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ミステリの祭典

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完全・犯罪

作家 小林泰三
出版日2010年09月
平均点4.80点
書評数5人

No.5 5点 ミステリーオタク
(2023/03/26 19:33登録)
 3年前に50代で鬼籍に入った作者の短編集の一つ。

《完全・犯罪》
 バカSF、いやコメディ、いやコントだが全然面白くない。オチもデキの悪い子供漫画レベル。これが第一話にして表題作とは先が思いやられる。

《ロイス殺し》
 寒々しいストーリーだがあまり、いや殆ど面白くない。(寒々しくても面白い話はある)
 ミステリ要素に何かあるのかと思えば、デキの悪い子供向けの推理クイズレベル。

《双生児》
 始めから6割位までは双生児をテーマにした自己認識論やアイデンティティに関する禅問答のような議論が延々と続く。次いで新たなファクターが介入し、少しは面白くなるのかと思えばそうでもなく、訳の分からない結末へ続く。

《隠れ鬼》
 これはリーダビリティがとても高く、一気に読めてしまったが・・・
序盤は、迫ってくる不条理な恐怖、を描いたのだろうが全く怖くない。その後、その件および「鬼ごっこ」に関するフィアンセとの会話を挟んで、主人公の幼少期の「虐め」の記憶が展開される。そして最終シーンでは、これも訳の分からないエンディングへ。まあ、これは皮肉を込めた喜劇のつもりなんだろうね。

《ドッキリキューブ》
 これも不快極まりない話だが、本書の中で唯一「面白かった」。終始「次の一手」が読める展開だが、笑えるシーンもあったし前作に続いて読み止まらないリーダビリティの高さ。


 昨年、初めてこの作者の短編集「浚巡の二十秒と悔恨の二十年」を読んだ際、唸らされた作品がいくつかあったので本書も期待して手に取ったのだが・・・「浚巡・・」は本書の10年以上後に刊行されているようなので、この間に作者が「成長」したということなのだろうか。いずれにせよ今後、新作が出ることはないが・・・

No.4 5点
(2018/10/12 18:56登録)
短編5編。
初めての作家さんです。

1.「完全・犯罪」 6点
星新一のショート・ショートにありそうな内容で、ボリュームは5倍ぐらい。
途中でわからなくなったのが残念だが、ナンセンスなのがグッド。

2.「ロイス殺し」 5点
復讐物。火刑法廷のオマージュらしいが・・・

3.「双生児」 4点
双子の同一性がテーマか?
よくわからん。

4.「隠れ鬼」 4点
これもよくわからん。印象が薄い。

5.「ドッキリチューブ」 5点
テレビのドッキリ番組は趣味が悪いが、ついつい観てしまう。
それと同じで厭らしい感じがあるも、テレビと同じで、馬鹿げた内容に乗せられて、ページを繰る手が止まらず、あっという間に読んでしまった。

アイデアが色々あるようで、共通点はブラックなところだけで、5編の関連性はない。
1、2編目はまずまずだが、共通点はないのに、なぜか3、4編目で飽きてきて中だるみし、5編目で少し盛り返したという印象。文章が合わないのかなぁ?

ほかに評価の高い作品もあるようだし、本格ミステリーもあるようなので、それらに期待します。

No.3 6点 虫暮部
(2017/09/25 11:07登録)
 「双生児」。それまでは強引であっても一応論理の積み重ねで転がして来た話に、最後の最後で唐突に不条理な異物(“終わりではなかったの”)が突っ込まれて終幕、というのはやっぱり話がおかしいと思う。しかし、そのひとが嘉穂であれば事の成り行きをペラペラ話す理由も無いんだよね。というか、“そうだ。一つ方法がある。”ってなんのこと?
 「隠れ鬼」「ドッキリチューブ」は前半を読めば後半の見当も付いてしまうが、それでもダレることなく一息に読まずにはいられない文章の気持悪さが素晴らしい。

No.2 3点 ボナンザ
(2014/04/24 17:17登録)
文章がラノベみたいというのは置いておいて、どれも奇妙な味わいを目指したのだろうが、それほどうまくいっているとは言い難いのが残念。

No.1 5点 ぶん太
(2012/03/16 15:51登録)
小林泰三らしい理論の応酬。
名作「玩具修理者」や「酔歩する男」を思わせる
不可思議な短編集ですが、物語として面白い・・と
いうのとは少し違った。
タイムパラドックス等の理論を楽しめる方は満足できるかな。
しかし、そういった理論がきっちりと着地しているわけではないので
ご注意を。

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