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ミステリの祭典

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バカミスの世界 史上空前のミステリガイド
小山正とバカミステリーズ編

作家 事典・ガイド
出版日2001年01月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 メルカトル
(2023/06/17 22:21登録)
本書は、小説でも映画でも、ユニークなミステリ群を総称して「バカミス」と呼んでいる。本書を読んで、あなたもご自身のバカミスを見つけてください。
『BOOK』データベースより。

マジすか、こんなもの(悪い意味ではなく)が書評されているとは。しかも三人も。流石ミステリオタクが集う「ミステリの祭典」ってところですね。
読む前は単行本で225ページだからサクッと読めるだろうと思っていました。すると通常のサイズより一回り大きいし、表紙の写真が多目とは言え、基本三段組みなのでかなり手こずりました。それでも結構参考にはなりました。
そもそもバカミスとは何なのかという定義がはっきりしないまま、次々に作品が紹介されていて、何でもかんでもバカミスみたいな扱いになっており、クリスティ、カー、クイーン、ヴァン・ダインがみんなバカミス作家の範疇に収まってしまっていて、ええっ?と思いましたが、考えてみればほとんどミステリがバカミスの要素を含んでいるとも言えるかも知れないのかと首を傾げておりました。

ガイドの他に、書下ろしバカミス、未訳本の翻訳、対談、エッセイなど内容盛りだくさんでお腹一杯です。霞流一の書下ろし短編はおまけ程度と思っていたら、これがなかなか面白くこれだけでも読む価値はありました。そして最後を飾るバカミスベスト100については、結構興味を惹かれる作品があり、その内の20冊以上を入手可能な範囲で読んでみたくなりました。
ただちょっと中身が偏り過ぎている印象はあります。99%海外の作品でその中でもバカハードボイルドと呼んでいるものが多かったですね。どの辺りがバカミスなの?という素朴な疑問を消し去ることが出来ないのも少なくありませんでした。

No.3 6点 江守森江
(2011/01/12 11:47登録)
「バカミス」は特異な方向性に突出したミステリーに対する褒め言葉で、一部ではゴミと同義語な「奇書」「クズミス」「ダメミス」とは別物。
それでも、所詮「おバカ」なので生真面目な作者なら自分の作品を「バカミス」と褒められても嬉しくないだろう。
先日書評した山風「秘戯書争奪」がベスト100に選ばれていたのに口あんぐり。
泡坂「しあわせの書」は無駄な仕掛けに心血を注ぐ方向の「バカミス」ではパイオニアで、倉阪鬼一郎が‘年一’で発表継承している(倉阪作品は内容がクズミス・レベルなのが残念)
本書を読むと何でもバカミスに思えてくる不思議さもある。
※ここからバカミス余談
海外リーガル・コメディ・ドラマ「ボストン・リーガル」はバカミス・ドラマだ!
ウィリアム・シャトナー万歳!!!
Foxで好評?放送中「破られたマジシャンの掟!」なんか「バカミス」ネタのオンパレードで凄い!(←プールの水面歩行、象の消失など本格ミステリからスリラーまで転用可能ネタ多数:要注意!!!但しマジックのネタバラシ番組なので知りたくない方の視聴は厳禁)

No.2 6点 Tetchy
(2010/10/21 21:41登録)
以前から『このミス』誌上、または『この文庫がすごい!』誌上で語られてきたバカミスを系統立てて一冊の本に纏めたのが本書。
とはいえ、上の二誌ではリアルタイムな作品を語るのが専らだったせいか、本書はミステリの歴史上から俯瞰してバカミスを語っている。そのせいか後半に渡りすぎてディープに語る一歩手前で終わっている。
まあ、恐らくはこのメンバーでディープに語るとマニアック過ぎて読者がついてこられなくなるのだろうが。

No.1 6点 kanamori
(2010/10/07 18:35登録)
「このミス」の人気コーナー?からスピン・オフしたような企画本。
思いついても誰も書こうとしない”おバカ”なアイデアや珍トリックを使った古今東西のミステリガイドで、その歴史から始まり、北村薫×若竹七海の対談、折原一の分析評論、山口雅也のインタビュー、さらにはバカミス・ベスト100のレビューと盛りだくさん。あのマルツバーグや霞流一のバカミス短編も収録されていますが、これはイマイチ。
バカミスにも2タイプあって、もとからおバカを狙っているもの(たぶん、霞流一、鯨統一郎ら)と、作者はまじめに書いているのにトリックがおバカ(たぶん、ディクスン・カー、島田荘司ら)という折原一の分析は肯ける。
しかし、意外と既読本が多いのには驚いた。知らず知らずのうちに、この世界に嵌っていたようだ。

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