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ミステリの祭典

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ホック氏の異郷の冒険
サミュエル・ホックシリーズ

作家 加納一朗
出版日1983年08月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 7点 虫暮部
(2020/11/18 11:03登録)
 冒険活劇としては、複数の敵役それぞれの絡み方が中途半端に思えて、少々物足りない。しかし明治期東京の活写と、端役に至るまで血の通った人物造形の巧みさに引き込まれた。
 若干時代がかった語り口も語彙が増えて誠に重畳。①烏鷺を戦わす②靉靆として③肯綮にあたる――意味判る?
 それにしても、このサミュエル・ホック氏なる人物は一体何者なのだろうか。判りそうで判らないもどかしさに、頬がムズムズする。

No.3 6点 nukkam
(2018/10/05 22:40登録)
(ネタバレなしです) 加納一朗(1928-2019)は小説家としては1960年のデビュー以来50年近いキャリアがあって書かれた作品も子供向け作品からSF小説までと多彩ですが、さらには漫画原作やアニメ脚本、アニメソングの作詞まで手掛けています。ミステリーの代表作とされるのが長編3作と短編2作のサミュエル・ホック氏シリーズです。ホックと言われてもぴんと来ない読者もいるかもしれませんが、実は英国の有名な探偵です。1983年発表のシリーズ第1作である本書ではその素性をはっきりとは説明してないものの、その描写を読めばかなりのミステリー好きの読者は気づくでしょう(ちなみに作者あとがきでネタバレされてますし、角川文庫版に至っては堂々とホックを表紙カバーに描いています)。要するにパスティーシュミステリーなのですがホックにとっての異郷である日本の描写がかなり凝っていて、作中時代が1891年ということもあって時代描写に作者のオリジナリティーを感じさせます。名探偵ならではの鋭い推理を披露しながらもホックが日本の文化風習を理解しきれていないため、探偵助手役の榎元信のサポートも重要な役割を果たしています。本格派推理小説と冒険スリラーのジャンルミックスタイプですが読者が推理に参加できるプロットでないのはちょっと残念。でも元ネタである原典作品もそういう作品が多いのですから、パスティーシュとして評価するならそこは弱点とは指摘できないですね。

No.2 5点 kanamori
(2010/08/02 17:27登録)
スイス・ライヘンバッハの滝に落ちて行方不明になったホームズが、その間、明治時代の日本を訪問していたという設定のパスティーシュ本格ミステリ。
設定は面白いが、明治時代の雰囲気・情景描写がいまいち。中身のミステリ部分もあまり出来がいいとはいえない。
これで協会賞というのはちょっと不思議。

No.1 7点 測量ボ-イ
(2010/03/25 00:22登録)
あまりにも有名な名探偵、シャ-ロック・ホ-ムズが失踪中
に日本に立ち寄って事件を解決するという異色作。
暗号と密室の謎があり、解決は平凡ですが、ホ-ムズに解い
てもらうと同じ密室でもハクがつくもの(?)

明治時代の時代設定で、陸奥宗光や伊藤博文など当時の政治
家も登場し、楽しく読めました。

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