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ミステリの祭典

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謀殺のチェス・ゲーム

作家 山田正紀
出版日1976年11月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 8点 虫暮部
(2021/04/01 10:46登録)
 若人2人の逃避行が、物語中盤の“ゲーム”とあまり有機的に結び付いていない。
 勝敗の基準が今一つ解りづらい。
 両陣営とも似たようなキャラクターが多く紛らわしい。
 題名に“謀殺”は変じゃない?

 しかしグッジョブ。息を詰めて一気に読みました。

No.2 8点 クリスティ再読
(2015/12/23 21:49登録)
70年代後半に「山田正紀の輝かざる栄光の時代」というものは確かにあったように評者は感じているのだ。「神狩り」や本作、「火神を盗め」といった名作はミステリ&SF&冒険小説といいとこ取りのクロスオーバーだったために「早すぎた名作」扱いに留まり、社会的な評価には結びつきづらかったが...評者なんぞ「なんで日本映画界はこれを映画化できないのか?」と歯がゆく思い続けていたよ。
そういう意味でいうと同姓の山田風太郎との共通点が結構あるわけだ。両者ともミステリ作品も多いにも関わらず、ミステリからはみ出しがちなミステリ周辺作家、という感覚で捉えられがちで、しかも日本人好みのウェットな情感を排除した、ドライなゲーム感覚(昔はこれがマンガ的と言われてマイナス要素化してたんだが...)が最大の売りになるタイプの作家...というわけで、うん、まだ現役作家のわけだし、再ブレークの期待もしたいな。
で、本作は要するに「動的戦闘方程式」だとか「現象論的方法」とか「逐次決定プロセス」とかこの手のジャーゴンに萌えれるかどうかで評価が違うだろう。参考文献を見ると一般向け解説書だけを読んで書いたみたいだ...山田正紀の貪欲なまでの消化力は敬服に値する。たださすがにもう発表から40年たってることもあって、デテールのガジェットが古びているものがある。少しアップデートしてもいいのかもね。

付記:祝北海道新幹線開業。やっと現実が追いついたけど、ストを打つ労働組合は今いづこ。

No.1 5点 kanamori
(2011/08/09 11:45登録)
初期の冒険アクション小説。自衛隊の新型対潜哨戒機の強奪計画を巡って、北海道・奥尻島から最後は沖縄・宮古群島に至るまでの日本列島を縦断しながらの頭脳戦、肉弾戦、銃撃戦が楽しめる。
ただ、新戦略専門家というわりに両陣営の指令役が口ほどのものでなく、結局は偶然を多用したご都合主義的な展開になってしまいしらけるところがあった。

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