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ミステリの祭典

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プールの底に眠る

作家 白河三兎
出版日2009年12月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 5点 モグラの対義語はモゲラ
(2022/08/09 18:48登録)
読んだのは文庫本版。
自殺手前の少女と出会った高校生の恋愛小説と言う事で、心地よい文体の青春小説だったのだが、性格の悪い言い方をすると雰囲気小説だった。
ミステリっぽいところは、多分妻なり由利の名前なり主人公の弟に関する事なり、あとセミの家族の話とか由利の父の件とかなのだろうが、ちょっと驚く程度でそんなに必須な要素と思えなかったなあ。でも飽きさせずに読ませる良いフックになっていたような気もする。
文章の雰囲気が似ているからという理由だけで、自分は「ぼくと、ぼくらの夏」や「完全なる首長竜の日」と比べてしまったのだが、その辺に比べるとミステリ小説としては若干魅力に欠けるかなあ。

No.2 6点 メルカトル
(2018/05/15 22:20登録)
ぬるま湯の様な描写と展開を、心地よいと感じるか、刺激が足りないと感じるかは読み手によって随分変わってくると思います。私は当然後者。これは最早ミステリというより文学に近いです。というわけで、終始頭から離れなかったのが、何故本作がメフィスト賞を受賞したのかでした。それが腑に落ちたのはようやく終章に入ってから。

ここに至ってようやく作者の企みが明らかになります。一言で言うと「やられた」って感じでしょうか。確かにそれ程の衝撃ではありませんが、あとからじわじわ来る辺りが心憎いではないですか。構成の妙ですね。新書で刊行され時から大幅に変更されたプロット、それが良い影響を与えたのか、逆効果だったのかは読み比べてみなければ分かりませんが、ミステリ的には正解だったのでは?と思います。

それにしても終章で徐に姿を現した佐々木の爺さんのキャラは、本当にいい味出しています。主人公を始め、誰も彼もが心のどこかに歪みを抱えているような人物ばかりの中、この人は素直にいい人だと感じましたね。
主人公が心情を吐露する場面の「一度でいいから両親に、幸せになってもいいと言ってほしかった」というセリフが本作を象徴している気がしました。これは心に突き刺さりましたよ。でも、決して人に薦められる小説とは思いませんが。

No.1 4点 kanamori
(2010/03/05 11:48登録)
留置所内で回想する13年前のセミと出会った夏。
相性が悪い「僕と君」派の青春ミステリ。セミと名付けた少女の造形とか駅の掲示板のエピソードなど魅力的に描かれていると思うが、ぬるい文章が肌に合わなかった。若い読者だと、また違う評価だと思うが。
「衝撃的結末」も少しも衝撃を受けなかった。

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