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ミステリの祭典

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ベウラの頂
ダルジール警視

作家 レジナルド・ヒル
出版日2000年06月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 7点 ことは
(2020/03/14 18:06登録)
少女失踪事件とパスコーの家庭の問題が、「親子問題」という切り口で繋がり、重層的に語られていく(出版時はシリーズ最長の)大作。
冒頭に地図があり、謎解きファン心理をくすぐるが、その部分はなあんだという感じ。
パスコーの娘の話が他から浮いている感じはするが、それ以外は安定した語りの面白さ。
内容、作風とも、代表作といっていいと思う。

No.3 5点 nukkam
(2016/07/27 16:16登録)
(ネタバレなしです) 1998年発表のダルジール警視シリーズ第15作でずっしりと重さを感じさせる大作です。本書では女刑事シャーリー・ノヴェロが第4の主役ばりに存在感を示しています。その一方でダルジールは時に言葉づかいが下品になったり皮肉屋になることはあっても全般的にはおとなしく、いつものように羽目を外すことがないのには物足りなささえ感じます。パスコーの娘ロージーの病気を心配する場面なんかは結構しみじみしますけど。謎解きはそれほど論理的ではなく、夢判断でヒントを掴んだりしていてどこかもやもやした感じですがその中に恐さや痛々しさをひしひしと感じさせます。でもさすがにこの長大さには疲れました(とはいえヒルの大作主義は本書以降も更に拍車がかかるのですが)。入門編としてはちょっと薦めにくいです。

No.2 6点 江守森江
(2011/01/08 03:50登録)
AXNミステリー「ダルジール警視」今週の放送エピソードはコレ。
余程のシリーズ・ファン以外は読むのを躊躇うだろう分厚い壁が立ちはだかる。
適度に端折ったドラマ版だが、ミステリーの骨格が舞台を英国の田舎に移し、ダルジール達を主役に変えた「コールドケース」だから、ドラマ視聴が可能なら原作も楽しい部分を拾い読むおさらいで十分だと断言してしまおう。
テーマが親子愛で、家は息子だがパスコー夫妻の気持ちは痛いほどわかる。
娘(ローズ)の回復が事件解決に絡むのは嬉しい展開。
現在の事件から過去の未解決事件に遡る形態だけでなく(ドラマ・原作共に)音楽で魂を揺さぶる手法が「コールドケース」ソックリでビックリした。
※オマケ
諸外国の控訴時効について勉強してしまった。
日本はダメでも、まだフランスを舞台にすれば控訴時効絡みのミステリーが書ける。

No.1 7点 kanamori
(2010/04/13 23:59登録)
ダルジール警視以下<聖三位一体>シリーズの大長編。
このシリーズは巻を重ねる毎に分厚くなっていく。「骨と沈黙」がポケミスで450ページを超える最長と話題になったのはいつのことだったか、なんと本書は550ページだ。しかも各ページぎっしり活字で埋まってる。
ヒルじゃなくてマウンテンだと揶揄されるのも分かります。
さらに、この「ベウラの頂」が頂ではなく「死の笑話集」は650ページだとか。もうヒルの愛読者はマゾ的書痴の集まりですね。
でも、ポケミスのこの重量感、好きです(笑)。
本書の肝は冒頭の山のイラストです。ずっと眺めていれば本文を読まなくても真相がわかる(かもしれません)。

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