home

ミステリの祭典

login
メルカトルかく語りき
メルカトル鮎シリーズ

作家 麻耶雄嵩
出版日2011年05月
平均点6.08点
書評数25人

No.5 4点 じゃすう
(2012/02/20 23:33登録)
作品としての趣旨は、理解できますし許容できる範囲なのですが、これ、メルカトルでやる必要があったのでしょうか?
「答えのない絵本」なんて、メルが公式に捜査に乗り出して
他殺を証明したにも関わらず、かつ犯人を挙げられなかったということですよね。推理は一流、プライドは超一流のメルカトルらしからぬことで、納得がいかずに終わりました。キャラ設定より趣旨が勝ったという印象でした。それとも、メルカトルであろうとも、所詮「論理でしか犯人を指摘できない」という本格ミステリの探偵の限界を指摘しているようでもありますが。

No.4 6点 まさむね
(2012/01/25 21:55登録)
 収録5短編とも,基本設定はWHOに力点をおいた王道路線なのです。そしてロジックも十分に展開されるのです。しかし,読者として解決の爽快感を得ることはできません。いや,「解決」とは何か,その定義なくして軽々に語るべきではないのかもしれませんが…。
 個人的には非常に複雑な読後感でした。「裏爽快感」とでも呼ぶべきか…。これは好き嫌いがハッキリと分かれそうです。

No.3 6点 虫暮部
(2011/08/10 18:34登録)
 この作者はきっと“ミステリはなにゆえにミステリなのか”を熟考しながら執筆しているのだろう。それゆえ奇想の続出になるのは当然の成り行きなのだ。ただ、この短編集では作品そのものの面白さよりも作者のスタンスが勝っているきらいがある。というより“実験的本格シリーズ”と謳い文句にあるように、特にそういう傾向の短編を集めたのだろう。つまりこの本自体がまるごと、ミステリというジャンルに対する批評、である。それを受け入れる度量があるか、読者は問われているわけで、アンフェアだとか脱力系オチだとか言ってはいけないのである。

No.2 7点 kanamori
(2011/06/08 18:58登録)
とかく”挑戦的な作品集”とか”問題作!”という煽りの紹介文は眉唾ものだと思っていましたが、本書はまさに本格ミステリに対して挑戦的な作品が揃っていました。

なかでも「答えのない絵本」が極北でしょう。非常にロジカルな消去法による容疑者絞り込みの末の真相が、コレかよ!という脱力感がなんとも(笑)。好みでいえば「九州旅行」のトボケた味も捨てがたい。
不条理な事件が、メルの不条理な解答で収束される話ばかりなので、結末にカタルシスを求める方には壁本相当かも。

No.1 6点 メルカトル
(2011/05/15 21:37登録)
5編の物語で構成される短編集。
本格ミステリとはいえないと思うが、良くも悪くも麻耶氏らしい作品ではある。
メルカトル鮎は悪徳探偵ぶりを遺憾なく発揮しているし、彼らしい怜悧な推理を披露してくれて、存在感はやはり只者ではない。
ただ、ある程度予想はしていたが、期待通りの出来とは言えず、文体も読みづらいのでファン以外の読者が楽しめるとはあまり思えない。
第一話は別として、それ以外の作品はどれもラストがスッキリしないのもどうかと。

25中の書評を表示しています 21 - 25