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ミステリの祭典

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シュロック・ホームズの冒険
シュロック・ホームズ

作家 ロバート・L・フィッシュ
出版日1969年01月
平均点5.60点
書評数5人

No.5 7点 虫暮部
(2024/08/09 11:48登録)
 私はシャーロック・ホームズが大好きと言う程ではない。それを考慮に入れると、本作の方が原典より好きかも。

 翻訳で判りにくくなっている洒落や拾い損ねているネタはあるだろう。何しろ訳者が “この表現はこういうネタだ” と気付かないとそれを意識した上手い訳にはならないのだから大変だ。
 しかしそれを差し引いても、物語の構造がユーモアを内包しているので充分に楽しめる。見当違いの推理なのに総合的には事件の平仄が合ってしまい関係者が何となく納得してしまう作りが巧み。“ホームズのパロディ” と言う看板が無くてもちゃんと成立しそう。
 これが更にナンセンス度を増すと、中川いさみのギャグ漫画になると思う。って、もっと知名度のある例を挙げないと伝わらないかな~。

 アーサー卿の或る種のイイカゲンさが数多の二次創作を許容している面もあるわけで、結果的に無二の豊饒さを誇るホームズ世界に敬礼。

No.4 5点 nukkam
(2020/02/27 20:59登録)
(ネタバレなしです) コナン・ドイルが生み出したシャーロック・ホームズシリーズのパロディ作品、パスティ-シュ作品が多く書かれましたがアメリカのロバート・L・フィッシュ(1912-1981)によって32短編が書かれたシュロック・ホームズシリーズはそれらの中でも優秀なパロディ作品と評価されています。作者の生前には2つの短編集が発表されましたが、1960年から1964年にかけて発表された12編を収めて1966年に出版された第1短編集が本書です。このシリーズの特徴はシュロックが次から次へとそれらしい(?)推理を披露してワトソン役のワトニイは感心し、依頼人も満足という結末が多いのですが実は推理は的を外していて肝心な問題は解決していなかったりしているのです。ただその肝心な問題の真相がはっきりと説明されず示唆に留まってしまうことが多いので、軽妙なテンポと明快な文章にも関わらず理解しづらいという欠点があり、そこが評価の分かれ目になると思います。ハヤカワ・ミステリ文庫版の巻末解説では英語の微妙なニュアンスを補足してくれていて理解するのに役に立ちました。個人的なお気に入りは「赤毛の巨人」と「誘拐された王子」です。

No.3 4点 クリスティ再読
(2018/12/02 21:22登録)
昔読んだときも、評者何が面白いんだが全然わからなかった記憶があるが...うん、今回読んでも面白さが全然わからない(困惑)。
その昔、ホームズがコカイン中毒になってフロイトの診察を受けるパロディがあったけど、こういうのはいいんだがねぇ。パロディでもプラスアルファのホラみたいなものがないから、せいぜい「飄々とした味」くらいのものなのか。だいたい、
・依頼人について推理して、大外れする
・暗号でもない手紙を、無理に暗号と思って「解読」する
・推理に酔って眼の前の犯罪を見逃す
の繰り返しで、けっこうワンパターンだし。強いて言えば落ちのデカい「アダム爆弾の怪」か、おバカな「贋物の君主」くらい?(モロン大佐はひどいなぁ...「精薄大佐」だよ)「schlock」って「安物・まがい物」という意味だそうだ。なるほどね。

No.2 5点 ボナンザ
(2015/04/19 21:22登録)
ホームズのパロディでは最も有名なものだろう。
ユーモラスでとんでもな展開が楽しい。

No.1 7点 mini
(2012/02/24 09:59登録)
明日25日発売予定の早川ミステリマガジン4月号の特集は、”「探偵オペラ ミルキィホームズ」の系譜”
私はRPG系のゲームは殆どやらず、ドラクエですら一度もプレイしたことが無い
しかもメディアミックスと言ったってさ、私は漫画もアニメも全く鑑賞しないんだよなぁ
ミルキィホームズは知らねえが、シュロック・ホームズなら既読だから書評しようかな

1912年生まれ、つまり今年が生誕100周年の作家は意外と多い
今年の私的読書テーマ、”生誕100周年の作家を漁る”、第1弾はロバート・L・フィッシュだ
しかし当サイトでシュロック・ホームズの書評するの私が初めてとは意外だ
そう気が付いてamazonで確認したら、なんだ絶版なのか、戦後のホームズ・パロディの中でも最も有名な部類なのに
こんなの絶版のまま放置している早川も反省せい
ホームズのパロディはそれこそ星の数ほど有るが、パロディ度が濃厚という観点でなら他にいくつもある中で、読んで面白いホームズパロディと言うとある程度候補は絞られる
シュロック・ホームズは面白く読めるという意味では歴代のパロディの中でも五指に入ると思う
このシリーズの特徴はホームズが単に的外れな推理をするという事ではない、それだけなら他に良いパロディはいくつもある
またパロディじゃないがジョイス・ポーターのドーヴァー警部のように、推理は的外れだが結果的に事件を解決するっていう話のもって行き方もある
しかしシュロック・ホームズの場合は、推理がトンチンカンなだけでなく、事件も未然に防げないのである
ホームズの推理に関係無く、裏で悪漢たちの犯行計画は着々と進行し見事に成功するのだ
ところが見かけ上はホームズの推理によって目出度く一件落着となって話は締め括られる
読者からしてみれば真の真相が分かるだけに、この辺のズレが飄々と語られるのが面白い
惜しいのは、英単語の解釈での見解の相違を利用したパターンが全体的に多いので、日本人にはちょっとニュアンスが分り難いものも散見されるのが玉に瑕

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