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ミステリの祭典

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サイモン・アークの事件簿〈Ⅱ〉
サイモン・アークシリーズ

作家 エドワード・D・ホック
出版日2010年12月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 5点 nukkam
(2021/02/17 18:43登録)
(ネタバレなしです) ホックが日本読者のために26作のサイモン・アークシリーズ中短編を選んだ日本独自編集版の2011年出版の第2短編集に当たり、「過去のない男」(1956年)から「死を招く喇叭」(2005年)までの8作を収めています。100ページを超す中編の「真鍮の家」(1960年)は本国アメリカでの第2短編集のタイトルに使われていることからも期待して読んだのですが、サイモンに相談したいと言いながら何が問題なのかはっきり説明しない依頼人(理由はあるのですけど)など霞がかったようなプロットがどうにも読みにくく、結末のすっきり感も弱くて個人的には不満が残ります。「宇宙からの復讐者」(1979年)も雷に打たれたかのような連続怪死事件の謎の魅力に対してトリック説明が雑過ぎなのが残念です。好き嫌いは分かれると思いますが突拍子もない真相の「吸血鬼に向かない血」(1995年)とチェスタトンのブラウン神父シリーズ作品を彷彿させる「死を招く喇叭」が個人的には印象に残りました。

No.3 5点 ボナンザ
(2020/05/04 00:27登録)
ホック作品はどれも謎はいいのだが真相がイマイチ。中編真鍮の街も真相を意外にしたかったためか、あっけない終わり方になってしまっている。

No.2 5点 E-BANKER
(2013/03/24 19:56登録)
何と2千年の時を超えて生きる「オカルト探偵」サイモン・アークが主人公の作品集。
新旧取り揃えた作品集の第二弾が本作。

①「過去のない男」=舞台はメイン州の片田舎。でも、このトリックって・・・今どき推理クイズでも取り上げないようなレベルだと思うのだが・・・。
②「真鍮の街」=これが本作の白眉であろう中編。大企業が牛耳る街ベイン・シティで発生した殺人と、大学で進められる遺伝学の研究に隠された秘密の二つが本作の謎。力作だけあって、なかなか読ませるプロットなのは確か。ただ、惜しむらくは、殺人事件のトリックが非常に矮小なのと、大学での研究が特段本筋とつながっていなかったこと・・・って、それじゃ駄作じゃないのか?
③「宇宙からの復讐者」=ロシアで、アメリカで、宇宙飛行士が殺害される事件が発生する! 米・ヒューストンへ向かったサイモン・アークと私だが、殺人事件のからくり自体はちょっと陳腐かな。
④「マラバールの禿鷲」=舞台はインド・ボンベイ。「鳥葬」を行うための塔で起こった殺人事件が本編の謎。鳥葬などという特異で禍々しいプロットを用意しているが、真相は実にミステリーっぽいトリック&プロット。そして動機。
⑤「百羽の鳥を飼う家」=本編の舞台はロンドン。そして、タイトルどおり「鳥だらけの家」で起こる殺人事件に出くわすことになる。登場人物の限られた短編らしく、犯人に意外性はないし、「白い粉」が出てきた段階で大凡の察しがついてしまうのが難。
⑥「吸血鬼に向かない血」=今回は何とアフリカの東側に浮かぶ島・マダカスカルが舞台となる。タイトルどおり、「血液」が謎になるのだが、サイモン・アークが語る真相を読んでもピンとこないんだけど・・・
⑦「墓場荒らしの悪鬼」=自分の先祖が眠る墓を暴こうとする男の謎・・・本編はなかなかロジックが効いていてなかなかの面白さ。作者の“腕”を感じる。
⑧「死を招く喇叭」=死体があっという間に老衰してしまう! というと魅力的な謎のように見えるが、うーん、どうかなぁ・・・

以上8編。
あまり評価できないなぁ・・・
これまで、「サイモン・アーク」よりは同じ創元文庫の「サム・ホーソーン」シリーズを中心に読んできたけど、はっきりいって後者の方が数段面白いし、作者の力量がよく出ていると思う。
本作も、前半に提示される「謎」自体は魅力的なのだが、それがどうも全体のストーリーやプロットと噛み合っていないように感じてしまう。

特に、本作は「寄せ集め」感が強いので、なおさらそう思ってしまうのかも・・・
(中ではやはり②が抜けているだろう。後は⑦がよい)

No.1 6点 kanamori
(2011/01/18 18:26登録)
オカルト探偵サイモン・アークの第2短編集。
目玉作品は、唯一の中編「真鍮の街」かな。意識したかどうかは判りませんが、地方都市が舞台で人間関係を錯綜させたプロットは、師匠クイーンのライツヴィルものを髣髴させます。メイン・トリックはいたって古典的ですが。
その他、犯人特定方法がロジカルな「百羽の鳥を飼う家」と、死体が一瞬にして老衰する謎「死を招く喇叭」がまずまずかと思いますが、枚数の関係で短編はいずれも解決があっけない。

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