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ミステリの祭典

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原始の骨
スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーシリーズ

作家 アーロン・エルキンズ
出版日2009年09月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 nukkam
(2016/07/01 16:56登録)
(ネタバレなしです) 2008年発表のギデオン・オリヴァーシリーズ第15作の本格派推理小説です。シリーズ作品として変わらぬ安定感があり、専門知識と軽妙な会話の絶妙なバランス、謎解きの面白さ、押しつけがましくない旅情(本書の舞台はジブラルタル)などが楽しめます。ただ自分の場合、思考力が衰えてまともな会話ができず食欲だけが旺盛な高齢者の描写が自分の亡き父親の姿とあまりにぴったりと重なってしまい、楽しむというよりは感傷にひたりながら読んでしまいました(個人的な思い出話ですみません)。

No.3 6点
(2014/09/10 10:10登録)
今作の謎は、ジブラルタル(海峡ではなく土地)で起きた殺人事件や、ギデオン自身に降りかかってきた殺人未遂事件 等々。けっこう盛り沢山です。
でも、謎解きがイマイチです。手も足も出なかったということもありますが、すっきりしません。

推理小説としての際立ったうまさは見出せませんでしたが、提起される謎自体はなかなか魅力的。それに、考古学とうまく噛み合っていることにも満足しました。
ネアンデルタール人と現生人類との混血を示唆する骨の謎や、その他開示される薀蓄もなんとも興味深い。事件の背景となるテーマは、いままで読んだなかではいちばんでした。

なお、本作から得た情報ではありませんが、ネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスによって滅ぼされたという説があるようです。絶滅理由にはいろいろと説があって、いまだ謎です。辺境の地に今も生息しているという小説もありましたが、共存していたらどうなっていたでしょう。

本シリーズは安心して読めます。
本を前にしてのワクワク感は超本格物にくらべれば落ちますが、読みやすい点は一級品です。旅先でのジュリーを交えての軽めの(軽すぎはしない)会話によるものなのでしょうか。
個人的には海外版トラベル・ミステリーという位置づけです。

No.2 6点 E-BANKER
(2011/12/11 21:38登録)
大好評のスケルトン探偵シリーズの15作目の長編。
今回の舞台は、イベリア半島にあり古くから要所として知られている地・「ジブラルタル」。

~ネアンデルタール人と現生人類との混血を示唆する太古の骨・・・。この大発見の5周年記念行事に参加すべく骨の発見されたジブラルタルを訪れたギデオン。だが、喜ばしい記念行事の影には発掘現場での死亡事故をはじめ、不審な気配が漂っていた。彼自身まであわや事故死しかけ、発見に貢献した老富豪が自室で焼死するに至り、ギデオンは疑いを深めるが・・・一片の骨から先史時代と現代にまたがる謎を解く!~

まずはテーマが興味深い。
「ネアンデルタール人」なんて久しぶりに聞いた気がする。
(私の頭の中では人類の直接の祖先がネアンデルタール人だという認識だったが、どうもそれは誤っているらしい。)
こういう話題に「捏造」というのは、非常に親和性があり、門外漢の私にもたいへん分かりやすいプロットだった。
それはともかく、本筋の連続殺人事件は何だかオマケのように思えた。
トリックや仕掛けには特に見るべきものはなし。
ただ、フーダニットについては、なかなか小憎らしい「伏線」が撒かれてるのが唯一の読み所か。
ある「地名」についての誤解や、真犯人の「性格」についての記述がいい具合にラストで回収されていく手練手管は見事。

ということで、安定感十分のシリーズものという評価でいいのではないでしょうか。
(ジブラルタルの薀蓄も満載でなかなか興味深い)

No.1 7点 Tetchy
(2009/12/16 23:36登録)
今回は考古学の世界によくある捏造事件をテーマにした構成になっている。これは作中でも語られている実際の事件がモチーフになっているのだろう。

特に今回最も興味を惹いたのは作中に出てくるある有名な地名について。ネタとしては小粒だが、こういうの、けっこう好きだ。

しかしミステリの部分よりもシリーズを重ねるにつれ、余談の部分であった考古学の学術的薀蓄の方が面白くなってきているのだから、困った物だ。

そしてジョン・ロウの不在は痛い。彼がいないと物語のウィットが薄まった感じがするのだ。既に本国では次作が刊行されているそうなので、それにはジョンが登場している事を願うばかりだ。

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