世界短編傑作集4 江戸川乱歩編 |
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作家 | アンソロジー(国内編集者) |
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出版日 | 1961年04月 |
平均点 | 6.60点 |
書評数 | 5人 |
No.5 | 7点 | クリスティ再読 | |
(2022/07/05 23:27登録) この巻の目玉は何といっても「オッタ―モール氏の手」。意外な犯人とか言っていると実はこの作品の本当の怖さを見逃すのでは?なんて感じる。いやこの話だったら「誰もが連続絞殺魔でもありうる」し、自分はそうでないと思っていても、そうなる時にはどうしようもない...そんなタイプの怖さなんだよ。そして、動機が全くない殺人というものが、 自分たちが生活している平和な社会をささえる柱が、じつは、だれでもへし折ることのできる藁にすぎなかったということを、彼らは悟りはじめた。 いや、実に作者よく分かってる。この人間というものの、社会というのものの「危うさ」が主題なんだと思ってる。大傑作。 で、この巻の収録が1927年-33年、ということで、たとえばヘミングウェイの「殺人者」やハメットの「スペードという男」、チャータリスの「いかさま賭博」といったハードボイルド系作品も登場することになる。1920年代は「本格黄金期」という「本格史観」というのは、単なるイデオロギーでしかなくて、ホームズ・ライヴァルも黄金期本格もハードボイルドもすべて同時に起きているのが1920年代というもの。そういう実相を乱歩編のアンソロでさえちゃんと示しているわけだ。 どちらかいえば「信・望・愛」もハードボイルド寄りのクライム・ノヴェルと見るのがいいんだろう。因果話みたいなものだが、皮肉で非情な成り行きが面白い。ニューメキシコ州が舞台で、ペキンパーの世界みたいなものだ。好きな人が意外に多い... (あれ、面白い。誰もクイーン御大の作品に触れていない!) |
No.4 | 8点 | ミステリーオタク | |
(2015/11/02 09:17登録) 本短編集で一番インプレッシヴだったのはやはり「オッターモール氏の手」 前半のジワジワ盛り上げるサスペンス性もいいし後半の探偵の視線からなる捜索編とキメも見事 次が「疑惑」かな、これも全体のミスティな雰囲気とエンディングの一行がたまらない あとは「銀の仮面」、これもやっぱ雰囲気だよね |
No.3 | 7点 | 斎藤警部 | |
(2015/07/28 18:43登録) フィルポッツの「三死人」は抒情性と文学性を備えた美しくもトリッキーな本格推理として忘れ得ぬ逸品。 まるで「戻り川心中」のよう。 私にとってのイーデンと言えば「赤毛」よりもこちら。 この抒情ミステリをアーネストとダシールの元祖ハードボイルド二巨頭が挟むという何とも文芸の薫り漂う出だし、とは対象的に後半は、後味の悪さや、如何に人を喰ってやるか、を俗っぽく追及したような作品が目立つ。もちろんそちらも悪くない。 |
No.2 | 5点 | ボナンザ | |
(2014/04/09 15:20登録) 他の巻に比べるとやや本格からは外れたように思える。 オッターモール氏の手ってそんなおもしろいのか? |
No.1 | 6点 | kanamori | |
(2011/01/02 20:40登録) 乱歩が選んだ海外古典短編ミステリのアンソロジー。 この第4巻は、30年代前半の作品が対象で、本格ミステリ黄金時代の真っただ中ですが、収録作のジャンルは意外と多岐にわたっています。どうもラインナップは「クイーンの定員」を参考にしているように思われます。 ハードボイルド=ダシール・ハメット、奇妙な味=ウォルポール「銀の仮面」、怪盗サイモン・テンプラー=チャータリス、サスペンス=セイヤーズ「疑惑」など。 印象に残ったのは、トマス・バーグ「オッターモール氏の手」とアーヴィン・コップ「信・望・愛」。 |