裁くのは俺だ 私立探偵マイク・ハマー |
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作家 | ミッキー・スピレイン |
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出版日 | 1953年11月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 7点 | 斎藤警部 | |
(2022/04/30 11:34登録) “幸福だ。幸福だ。どうしてこんなに幸福なのか?俺はこの事件の”理由“を握ったが、どうして俺はこんなにも幸福でいられるのか?” 小さな子供と楽しい仲間が好きなマイク。女を大事に扱うマイク。フェアな勝負を愛するマイク。思索に手間を掛け饒舌なマイク。憎めないけど物騒なマイク。親友を虐殺されたマイク。じれったいほどギリギリまで騙され続ける私立探偵マイク・ハマー。。。。 言っちゃなんだが、泣けました。 真犯人は、かなり早い段階で光ってた人物ではありましたが、そこに照準定めてじりじりと読み進む過程には、まるで歌舞伎を観るような溢れる感興がありました。 黒幕のマトリョーシカ構造(に一捻り)、残酷な殺害方法のホヮイダニットにはそれぞれ興味深いものがあります。 あまりに見え見えな○○○○の手掛かりは、どうかと思いましたが。。 最終章のカットバック、俗受けに流さず、文学的○○○を道連れに締めたのは立派です。それにしても悲劇的エンディング。ある意味、映画版「オールド・ボーイ」に通ずるものさえ感じました。 |
No.3 | 6点 | クリスティ再読 | |
(2019/10/27 10:24登録) マイク・ハマー初登場で一大センセーションを引き起こしたベストセラーである。「殺し屋みたいな私立探偵」といったあたりの道徳的批判はともかくも、昔からよく「キセル小説」(冒頭と最後だけが金で、中間が竹)の典型例として挙げられてきた作品でもある。 まあ読んでて、中間部が本当につまらないんだよね。しかも実はこの中間部は単に死人を量産するだけで、ほとんど謎解きにも絡まないものだし...ハマーが女性とイチャイチャするのがメインみたいなもの。まだ本作では本妻というか秘書のヴェルダがそこまで姉さん的なパートナーにはなってないので、アクションor独白⇔エロ、の往復。この独白でも、もう少しするとヘンな哲学味を帯びてきて、それはそれで面白くなるんだが、本作ではまだ余裕がない。 けどね、最終章は俄然盛り上がるのだ。評者は昨晩最終章の手前で眠くなったから「翌朝のクリアな頭のお楽しみ!」と寝て、朝読んで今書いているところだったりする。真相が全然ワケワカな状態で最終章を迎えるハマー、「日曜日は悪い日だった」と落ち込みを見せているが、ここから月曜の夜まで悩みに悩んで手がかりを得る...この落ち込んでるあたりの描写が、何か、いい。テンション低い位置から徐々にエンジンがかかっていき、読む評者の期待感も迫り上がってくる。で、真犯人を待ち伏せして...でエロと暴力がないまぜになった真相解明&「裁くのは俺だ」で頂点を迎える。エクスタシーというものだ。 なので、本当に最終章のためだけにあるイビツな小説。最終章8点、それ以外4点で、何となく平均して6点。 |
No.2 | 6点 | 空 | |
(2012/10/07 11:32登録) この作家もぜひ読んでおかなければとずいぶん前から思っていながらも、やっと初読したスピレイン。 意外だったのが、マイク・ハマーの女性に対するモラリストぶり。文章については、ハメットやチャンドラーとは比較できないとしても、ハドリー・チェイスほどの迫力が感じられないのは、ちょっとつらいところでしょうか。 ハマーを始めとする登場人物のキャラクターにしても文章にしても、まさに通俗ハードボイルドという呼称がふさわしい内容です。ただしストーリー展開は、miniさんも書かれているように意外に正統派ミステリっぽいところを持っています。 発表当時ブーイングを巻き起こすインパクトを放っていた作者の暴力や性に対する感性も、落ち着いてごく普通に楽しめるようになってしまったことには多少悲しみを感じながらも、このある意味「古典」にやっと接することができたことにとりあえず満足して… |
No.1 | 5点 | mini | |
(2010/09/07 09:41登録) スピレインは実は古本屋で格安品を見付けるたびに、ほとんどが絶版でもあるし一応入手しておいたのだが、長年積読状態だった作家でもある 別に理由は無いんだけど何となく読むの後回しになったままだったんだよなぁ 登場した頃は時代の寵児だった事もあり、本格派以外は一切読みませんみたいな読者ではない一般的ミステリーファンならば読んでおくべき作家だったのだが 今回このデビュー作を初めて読んでみたが、先入観と違う面もあり、すごく面白いとも思わなかったが、決してつまらなくもない 先入観で腕力にものを言わせて解決するのかと思っていたが、決してそうではなくて結構推理する探偵だよなハマーって 特に中盤で大学年鑑の手掛りを追って書店や図書館へ出向いて地道な調査をする件などはなかなか面白い よく暴力とサディズムとかのコピーで語られる作家だけれど、案外とそんなことなくて、ハマーの側から暴力に訴えるシーンはあまりなく降りかかる火の粉を払うだけだし、むしろ後続の私立探偵小説の方が暴力シーンが多かったりするのもあるからね 私なんかもっと派手な暴力シーンでもあるのかと期待してたら肩透かし気味だったよ もう一つの宣伝文句エロティシズムの方はそれなりに豊富 それとハマーって腕力というより良く喋る奴だぜ(笑) こんな饒舌な探偵はあまりいないよ、スペンサーやウィムジイ卿以上だな(再笑) 真犯人は見え見えなんだけど、これはなぁ、きっと毎度お約束ってことなんだろうしなぁ、仕方ないよな(再々笑) |