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ミステリの祭典

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きみとぼくの壊れた世界
世界シリーズ

作家 西尾維新
出版日2003年11月
平均点7.50点
書評数4人

No.4 8点 虫暮部
(2016/06/10 11:28登録)
 ファンの欲目ではあるが、ミステリとしては小粒のネタを核に据え、周囲に分厚くコロモをかぶせて本を一冊でっちあげる、という場合に、そのコロモがこれほど美味い作家というのもそういないと思う。ネタが小粒なのも、コロモを美味しく味わうにはこれ以上入り組んだミステリ要素は邪魔、という冷静な判断なのだろう。本書では夜月が様刻にすがりつくシーンがあまりに印象的。“本の熟成”は私もよくやる。いろいろ敵に回しそうなミステリ談義も楽しい。
 因みに私は、西尾維新式の過剰なネーミングは好きだなぁ。同姓同名が偶然存在して余計なイメージをしょいこむリスクが少ない、と言うメリットもあると思う。

No.3 7点 メルカトル
(2014/10/26 22:19登録)
シスコンの兄とブラコンの妹と、その兄妹を取り巻く学友たちの青春ストーリー。ミステリの要素もあるが、とても本格とは呼べない、言ってみればエンターテインメント作品であろう。
それにしても相思相愛の兄妹は、読んでいて正直気持ち悪い。いわゆる妹萌えなのだろうが、あまりにもいちゃつき過ぎで、これは誰もが引き気味になるのではと思う。私には一人妹がいるが、勿論女として意識したことなど一度たりとてないし、大体「お兄ちゃん」などと呼ばれた記憶もない。まあ出来の悪い兄貴なのでさもありなんと言ったところだ。すまぬ妹よ、やくざな兄を許せ・・・
これだけ貶してなぜこの点数なのか、それは各キャラが立っているのと、かいとう編のクイーンばりの推理の構築が余りに見事だったからという理由である。もんだい編では、死体の状況すら分からず、これだけの材料でどうやって犯人にたどり着くのか不思議だったが、それを難なくクリアしている手腕が素晴らしい。作者自身が予防線を張っているように、容疑者を限定してしまっているが故に新たな問題が生じているのは間違いないが、可能性の拡張はどのミステリにも共通するものとして排除されている。よって、本作の欠陥とはなり得ないと判断してもよいだろう。
尚、各章に挿入されているイラストにもいくらか点数を差し上げたいくらい、作風とマッチしている。
しかし、様刻、夜月、箱彦、黒猫、六人と妙な名前を付けるのは、作者の趣味なのか。普通の名前でいいじゃんと思うけど。

No.2 6点 どうらく
(2007/11/14 18:01登録)
ミステリと思っていると、事件の真相にはがっかりさせられると思います。
暇つぶしとして、お気楽に読んで欲しい作品です。
けど、作品に出ている兄妹の掛け合いは相当萌えますよ。

No.1 9点 Pj
(2005/03/06 14:48登録)
脱格系のお手本のような作品。戯言シリーズやりすかはそこまで好きになれないが、この作品は素直によく出来てると思った。特に閉じ方はお見事。

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