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ミステリの祭典

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湯殿山麓呪い村
滝連太郎シリーズ

作家 山村正夫
出版日1980年09月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 5点 虫暮部
(2024/01/11 12:48登録)
 あちこちで物語がブツブツ切れている。なかなか村へ行かないのでやきもき。
 “謎の遍路” は呪いそのものが怖いのではなく、イマドキそれを信じている危なそうな人間の存在を暗示するので怖い。と言う演出を犯人は結構理知的にやっている? タイトルに象徴されるおどろおどろしさが、例えば横溝のようにはストレートに伝わってこない嫌いがある。ヴィジュアルにすれば怖いか。
 一番怖いのはエピローグ。示唆された部分には説得力を感じた。

No.3 5点
(2019/10/14 09:39登録)
横溝正史を意識した作品ですが、同時期に『悪霊島』を執筆中だった横溝正史本人からも激励を受けていたことが、ハードカバー版作者あとがきには書かれています。ただ、構成的に、6割過ぎあたりから犯人を示す記述が急に露骨になって来るのは、横溝正史とは発想が全く異なるところではないかと思えました。で、最後真犯人が探偵役の滝連太郎によって明かされた後まだ40ページぐらいも残っています。さらなるどんでん返しはあり得ないし、どうするつもりなのだろうと思っていたのですが、明確になっていなかった動機が語られるのと、犯人がどうなるかの決着部分がほとんどでした。
かなり早い段階で犯人の口から暗示的な手がかりが出されるのですが、これが雰囲気の古めかしさにもかかわらず、あとがきで作者の言う「テーマはアクチュアルなもの」というところにもつながっていたんですね。
海外超有名作の完全ネタバレあり。

No.2 5点 TON2
(2012/11/20 20:11登録)
角川文庫
昭和56年角川小説賞受賞作。
出羽三霊山のひとつ湯殿山は即身成仏したミイラで有名ですが、そのミイラの呪いが現在の殺人事件とかかわるという、伝奇じたてのミステリーです。個人的には好きな分野です。
話の筋はおどろおどろしいものがありますが、あまりに人間関係が都合よくできすぎていて、ご都合主義です。

No.1 6点 nukkam
(2011/03/10 08:05登録)
(ネタバレなしです) 作者の最も有名なシリーズ探偵は滝連太郎ですが、その中でも1980年発表の第1作である本書は映画化もされたほど有名です。結核で早逝した音楽家の瀧廉太郎(1879-1903)を連想させる名前ですが、こちらの探偵は巨漢で大食漢という面白い設定です。横溝正史の伝奇本格派推理小説を継承したいという意欲が滲み出ており、伝奇要素と現代要素が巧みに融合されています。謎解き伏線も丁寧に張ってあり、ミステリーを読み慣れた読者には犯人当てとしてはやや容易に感じるかもしれませんが、難易度はほどほどの方が幅広く読者受けしやすいと思います。ただ重苦しい余韻を残す結末は好き嫌いが分かれそうですが。

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