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ミステリの祭典

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世界短編傑作集5
江戸川乱歩編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1961年05月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 7点 クリスティ再読
(2023/03/19 09:21登録)
さて評者もこのシリーズ最終巻。今となっては「現代」を扱ったはずの最終巻も大古典になっている。昔読んだときには「創元の海外ミステリのモダン」の定番紹介だった本だったのだが、隔世の感も強いなあ(約50年前か...)

だから古典的な「名探偵小説」だとマーチ大佐登場の「見知らぬ部屋の犯罪」くらいしかない、ということにもなる。「黄色いなめくじ」だと名探偵登場ではあっても、清張の「鬼畜」を連想するのが自然じゃないのかな。貧困問題を陰鬱な心理描写でドラマチックに描いたヒューマンな味わい。
「心理」が重視されることもあって、小説としての側面が追及されることになるから、長めの作品にいいものが多い。「ある殺人者の肖像」なんてそうじゃないかな。子供のプライドと親の愛の相克がよく描けていて、心が痛い作品。
中編で名探偵小説、といえばネロ・ウルフ登場の「証拠のかわりに」が、モダンな意味での「名探偵小説」の回答、ということになるのだろう。キャラクター小説の側にシフトして、それで成功している人気シリーズのわけだからねえ。いややっぱり楽しいよ、これ否定しちゃいけないことだと思ってる。前にも書いたが、ウルフ&アーチ―物って、ホームズ探偵譚にあった「度胸一番の駆け引きや土壇場での機知」といった「ミステリのパズラー化」の中で意図的に無視された部分の楽しさを、しっかりと再現したシリーズなのでは?なんて評者は思っているのだ。

だから逆に、短い作品というのは「アイデア・ストーリー化」してしまう。それは当然なのだが、技巧に走るわけだから、定型的な要素を排除したインパクト重視の語り口に傾いてくる。だからこそ「ミステリ古典」からはこちらも逸脱しつつあるわけだ。

というわけで、評者もいろいろと考えることも多いこのシリーズでした。

No.4 7点 斎藤警部
(2017/02/15 07:06登録)
やっぱパトリックことクエンティン「ある殺人者の肖像」結末が胸に残像ですよ。
企画勝負に〆も綺麗なヘクト「十五人の殺人者たち」も印象深い。
仄暗く陰惨な魅力のベイリー「黄色いなめくじ」は定番名作。
いやらしい最後の一撃にヤられるコリア「クリスマスに帰る」で悶えよう。

チャンチャンな感じのも結構入ってるが、上記4作はやはりアンフォゲッタブルな味わい。

No.3 7点 ミステリーオタク
(2015/12/18 14:33登録)
俺も一番印象に残ったのは爪かな
何とも奇妙な味の話だったぜ
カーやFブラウンの短編もなかなかよかったぜ
十五人の殺人者やクリスマスに帰るもな(苦笑)

No.2 5点 ボナンザ
(2014/04/09 15:22登録)
爪が印象に残った。
黄金期の後ではあるが、創作的な作品が多く、楽しめた。

No.1 5点 kanamori
(2011/01/02 20:40登録)
海外古典短編ミステリのアンソロジー。最終巻の本書は、戦後1950年までの作品が収録されています。
カーター・ディクスン、アイリッシュ、クェンティン、レックス・スタウト、フレドリック・ブラウンなど、馴染みの作家が多いぶん書誌的な興味がわかず、叢書のなかでは一番読んでいて楽しめなかった。
なかでは、ベイリーの「黄色いなめくじ」が読み応えのある力作中編。

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