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ミステリの祭典

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有栖川有栖の本格ミステリ・ライブラリー

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2001年08月
平均点6.33点
書評数6人

No.6 6点 蟷螂の斧
(2023/10/15 12:17登録)
①埋もれた悪意(巽昌章) 6点 行方不明の息子を捜していると、息子を名乗る二人の人物が現れた。どちらが本物なのか?・・・証拠の手形、産婆の殺害(発想の転換)
②逃げる車(白峰良介) 5点 スピード違反の男はパトカーを振り切り、病院の前で急停車。警官がかけつけると男は病院内で死亡していた・・・NaCNによる自殺?(犯人特定の根拠が著しく弱い)
③金色犬(つのだじろう) 漫画なので採点対象外(私的方針)
④五十一番目の密室(ロバート・アーサー・1951年) 8点 書評済
⑤〈引立て役倶楽部〉の不快な事件(W・ハイデンフェルト・1953年) 8点 山荘で毛を剃られた全裸の銃殺死体が発見された。密室で血痕、銃痕は発見されなかった・・・死体の正体(④のオマージュ?スパイ大作戦風)
⑥アローモント監獄の謎(ビル・プロンジーニ) 4点 「密室大集合」アメリカ探偵作家クラブ傑作選(7)で書評済
⑦生死線上(余心楽) 6点 列車内での殺人。容疑者は別の列車に乗っていたというアリバイがある・・・列車からの電話(結構単純なトリック)
⑧水の柱(上田広) 8点  鉄橋を走る列車。下は急流の川。女が男を突き落したようだが、その女はどの駅からも降りていない・・・車掌の推理談(金の回収方法には驚き)
⑨「わたくし」は犯人……(海渡英祐) 8点 夫の愛人の小説風日記。そこには妻殺しの様子やアリバイ工作が描かれていた。実際、その通りの殺人が発生。愛人は犯行時刻、飲んでいて記憶がないと言い張る・・・トリックを使い捨てるトリック(なるほど)
⑩見えざる手によって(ジョン・スラデック) 5点 芸術家の元に届いた殺害予告。外で見張っていたが密室内で殺害された・・・12Fマンション(上下階が留守)

No.5 6点 ボナンザ
(2014/04/09 15:26登録)
有栖川らしいマニアックな選出で楽しめた。
密室ものが特におもしろい(いろんな意味で)

No.4 4点 mini
(2011/12/29 10:17登録)
発売中の早川ミステリマガジン2月号の特集は、”アジア・ミステリへの招待、特別寄稿=島田荘司”
残念ながら長編でアジア作家の作品は1作も読んで無いが、短篇なら1つ思い出したよ、このアンソロジーに入ってたんだ

角川文庫から4冊出ているアンソロジーのシリーズ
収録作品の質では法月編のが一番だと思うが、のりりんらしく重いと言うか遊び心にも丁寧さが出過ぎな印象
この種のアンソロジーには北村編くらいで丁度良いような
山口編は後発だけに先行する3者に目ぼしいのを使われちゃって気の毒な気がした
どうも他の書評者には北村編のが一番評価が低めだけど、私は有栖川編が一番つまらなかったな

第1部の”読者への挑戦”てのがつまらない、大体ねえ私は”読者への挑戦”なんて嫌いなんだよ、”推理パズル本”の類なんか読んだ事も無い
誤解されないように一応言っておくと、私はクイズは好きでTVのクイズ番組なんかは良く見る、だってあれは知識クイズだから
クイズによって新たな知識が得られるのなら歓迎だが、”犯人当てパズル”なんて時間の無駄にしか思えないし、こんな事に頭を使いたくない
ミステリー小説と”推理パズル”とは全くの別物と思っている、推理パズルを楽しめる人なんて私には理解出来ねえよ
特につまらないのが”つのだじろう”の漫画
私が普段から漫画を読まないせいもあるだろうけど、私が嫌いな典型的コード型の館ものだしね
漫画なら山口編収録の方のが良かった、文章ではなく漫画でしか表現出来ない芸当の漫画を選んでるのが冴えてる

ありゃ話が脱線しちゃった、脱線するわけじゃないのが収録の台湾人の作家が書いた鉄道ミステリー中編「生死線上」
作者の余心楽という作家は初耳だが、有栖川氏が香港旅行の折に雑誌連載されてたのを偶然見付け後に作者に了解を取ったとのことだ
台湾人だが実は欧州在住で、現地では欧州華人作家組合みたいなのに所属しているらしく、収録中篇も台湾ではなくスイスの鉄道が舞台である
内容は日本のトラベルミステリーの影響を大きく受けていて、なるほど真相のアリバイトリックはこれしかないよなって感じで、私はアリバイにアレルギーが無い読者なので、丹念に事件前後の時間の経過を追っていったら何となくトリックは読めた
不満なのは探偵役の造形で私が最も嫌いなタイプの探偵役なので、こういう部分は日本の悪しき影響を受けずに独自性を追求して欲しかった

収録作の資料的価値で言うと、ロバート・アーサー「五十一番目の密室」とW・ハイデンフェルト「〈引立て役倶楽部〉の不快な事件」
「五十一番目の密室」は現在では早川が伝説のアンソロジーを復刊しちゃったから希少価値は薄れたが、トリックは超有名な短篇だ、まぁトリックで言うなら北村編収録の同じアーサー「ガラスの橋」の方が優れていると思うが
「五十一番目の密室」のトリックは昔から有名だったので、さらに別の作品がよく引き合いに出される
それがハイデンフェルトの「〈引立て役倶楽部〉の不快な事件」で、「五十一番目の密室」の極端なトリックをさらに推し進めた究極密室トリックだ
このトリックも昔から有名だったが、何と言う作品なのか長い間謎だったのだが、作品名が判明したわけだ
題名の元ネタは言うまでも無かろう
この作品、実は講談社の別のアンソロジーでも読めるんだよね、案外と知られていないが、こちらのアンソロジーも所持はしているのでいずれ機会が有ったら書評しようかな

No.3 8点 測量ボ-イ
(2009/08/14 10:19登録)
これは良作揃いでおおいに楽しめました。
特に印象に残るのは以下の3作。

「金色犬」
漫画家つのだじろう氏の作品。漫画の体裁はとっているもの
の、伏線も十分の本格仕立て作品です。

「生死線上」
台湾の作家がスイスを舞台に書いたトラベルミステリ。この
手のものが好きな方にはお勧めできます。日本以外で鉄道ト
ラベルものの作品に出逢える貴重な作品。

「51番目の密室」
トリックはこのサイトをご欄になる方なら殆どの方が知って
いるでしょう。そう、僕もトリックだけ知っていて作品は初
めて読んだのですが、ネタを知っていても感動しました。

No.2 7点 江守森江
(2009/05/22 14:14登録)
最初の犯人当て3作品(漫画含む)だけでも充分お買い得、古本屋で見つけたら是非。
※注意
図書館だと評論のコーナーにある場合あり。

No.1 7点 こう
(2008/12/24 00:25登録)
 個人的にはアンソロジーは一作品でも埋もれた作品が見られれば満足なのですが、この作品では海渡英祐の「「わたくし」は犯人」が一番気に入っています。この作品を読んでから氏の「閉塞回路」を手に取るようになりましたが傑作でした。
 他にも有名なトリックであるロバートアーサーやハイデンフェルトの作品が読め大満足だった覚えがあります。
 個人の短編集だと全体として面白くないと不満ですがこういうアンソロジーですと何作か面白ければ個人的には満足です。

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