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ミステリの祭典

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世界短編傑作集2
江戸川乱歩編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日1961年01月
平均点6.17点
書評数6人

No.6 6点 クリスティ再読
(2020/03/22 08:10登録)
懐かしの短編傑作選である。今となってみると、とくにこの巻は短編黄金期の名探偵顔見世興行みたいなものだ。雑誌連載の短編がベースのもの中心なので、一つ一つにはあまり話のふくらみがなくて、名探偵のキャラも「もうわかってるでしょ」くらいで描写は最低限くらい。ルーチンな事件の中でも、個別の事件で面白いものを選んだ、という感覚。
アブナー伯父の「ズームドルフ事件」にはそれでもタダの有名トリックものじゃないだけの、宗教的な側面をうかがわせる小説らしい面白味がある。またソーンダイク博士の「オスカー・ブロズギー事件」には、複雑な機械がスムーズに動いて巧妙な結果が出てるようなメカニカルな美があってなかなか、いい。
逆にダゴベルトの「奇妙な跡」は、探偵役も奇矯な変人で、事件もリアルと言うのか馬鹿馬鹿しいというのか...で、描写もそっけなく「これでイイの?」と思うくらいのヘンテコな作品。ホームズ譚の「奇妙な受容」というくらいに思って珍重するのがいいのかもしれない。
そうしてみるとトレントの「好打」とかカラドスものの「ブルックベンド荘の悲劇」とかウィルスン警視の「窓のふくろう」は、探偵役のキャラもあまり話として効いていないし、面白味のない機械トリックだし...と思うのは仕方がないのかもしれないが、この「機械的」というあたりに、二十世紀初めの「大衆社会 meets (家電を象徴とする)電気」のショックを感じて、「電気の詩」を歌った時代の証言と読むのがいいのかも。
まあ何というのかね、このシリーズは「過去のある時代」が凍結して保存されているような懐かしさを感じる。評者の感傷かな。

No.5 7点 斎藤警部
(2015/11/02 14:33登録)
著名作家、有名トリックが挙(こぞ)っている割にどことなく地味なラインナップ。
な~んてね、もちろん充実の面白さです。
我が愛するポースト師匠(アブナー伯父)の一篇も入っているし。さて収録作もそうだけど、単純にトリックだけ見て片付けられるタイプの作家ではありませんのでね、ポーストさんは。既にどこかで本作のメイントリックをご存知という方が殆どでしょうが、是非あらためて「ズームドルフ事件」を味読していただき、古きアメリカの人間ドラマと本格ミステリと文学の妙なる融合に酔い痴れていただきたいものでありまするぞよ。

No.4 5点 ボナンザ
(2014/04/09 15:18登録)
有名トリックのオンパレード。

No.3 7点 ミステリーオタク
(2013/01/06 22:56登録)
ズームドルフ事件とかギルバートマレル卿の絵とか、結構笑っちゃうけどそういうトリックの原型と思えば面白い

No.2 6点 mini
(2012/11/16 09:55登録)
1巻目が探偵小説というものの創造期黎明期であるとするならば、第2巻は同じ古典でも発展期という位置付けだろう
創元の編集上の勝手な都合で第1巻からポーとドイルが省かれているが、もし省かなかったら当然両作家は時代的には第1巻に収録されていた事になる
つまりこの第2巻ではホームズによって確立されたパターン形式のその後の発展史という事になるのだが、実はあまり発展してないんだよな、悪く言えば形式に縛られて停滞していると言ってもいい
この縛られた形式が破られるのは第3巻以降になってからなのである
ホームズ形式の後継者たちは通称”ホームズのライヴァルたち”と呼ばれるが、まさに第2巻ではライヴァルたちの競演が過半数を占め、時代性がよく表現されている
ただ乱歩の嗜好なのか全体に物理的トリックを前面に押し出したものに偏った印象なのは気になる、やはりそれも時代性か
まぁでも第2巻ではホームズ形式というものを味わう巻だと割り切って読めば楽しめるのではあるが

欲を言えば、マクハーグ&ボルマーの心理分析探偵ルーサー・トラント、アーサー・B・リーヴの科学者探偵クレイグ・ケネディ、オクティヴァス・ロイ・コーエンのはったり探偵ジム・ハンヴィ、そしてエドガー・ウォーレスのJ・G・リーダー氏あたりのシリーズからも採用して欲しかったな

さてといくつか各論
「奇妙な跡」のバルドゥイン・グロルラーは珍しいハンガリー生まれのオーストリア作家で、ドイツ語圏作家にしてはホームズ形式の忠実な後継者であり”クイーンの定員”にも選ばれているし各社目を付けて欲しいものだ
「オスカー・ブロズキー事件」はソーンダイク博士の倒叙短編の最高傑作と言われる作だけに選ばれて当然だが、創元は「ソーンダイク博士の事件簿Ⅰ」からこれを省いている
他社でもいいからさぁ、倒叙短編集『歌う白骨』の完全版をだしてほしいな、あっ!いや、嶋中文庫じゃなくてさ(苦笑)
トリックだけが有名な短編「ギルバート・マレル卿の絵」のV・L・ホワイトチャーチは、”クイーンの定員”にも選ばれた鉄道短編集が多分来年には刊行予定だ
そうなるとコール夫妻の”クイーンの定員”にも選ばれた短編集『ウィルスン警視の休日』なども創元か論創さん頼みますよ

No.1 6点 kanamori
(2011/01/01 17:47登録)
乱歩が選出した海外古典短編ミステリのアンソロジー。
第2巻は、1910年代から20年代前半の作品で、ホームズのライヴァルといえるシリーズ探偵ものが多く収録されていました。
ルブラン=アルセーヌ・ルパン、ポースト=アブナー伯父、フリーマン=ソーンダイク博士、ブラマ=盲目探偵マックス・カラドス、クロフツ=フレンチ警部など、錚々たるメンバーが揃っていて楽しめます(多くが有名作品のため、他の作品集で読める作品が多いですが)。

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