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ミステリの祭典

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硝子細工のマトリョーシカ

作家 黒田研二
出版日2001年07月
平均点6.40点
書評数5人

No.5 7点 パメル
(2025/03/30 06:57登録)
物語は、人気推理作家であり女優の美内歌織が、脚本・主演の生放送のミステリドラマ「マトリョーシカ」を中心に、歌織の恋人である森本晋太朗の視点で語られる。
映画監督・大海司の首吊り自殺、報道番組に爆弾が仕掛けられたという予告電話という体裁のサスペンスドラマは、しかし番組中に主演の歌織が飲んだ麦茶に毒が入れられるという現実の事件が発生したことから、次第に現実と虚構が混交していく。
タイトルにあるマトリョーシカはロシアの郷土玩具で、胴体が二つに分かれ中から同じ形をした少し小さな人形が複数、入れ子式に入っている人形だ。一体どこまでがドラマで、どこからが現実なのか、「現実」と思われたシーンが実は「ドラマ」であり、「ドラマ」と思われていた部分が「現実」でと作品世界はマトリョーシカ人形のように多重の入れ子構造となっている。その複雑な構造は、眩暈感を醸し出すことに成功している。
一見些細な描写や会話が、後半で重要な意味を持つ仕掛けが随所に散りばめられている。特に過去と現在の交錯が謎を深め、最後まで引き込まれる。そしてラストの意外性と伏線の回収の鮮やかさに唸らされた。緻密な構成と、人間の闇に光を当てる視点が秀でた一作。

No.4 7点 よん
(2022/12/06 14:39登録)
スタジオドラマを舞台にしたスタジオドラマという設定。
入れ子細工の構造は、題名にも堂々謳われている。それでも騙されてしまう。やりたかったネタが明確であり、またその先にある応用にしても、ネタに対して最上のものが選ばれている。文学的なテーマなどはない。狙いはミステリとしての技巧のみといった作品。

No.3 7点 蟷螂の斧
(2014/09/25 09:37登録)
裏表紙より~『生放送のテレビドラマ本番中に、スタジオ内で次々と勃発する事故。毒は本物にすり替えられ、脅迫電話は真実の声音となり、脚本に秘められた真実は、慟哭と贖罪の扉を開く。「完全なる虚構」と「不完全な虚構」という二つの世界が交錯する、入れ子トリックの博覧会。この物語は、著者自らが奏でる鎮魂歌でもある。』~                                                        よく練られたメタ・ミステリーです。作中作でありますが、TVドラマという設定なので判り易い。といっても混乱させられますが・・・(苦笑)。TVドラマ中に毒を盛られるという事件が起きるのですが、その点はやや複雑すぎるきらいがありました。自殺と処理された事件が実は・・・という方がインパクトがありました(前例のない密室?)。題名の「マトリョーシカ(入れ子構造のロシア民芸品)」の扱いがうまく、恋愛小説としても読めると思います。レオ(オタクなフリター)がいい味をでしていました。

No.2 4点 ミサ
(2004/01/10 02:33登録)
彼の作品で「クレイジー・クレーマー」と言うのがあったけど、それと同じでなんかちょっとマニアックだなと思いました。
オチも個人的には余り好きではありませんでした。

No.1 7点 しゃん
(2002/06/19 18:04登録)
謎も、謎のとき方も綺麗です。余分なものは全くないという感じです。

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