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ミステリの祭典

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タイム・リープ あしたはきのう

作家 高畑京一郎
出版日1995年06月
平均点7.00点
書評数5人

No.5 6点 パメル
(2018/11/15 13:44登録)
タイムパラドックスをテーマにした爽やかなSF青春ミステリ。
時間移動の法則性をミステリの手法で解明するという点は、新鮮さを感じたし推理する面白さがある。                             ジュブナイル作品としては、プロットの組み立て方、張り巡らされた伏線の回収の仕方が素晴らしく、タイムトラベルものにありがちな論理的矛盾も無く、意外な真相も用意されており完成度は高い方だと思う。
以上の点は、優れていると思うが肝心のストーリー自体に面白味が欠ける。

No.4 10点 Izumi
(2015/07/21 00:59登録)
高校二年の鹿島翔香はある日、自分が昨日の記憶を消失している事に気づく。そして日記には自分の筆跡で書かれた見覚えの無い文章があった。“あなたは今、混乱している。若松くんに相談なさい…” 校内トップクラスの秀才若松和彦は翔香の身に何が起こっているのか調べ始める――。

<タイム・リープ>の概念を作り出したタイムトラベルミステリの傑作。
本書以前のタイムトラベルものは跳躍者の体ごと時間移動をするものであった。その時に、同じ時間軸に自分が存在する場合に跳躍者が元々の自分を押し出す形になる『時をかける少女』パターン。その時間軸に元々存在する自分と、跳躍者である自分とが存在する『バック・トゥ・ザ・フューチャー』パターン。どちらにしてもタイムパラドックスの矛盾を説明できるものではなかった。

そこで作者が作り出したのが跳躍者の意識だけが時間跳躍する<タイム・リープ>である。
グリムウッドの『リプレイ』のような<ループもの>とも違い、時間軸は未来にも過去にも移動するが二度同じ時間軸を経験することはない。
跳躍者の体は通常の時間軸を過ごすため、いわゆる質量問題はおきようがない。またこれは<タイム・リープ>という概念の本質を語ることになってしまうのだが“過去改変によるバタフライ効果もおきない”のである。
つまり本書はタイムパラドックスをなくしてしまったタイムトラベルものなのだ。これを考え出した高畑京一郎は天才である。

さらに凄いのが一分の隙もなく組み立てられたプロットである。どんな本格推理でもSFでも、本書以上に完璧なプロットの小説を私は読んだことがない。最初から最後まですべてがピタリと嵌るのには驚愕を通り越して感動してしまった。これから読む人は是非タイムテーブルを作成しながら読んで欲しい。

本作の発表以降、漫画、アニメ、ゲームなど国内サブカルでは<タイム・リープ>を使用した作品が数多く作られたが、もちろん本書を超えるものはない。ライトノベルだという偏見で読まないのはもったいない傑作である。
なお本書は究極の徹夜本であることも断っておく。就寝前に読み始めて寝不足になるのだけは気をつけていただきたい。

余談だがヒロインが鹿島でその友達は水森、三原、矢内。若松には可愛い妹がいて、教師は中田である。元ネタがすぐわかった人は私と同世代ですね(笑)

No.3 6点 ボナンザ
(2015/03/15 23:54登録)
まるでジェットコースターに乗っているかのような感覚。
この時代のラノベは様々な可能性にあふれていて楽しいですね。

No.2 7点 isurrender
(2012/02/26 14:44登録)
SFですが、伏線の張り方が非常によくミステリファンも楽しめると思います

No.1 6点 kanamori
(2010/08/24 17:40登録)
タイム・パラドックスを主題にした学園ものSFミステリ。
時間移動期間が1週間限定としている設定が、このタイプの小説の複雑さを回避していてるように思います。時間パズルの問題としてはライトノベルの水準を超えた質の高さでした。
読了後に、最初にもどりプロローグを読み返すと、読者をもタイム・リープさせる仕組みになっている所が面白い。

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