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ミステリの祭典

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ひとたび人を殺さば
ウェクスフォード警部

作家 ルース・レンデル
出版日1980年09月
平均点6.60点
書評数5人

No.5 6点 りゅうぐうのつかい
(2016/10/18 12:35登録)
老刑事ウェクスフォードが体調不良による休養のため、甥の首都警察ハワード警視のもとに滞在した際に、身元不明の女性の殺人事件が発生し、刑事魂が抜けずに、独自に事件の捜査を行う話。
「ロウフィールド館の惨劇」と「わが目の悪魔」を読んで、異常性格者が引き起こすサスペンス小説を書く作家だと思っていたが、本作品は全く毛色が違っている。
ジャンルとしては、老刑事ウェクスフォードの紆余曲折の捜査課程を描いた警察小説と言えよう。
身元不明の女性を取り巻く人間関係が複雑で、私の理解力不足なのか、最初に読んだ時点では登場人物間の関係が十分に把握できず、「誰が誰?」状態であった。パラパラとページをめくり直して確認し、ようやく理解できた(と思う)。
身元不明の女性の過去を探るのが焦点の話だが、ウェクスフォードも地元警察も、仮説を確信するあまり、間違った道に入り込んでしまい、それが話を複雑にし、わかりにくくしている。
ウェクスフォードが最後に、人物Aが犯人ではなく、人物Bが犯人であるという根拠を示すのだが、その根拠はいずれも薄弱であり、本格物とは言い難い。
てっきり、私はAでもBでもない人物を犯人だと思っていた。

No.4 6点 nukkam
(2016/09/01 10:37登録)
(ネタバレなしです) 1972年発表のウェクスフォードシリーズ第7作はいつものキングズマーカムでなくロンドンを舞台にしています。序盤でのウェクスフォードの描写が休みの時でも仕事を忘れられないサラリーマンみたいで笑ってしまいました。鋭い観察による人間理解力があり、常識人だけど柔軟な発想も持っていて、でも時には拗ねたりしょげたりと人間ウェクスフォードの魅力がよく描けてます。謎解きとしては真相にやや唐突感もあるけれどレンデルお得意の事件の悲劇性はよく描けています。被害者の行動もわがままといえばわがままなんだけど簡単には非難できないですね。

No.3 7点 斎藤警部
(2016/02/17 12:09登録)
重い腰上げ初めてのレンデルはまさかのユモーォミェストゥォリ、とうっかり油断していたら。。。 貧しい一角に住む若い娘が殺され、墓地で発見された事件。 終盤近く、警部と老婆の語らい、やり取りが凄くいい、心に温かく残ります。 ところが、そこから思慮有る〆までの限られたページ間にまさかの連続反転が襲う!!物語の大方を占めるユーモア微風地帯から打って変わり、暗く湿った真相の投射舞台へ。。。。

さて‘この角度’からの犯人意外性だから、ジャンルはやはり警察小説。HB(Hardboiled)ともHKK(Honkaku)とも違う。あはは、何なんだろねえ、されどジャンル分けの機微ってか。

前述の老婆とやり取りの所まで堂々の6点候補だったけど、やっぱり最後のドラマチックな決め技にやられてね、1点upしましたよ。 
真犯人、最後の台詞は泣けたねえ。(鈍いもんで最初その意味に思い当たらず、後から読み返してハッとしたわけですが)

ところで、ブラックベリー・ポンチョとは何だ!?

No.2 5点 蟷螂の斧
(2014/01/19 17:33登録)
療養休暇中の警部による地道な聞き取り調査が淡々と続きます。途中での仮説・推論の方が、真相より面白くインパクトがあるという皮肉な結果でした。「ロウフィールド館」もそうでしたが、どうも相性はよくないようです。

No.1 9点 Tetchy
(2009/09/16 20:00登録)
上手い!
重厚で昏いイメージを数多の書評子から植え付けられていたが、いやいやどうして!何と読み易い、そして抜群のリーダビリティーがある。
恐らく本作は著者にとっては傑作ではなく寧ろ佳作となるべき作品だろう。
しかし、登場人物、特に女性像がどれも印象的で、登場人物表に載ってないのが不思議なくらいだ。しかもプロットをしっかり形成して取りかかる作者らしく、終始一貫したテーマが立ち上り、着地も見事決まった。

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