home

ミステリの祭典

login
バイバイ、ブラックバード

作家 伊坂幸太郎
出版日2010年06月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 5点 まさむね
(2017/06/29 23:51登録)
 五股をかけている男「星野一彦」は、のっぴきならない事情で「あのバス」で連れていかれてしまうことになった。その前に、監視役のブッチャー的大女「繭美」と一緒に、五人の恋人一人ひとりに別れを告げに行く…という設定の連作短編集。
 個人的には、別れを切り出される女性たちに情が傾いてしまって、正直、楽しみにくかった面もありましたね。星野も繭美も、どうしようもない奴なのか、いい奴なのか微妙っていう点も、何かくすぐったい感じもする。何よりも、「あのバス」って…。結構登場人物同士の会話とかは面白いのだけれども。
 まぁ、様々な面で伊坂さんらしい作品ではあります。

No.2 5点 E-BANKER
(2013/07/25 23:11登録)
星野一彦の最後の願いは何者かに<あのバス>で連れて行かれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」・・・これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美・・・
伊坂といえば実に伊坂らしい、とも言える連作短編集。

①「Bye Bye Black BirdⅠ」=最初に別れる女性の名は廣瀬あかり。そして、なぜか別れるために一彦が挑戦するハメになったのがラーメンの大食い(○○分で完食すればタダ、って趣向ね)! なぜ??
②「Bye Bye Black BirdⅡ」=二番目に別れる女性の名は霜月りさ子、子持ちのバツイチ。何といっても、本編で笑うべきポイントは不知火刑事だろう。なにせ白新高校出身!ってドカベン世代じゃないと分からんだろ!
③「Bye Bye Black BirdⅢ」=三番目に別れる女性の名は如月ユミ。こいつが一番ケッタイな女かも。なぜか、夜中にロープをかついで忍び込む部屋を探す、女・・・。付けた異名が「ひとりキャッツアイ」ってこれも古いな。
④「Bye Bye Black BirdⅣ」=四番目に別れる女性の名は神田那美子、何でも計算してしまう女。乳がんの疑いの濃い彼女に代わり、検査結果を病院へ聞きに・・・という展開だが、なかなか笑える。
⑤「Bye Bye Black BirdⅤ」=最後に別れる女性の名は有須睦子、美しき大女優。この女性は今までの四人とは「格」が違う、っていう感じ。彼女が大事にしていた子供時代の思い出。その思い出が一彦に重なるとき・・・結構グッときた。
⑥「Bye Bye Black BirdⅥ」=そして、ついに<あのバス>に乗るために、バス停へ向かう一彦と繭美。だが、途中でなんだかんだと邪魔が入り、ついにバスへ乗り込む一彦。だが、ラストに思わぬことが・・・起こったのかどうか?

以上6編。
「ゆうびん小説」という変わった趣向で発表された本作。
どういうことかというと、連作の一編が書かれるごとに50名の方に、あえて郵便で送って読んでもらう、っていう趣向だったのだ。
まぁそれは置いといて・・・
作品自体については、正直「どうかなぁ・・・」という感想。
もちろん、他の作家には書けない、いかにも伊坂らしい味わいはあるのだが、ちょっと「キツイ」感覚にはなった。
ラストも余韻はかなり残るが、逆に言えば残尿感がある、ということなのだ。
(好きな人には堪らないかもしれないが・・・)

No.1 8点 ボンボン
(2013/04/29 21:47登録)
繭美と星野という、すばらしいキャラクターに出会えただけで、かなりの高評価。人と人が出会って起きる化学反応が感動的で、趣向が凝らされ、笑いを散りばめながらも泣ける名作だ。でも、伊坂幸太郎らしく謎は謎のまま、解決することは無いので、ミステリーではない、のかな。

3レコード表示中です 書評