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ミステリの祭典

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腐蝕の街
腐触の街シリーズ

作家 我孫子武丸
出版日1995年11月
平均点5.57点
書評数7人

No.7 5点 斎藤警部
(2026/02/28 01:58登録)
“俺以外に生き残る価値のある人間などいるとは思えなかったが、誉められて悪い気はしなかった。“

平成レトロフューチャー東京冬の陣。
時代は現在より少し前の2024年。 1995年の刊行だから、四半世紀を超えて約三十年後を描いた作品という事になる。
現実歴史との答え合わせは、通貨のインフレ以外はだいたい合っている。 通信関係で、目立たないが微妙な根本的相違があったかな。 社会やテクノロジー進化へのきめ細やかな考察など、光っていたと思う。

そんなレトロフューチャー2024年の東京で、連続猟奇殺人事件(謎の違和感付き)が起こる。
殺し方も悍(おぞ)ましいが、何より奇怪なのは、その犯人が、数年前に処刑された連続猟奇殺人鬼その人としか思えない状況を呈していること。
その殺人鬼を捕獲した警部補が本作の主人公だ。 彼は街の喧嘩の仲裁(?)で知り合ったナイフ使いの売り専少年を家に匿い、連続殺人の捜査で若い女性刑事等と知り合い、肉体派や頭脳派の悪党どもに狙われ、処刑された筈の殺人鬼らしき人物からも命を狙われる。 ここまで6点。

「アフリカか。 楽しそうだな」

仮説のダミーながら、なかなか目からイルカが落ちるすごい殺人動機が語られた。 それだけで7点の蜃気楼が見えた。

しかしながら、一方で芳しくない文章傾向も目立つ。 渋い敵対関係が続くと思われた二人があれよあれよとなし崩しに仲良くなっちゃったり、妙にイージーで雑な進行がスリルを殺ぐ。 深夜アニメのような萌え要素配置もちょっと鼻に来た。
荒廃した大都市のイメージは付け焼き刃でイメージ広がらず定着せず。 ふやけた、可愛らしい下ぶくれのハードボイルド。 甘~~い警察小説。 葛藤の無い、お手軽な冒険譚。 戯言臭いボーイズなんとか。 妙に安定した、安心の犯罪ストーリー。 だが、それが愛おしい、、 と言ってみただけ。 3点かな。 そんなんでありながら(?)滲み出す、或る、あの、ありがちな疑惑。。

“私は裸じゃないとよく眠れないんだ。 …… いいか。 誰にも言うなよ”

ところが、終盤クライマックスでは打って変わって … この ”特殊心理描写” はちょっと凄い。 “不自然な演技” の妙味が熱い … 「そいつのことは考えるな!」 … 映画にしたいような燃える名シーンが襲った! … 「普通にしていればいいんだ。 そうだろう?」 … そこでさん付け(ちょっと違う)か … “しかしどうやら、すべては本当のことだったらしい” … なんだおまえ、分かってるんかーー … 「…… 助けに?」 … (たぶん)最高の死に様、死に際で魅せてくれた。 … 「何があったのか説明してもらえますね」
7点かな。

ところがどっこいドンタコス。 この激熱にして狡猾なクライマックスから、極楽地獄の甘々クロージングへと、そんなん聞いてない、あきれた瞬殺のダイヴには唖然とさせられちまった。
やっぱり5点。

“古くさいトリックだった。”

だが ・・・・ このエンドだ!!!!
オリジナル劇画版 「オールドボーイ」 のような甘酢で引き締める終結と予断したが、違った ・・・・ 
・・・・ しかし、物語の評価としては既に時遅し。 ストーリーバランスも崩した。
面白かったから、いいんだけどね。
5点の上の方。 5.3くらい。 

“夜は不気味な廃墟のようにしか見えない街だが、朝日の中では引退した老女優のように哀れを誘う。”  ← 絵が浮かぶねえ

No.6 7点 虫暮部
(2024/12/27 11:11登録)
 ハード・ボイルド的筆致に違和感は無く、イメチェン(ではないと作者は言うが)成功。脳と身体と、二段階方式の再生のアイデアは新鮮。確かに身体感覚を一貫させるにはああする必要があるなぁ。ただ、ディスクをばらまいて乗っ取り成功者を待つ手法では、成功者が複数生まれて鉢合わせするリスクがあるのでは?
 初出が1995年で作中設定は2024年12月。ふーむ、我孫子武丸の未来予測はこういう感じか~と意地悪く読んでしまった。(件の “スパ” は別として)大ハズレの変な予測が無いので物足りなかったりして。

No.5 8点 VOLKS
(2008/10/29 00:16登録)
個人的には凄く面白かった。
ミステリィ度は低いが、ぐいっと引き込まれる作品。一気に読んだ。

No.4 6点 桜ノ宮
(2004/07/14 21:45登録)
図書館で読みふけった気がしますが、まぁ。。。うーん。
最初はなんじゃこりゃぁ?って思ったけれども、世界観が面白いと思いました。

No.3 4点 HS
(2002/08/31 17:46登録)
楽に読めましたが、内容は特に無し。

No.2 5点 テツロー
(2002/04/06 23:33登録)
 本格とは言いがたい、近未来バイオレンス・サスペンスといったもの。ラストのたたみかけるような展開は、良かったです。
 続編、まだ読んでないけど、何かボーイズっぽくなるのか?それだとやだな。

No.1 4点 すー
(2001/04/10 08:29登録)
うーん。「頑張れ、武丸!」と言いたくなった。普通の作品。

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