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ミステリの祭典

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007/007は二度死ぬ
007 旧題「007号は二度死ぬ」

作家 イアン・フレミング
出版日1964年01月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 蟷螂の斧
(2022/03/03 20:21登録)
映画での日本の描き方はずいぶんおかしいところがあったと記憶(脚本はロアルド・ダール氏)。小説の方は、裏表紙にある「ボンドの眼を借りた日本観が横溢する注目作」の通り、エピソードがふんだんに挿入されています。著者による訪日のおかげですね。まず、笑ったのが「じゃんけん」と「あぐらをすると、がに股になりそう」でした。なお、びっくりしたのが「帝銀事件」が取り上げられていたことです。ただ、ボンドが日本人に変装するのはどうしても受け入れがたい(笑)。地味ですけれど、悩むボンドもいい。

No.2 7点 クリスティ再読
(2019/03/16 09:19登録)
その昔は本作は「国辱映画(小説)」なんて呼ばれたこともあったけども、今ネットで検索してみると、映画・小説ともに「裏ベスト」という声も高い。日本人にシャレが判る人間が増えたせいもあろうが、本作で描かれた「日本の像」が、今ではずいぶん過去のものとなってしまい、適切な「距離」をもって、(かつての)肖像を見ることをできるようになった...というのもあるだろう。昭和は遠くなりにけり、だ。
本作はフレミングが二度日本を訪れたその印象を、007に仮託して書いた旅行記みたいなものだ。本作の面白い部分は、そのガイジンの目から見た日本の像なのだが、通常の旅行記が対象となる国のイメージを、何かまとまったものとして描きたがるのに対して、本作は極めて詳細で鮮烈なデテールと、混沌とした不可思議の国としての全体像を、統合しまとめようという意図がほとんど見受けられないことだ。デテールへの固執・偏愛が際立って、あたかも悪夢の中にいるような印象を受ける。「悪夢のようなニッポン」ではなくて、「悪夢としてのニッポン」を本書は実現してしまっている。これは稀有な旅行記だ。
この時期、フレミングは超ベストセラー作家であり、何を書こうとも絶対にベストセラーになってしまう、という空恐ろしい状況にあったわけだが、それに対して自身でも皮肉な想いがあったのだろうか、見事にそんな読者の期待を肩透かししたようにも思える。
そりゃさあ、冒頭からボンドとタイガー田中とのお座敷遊びで始まるんだよ。ボンドが吐く悪態を咎めて、日本の罵倒語のウンチクをタイガーは教えるし、サントリーのウィスキーはお気に入りのようだ。伊勢神宮に参拝すると修学旅行の高校生の団体もいるし、牛にビールを飲ませて焼酎でマッサージをするのを見学する...テレビで「七人の刑事」を見てから寝る。
と本当に主人公はフレミングであり、自らのキャラクターである007に仮託して、フレミングは日本を旅する。芭蕉の俳句に触発されて

人生は二度しかない/生まれたときと、死に直面したときと

というHAIKUを作る。俳句というよりもエピグラムっぽいのがご愛嬌。ヘンな比較をしちゃうが、「○○七号土佐日記」かもね。だから最後50ページの「死のディズニーランド」でのブロフェルドとの最終対決は、口実というか言い訳というか、海外視察に赴いた市会議員の報告書みたいなものだ。真に受けちゃ、だめだよ(苦笑)。

No.1 4点 江守森江
(2010/02/15 21:08登録)
物置の整理をしたら偶々ビデオ録画してあった「この作品」の映画と本がセットで出てきた。
ショーン・コネリーに浜美枝、更には丹波哲郎大先生まで登場する懐かしさだった。
日本が舞台だからわざわざ録画したのだろうが、当時の記憶は定かでない。
原作はそれなりのスパイ物だが、この作品の頃には映画化を前提に書いているのだろう。
それを考えればアクションや当時としてはお色気満載な映画を観た方が断然良い。

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