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ミステリの祭典

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ドゥルシネーアの休日

作家 詠坂雄二
出版日2010年07月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 メルカトル
(2019/11/10 22:13登録)
タンポポは主張している。自分が四人を斬殺したことを。そして、凶器を変えて犯行を続けることを。十年前の連続無差別殺人事件の模倣犯を追う捜査一課刑事・雪見喜代志。全寮制女子校の聖堂で天に赦しを乞うために祈り続ける罪人・山村朝里。死地をも厭わず数々の難事件と対峙してきた傷だらけの泥犬・藍川慎司。三人揃って怒涛の急展開。著者渾身の書き下ろし、警察小説×学園小説×活劇小説=未曾有の傑作ミステリ。
『BOOK』データベースより。

「月島凪キター!」って感じです。と言ってもほとんどの方が知らないと思いますが、名作『遠海事件』で佐藤誠を追い詰めた名探偵です。しかし、名前だけ登場したに過ぎず、その人となりなどは皆目見当もつかず、ベールに包まれたままの存在でした。それが本作ではある意味主役となって語られています。本人は登場しませんが、彼女が設立した月島前線企画という調査会社の社員たちの証言から、いかなる人物かは窺い知ることが出来ます。しかもその存在がなければ本件は起こり得なかったと言ってもよい程の存在感を示しています。
『遠海事件』を読んで共感を覚えた読者は一読の価値ありと言うか、読まなければならない作品だと思います。

第一部は本格警察小説、第二部はミッション系の女学園を舞台にした学園ミステリ、第三部は苛烈なアクション小説、第四部は後日談と月島のその後といった具合に、それぞれ毛色が異なる作風で構成されており、あの手この手で最後まで読者を飽きさせません。
インパクトに欠けるという点で若干評価を下げざるを得ず、その意味では残念ですがファン必読の書であることは間違いないと思いますね。

No.3 6点 名探偵ジャパン
(2016/08/01 14:02登録)
我らが詠坂雄二が挑んだのは、超人的な「探偵」が社会と個人に与える影響と、それにより引き起こされる問題。です。(最近こういうの多いな)
連続猟奇殺人事件が起こりますが、当サイトのジャンルが「サスペンス」となっていることからも、解決において「推理」は存在しません。誰かが「推理」によってこの事件を解いてしまったら、その人物が「探偵」となってしまい、「探偵不在」のテーマに矛盾が生じてしまうためです。
(ウルトラマンの力を借りない、といいつつ、ウルトラセブンに助けてもらう、みたいな。違うか)

前置きなしのいきなりの事件発生から作者の筆致の巧みさで、ぐいぐいと読ませます。
「佐藤誠」の名前が途中出てきたときには、「きたー!」と思うと同時に「またかよ! 佐藤誠でどんだけ食いつなぐんだよ(笑)」とも。ですがこれは、冒頭に触れた探偵、月島凪の裏返しであることは言うまでもありません。行方不明の探偵とすでに死刑執行されている殺人鬼が、今なおこの世に影響を与え、(月島は存命ですが)「凡人」たちを翻弄する様子を描いたサスペンス作品なのです。

「推理」で真相を暴くわけにはいかないため、犯人、その動機の暴露には多少強引な手口が使われますが、「これはミステリではなくサスペンスなんだ」と分かっていればそれほど不自然には感じません。

ラスト、ある登場人物の思わせぶりな近況が書かれて物語は終わります。間違いなく次回作に登場してくるでしょう。
我々はまだまだ「佐藤誠シリーズ」を楽しむことが出来そうです。

No.2 7点 ayulifeman
(2013/02/04 20:37登録)
好きですね。
作品順に読んでないのですが他作品と関連が感じられます。
この後「佐藤誠・・・」読もうと思いますが、順番的にどうだったんだろう。
閉鎖された女子高の寮の雰囲気とか、人間関係とか読坂イズムが感じられてとてもいい。
辻村さんみたいな女子目線学園人間関係も興味深いけど、
ハードボイルド的なのもいいね。
泥犬はストⅡの人だよね。。。

No.1 5点 kanamori
(2010/09/04 16:43登録)
ユニークな仕掛けを施して、最後にニヤリとさせてくれる作品を連発している作者ですが、今作はどうにも微妙な出来でした。
一応テーマの一つは、”名探偵の不在”だと思いますが、(既作品と物語世界を共有していますが)単発作にも関わらず、シリーズものの途中の作品を読んでいるようなモヤモヤ感があり、テーマも活きていないように思います。
シリアル・キラー物としては、真相が最近読んだN氏の作品と被っているのも気になりました。

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