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ミステリの祭典

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運命のチェスボード
ウェクスフォード警部

作家 ルース・レンデル
出版日1987年04月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 5点 nukkam
(2020/06/22 22:02登録)
(ネタバレなしです) 1967年発表のウェクスフォードシリーズ第3作の本格派推理小説です。シリーズ前作の「死が二人を別つまで」(1969年)ではアマチュア探偵の方がウェクスフォードよりも描写が目立ってましたが、本書ではバーデン警部とドレイトン刑事が目立ったように感じます。特にドレイトンの公私混同捜査はどうなるんだろうかとやきもきさせます。但し謎解きプロットはかなりとらえどころがありません。手掛かりは殺人を示唆する警察署宛ての匿名の手紙のみという死体なき殺人を扱っており、被害者かもしれない失踪者と容疑者たちの接点も曖昧なまま進む物語は結構だらだら感があります。とてもシリアスな作品なのですが、それでいて真相の一部にはどこか人を食ったようなところがあります。

No.3 4点 ◇・・
(2020/03/02 18:17登録)
思わせぶりな書き出しから、どうやら殺人が起こったらしいというサスペンスだけで引っ張っていく。人間が描けていても事件が抜けているというか、真相はあっても謎はないという感じ。ウェクスフォードもやたら高圧的なだけだし。

No.2 5点 E-BANKER
(2020/01/18 14:54登録)
作者の主要シリーズのひとつ、「ウェックスフォード警部シリーズ」の長編三作目。
原題は“Wolf to the slaughter”(屠殺場への狼?)なのだが、なぜ邦題はこうなったのか?
1967年の発表。

~アンという女が殺された。犯人の名前は“ジェフ・スミス”だ。そんな匿名の手紙が、ある日キングスマーカム署に届いた。よくあるいたずらだ。屑籠行きになりかけた手紙だが、時を同じくして妹のアンが失踪したと付近に住む画家が申し出るに及んで、事態は一変する。捜査に乗り出したウェックスフォード首席警部たちの前に、次々と明らかになる新事実。しかしそのどれもが、関係者の偽装と中傷を誘い出し、事件は藪の中の様相を呈していくのだった~

うーん、何ていうか、非常にモヤモヤしたストーリーだった。
事件は若く美しい女性の失踪事件。ある場所から大量の血痕が発見されるに及び、殺人事件ではないかという疑念が持ち上がる。しかし、事件の正体がなかなか定まらないままページが進んでいき終盤へ突入してしまう。
もちろん、最終的には解決が付くんだけど、これじゃ最初の謎は何だったんだ!などと思ってしまう。

小さな町で発生した事件だし、関係者もごく狭いコミュニティの中の人物ばっかり。
それなのに、誰もが少しづつ嘘を付いているため、全体像がかなり歪んでしまった・・・ということかな。
目撃者の証言や残された物証も、事件を解決に導くというよりは、誤解を招き事件を混迷させてしまうのだから始末が悪い。
そもそも「スミス」なんていかにも偽名くさいしな・・・

で、もうひとつはドレイトン刑事の災厄。
刑事だって立派な男性なんだし、こういうことになるのも致し方ないって思ってたけど、最後に非常に苦い薬を飲むことになってしまう。かわいそうに・・・
全体的にはどうかなぁ。確かにプロットは十分練られているのかもしれないけど、どうにも煮え切らない感想になってしまう分、評価は割り引きたい。
(結局、チェスボードはなにも関係なかったような気が・・・)

No.1 7点 Tetchy
(2009/09/04 23:36登録)
今回の残念な点は2点。
まず登場人物表。これは明快にしすぎだろう。ある人物に関しては少なくともファーストネームだけでよかったのでは?
まあ御蔭で犯人判っちゃったけど。
2点目はタイトル。全然意味を成してないよ。原題『屠殺場に向かう狼』の方が最後に明かされる謎を髣髴させる点で断然勝っている。

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