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ミステリの祭典

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殺意という名の家畜

作家 河野典生
出版日1963年01月
平均点5.00点
書評数4人

No.4 5点 クリスティ再読
(2022/05/04 07:40登録)
実は初読。協会賞を結城昌治の「夜の終る時」と分けた和製ハードボイルド..になるんだが、じゃあ相方のロスマク風ハードボイルド「暗い落日」と比較したら、大きく分が悪い。評者はこの「ロスマク風」が失敗?なんて意地の悪いことも感じるのだ。

本作だと主人公は私立探偵じゃない。ビートニクな作風で若者の支持が高いトンがった作家、という設定。それは、いい。でもわざわざ私立探偵モノのテンプレ展開にしてしまったために、このオリジナルな設定が全然生きない。設定年齢もずっと高く感じる。もっと、トンガった、ビートニクな探偵、しろよ!なんて思う。リュー・アーチャーじゃなくて、モーゼズ・ワインに出来たらよかったんだろう。

というかねえ、60年代初めだから、ビートニク、って言ってもどこかお育ちがよくて、ただのジャズファンみたいな大人しさ。ヒッピーの反体制は未だし、というあたり。笹沢左保の「六本木心中」と風俗的には同じものを描いているのだけども、「六本木心中」の虚無感には至ってない。

あと、高松に渡ってから、妙に展開がまごまごしている印象を受ける。全体的には失敗作みたいな印象だが、当時は業界の最先端だったんだろうなあ...

No.3 5点
(2021/09/27 22:52登録)
結城昌治の『夜の終る時』と1964年日本推理作家協会賞(作品発表は前年)を分け合った作品です。この年はハードボイルド系の当たり年というところでしょうか。結城昌治の方はむしろ警察小説と言えますが。
海外作品では『ウィチャリー家の女』翻訳が出版されたのが1962年で、本作もチャンドラーよりロス・マク、それも内省的傾向が強まってきた時代の作品を思わせるところがあります。ただ、プロットがロス・マク的に複雑なのはいいのですが、ロス・マクほど解きほぐし方が鮮やかでないのが不満点です。中心トリックにできるだけ読者の注意を向けさせないように、外側から真相に近づいていくということができていないのです。そのため全体的にもたついた印象になってしまっています。ラストは雰囲気はいいのですが、説明不足でもあります。
なお、主人公が私立探偵ではなく作家だというのは珍しい試みですね。

No.2 4点 ドクターマッコい
(2013/06/27 08:24登録)
「ネタばれ」日本推理作家協会賞作品の割には展開が今ひとつ、死亡した女性が実は成形して生存していたとかありきたりのストーリーでいささかがっかり。一昔前の古さは払拭できない。

No.1 6点 itokin
(2011/05/08 20:14登録)
ハードボイルドの先駆者らしいが、序盤こそ進展に興味をそそられるが中盤終盤に掛け細かい表現に終始し、スピードに欠け盛り上がりも今ひとつ(後に、ハードボイルドの代名詞になった大藪、原氏の作品と比較するためか?)。[推理作家協会賞受賞作品]。

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