも、この手の      としては、そこはっきりさせるよりもこういう方が味わい深いかな。

盗まれた情事 7点
羊頭狗肉、の疑いを俊足の落とし前で晴らす最後の数頁。連城としてはまあまあ。

金色の髪 8点
この反転のキレにはやられたわ。。熱さもコクも奥行きもさほど無いが、とにかく驚いた(全体的に緩い本なんで油断してたからかも?)。 でなんともおフレンチ。

全体通してエロさ爆発、変態度は表題作除いて低め、文学とミステリの味は連城にしちゃあ幾分落ちる、そんな短篇集。

No.1 6点 isurrender
(2011/05/05 14:53登録)
連城氏らしい短編
「盗まれた情事」と「金色の髪」は秀作

4レコード表示中です 書評