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ミステリの祭典

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雷鳴の館

作家 ディーン・クーンツ
出版日1989年11月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 6点 ROM大臣
(2022/10/05 16:46登録)
囚われの乙女を襲う謎めいた怪異の数々というゴシップ・ロマンスの伝統的スタイルを踏まえながら、作者はヒロインを「まな板の上の鯉」的な極限状況にいきなり放り込み、不条理極まるシーンを次々と直面させることによって、ゴシック特有の冗長さを排し、緊迫感あふれるストーリーを展開している。
神も仏も畏れぬ結末のつけ方は、作者らしい。

No.4 6点 メルカトル
(2022/06/19 22:25登録)
スーザンは見知らぬ病院のベッドで目覚めた。医者が言うには、彼女は休暇中に交通事故に遇い、このオレゴン州の田舎の病院に運びこまれ、三週間も意識を失っていたのだという―。しかし、彼女にはそんな記憶はなかった。と同時にこれまで自分がたずさわっていた仕事の内容、同僚の名前が思い出せない。なぜか彼女には、そこだけ記憶がないのだ。そして、彼女は病院の中で信じられないものを見た。大学時代にボーイフレンドを殺した男たちが、当時の若い姿のまま患者として入院しているのだ。その上死んだはずの男たちまでがスーザンの目の前に現れた。これは狂気か?幻覚か?その後もぞくぞくと怪異現象は起こる。そしてスーザンが最後に発見したのは信じられないような事実だった。人気沸騰の鬼才クーンツが放つ、異色の大型ロマンス&サスペンス・ホラー。
『BOOK』データベースより。

冒頭、記憶障害で「私は誰?ここはどこ?」的な主人公のスーザン、次第に記憶を取り戻してはいくものの、肝心の自分が勤めていた頃の事が思い出せません。この辺りのサスペンスフルな展開は後のストーリーに期待を持たせます。そして起こる信じられない事態、これには流石に驚きを隠せません。一体これはどういう事なのか、とても合理的な解法が思い付きません。

しかし結局は何の捻りもない真相ではありました。これはホラーだから許されますが、本格ミステリだったとしたらとても許容出来ないものです。もう少し意外性があったならとんでもない傑作になっていたと思います。意外性と言えば後半の反転は個人的にかなり意表を突かれました。ですが、そっちかあと云うようなあまり意図していない方向に進んで行った為、如何にもアメリカ作家のやりそうなことだなと少しげんなりしてしまいました。
まあしかし、全体としては楽しめましたよ。ただ第二部は本当に必要だったのかと思わざるを得ませんでした。

No.3 5点 蟷螂の斧
(2015/04/28 17:56登録)
ホラー・サスペンス。入院中の主人公の身の回りの起こる怪奇現象。夢、幻想、それとも精神異常?と前半は引っ張っていきます。後半、残り3分の1で、がらりと展開が変わります。この展開について行けるかどうかで評価は分かれてしまいそう。私の場合は、ついて行けない派でした。

No.2 6点 kanamori
(2010/12/30 13:02登録)
交通事故で記憶喪失になった女性が、ある病院で遭遇する悪夢のような体験を描いたホラー小説。
という感じで、終盤までは不条理なゴースト・ストーリーと思い読んでいると、最後にトンデモないカラクリが......。
小山正編「バカミスの世界」の中で、ホラーなのにバカミス・ベスト100に選ばれたというおバカ・ホラー。ホラーファンより本格ミステリ愛好者にお薦め。(本当か?)

No.1 9点 Tetchy
(2009/10/30 00:27登録)
私的クーンツ裏ベスト。
誰もが胸の奥底に抱いている若き日、もしくは幼き日の恐怖体験を完膚なきまでにこれでもかこれでもかと畳み掛けるように主人公に叩きつけるその様は、もしこれが自分にも身に覚えのある恐怖体験へと擬えさせられ、こちらも仮想体験を余儀なくされた。
しかもとてつもない設定を用いた島田荘司もかくやと云った本格ミステリ的などんでん返し付き。
とにかく恐怖体験に持って行き方が今回はすごかった。今までのクーンツならばじわじわと予兆を畳み掛け、いい加減その物ズバリを出してくれよっ!!といったじれったさがあったのだが、今回は普通に振舞っていた中、ああ、今日は何事もなく過ぎていくのかという安堵感を与えた瞬間、ズドンと主人公を恐怖のどん底に陥れる手際が本当に見事で、背筋がゾクッと来た。
最後の1行はやはりクーンツらしいというべきか。

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