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ミステリの祭典

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ホット・ロック
泥棒ドートマンダー

作家 ドナルド・E・ウェストレイク
出版日1998年09月
平均点5.83点
書評数6人

No.6 5点 ボナンザ
(2017/03/26 12:03登録)
相変わらず不幸を招き続けるドートマンダーが今回は何度となく計画を立て続けてエメラルドを盗む。最後のオチなんかもシリーズの中では比較的優しいですね。ユーモラスで楽しめる一品。

No.5 4点 蟷螂の斧
(2016/11/12 18:20登録)
笑いのツボが違っているため、あまり楽しめなかった。二転三転くらいが私にとって限度でした。

No.4 10点 Izumi
(2015/07/20 00:00登録)
悪党パーカーシリーズのリチャード・スタークの別名義。ウエストレイクのドートマンダーシリーズの一作目。
刑期を終えて出所したばかりの天才的犯罪プランナー、ドートマンダーに舞い込んだ仕事は、アフリカ某国の依頼で大エメラルドを盗み出すというもの。彼は四人の仲間と共に意表をつく数々の計画を練るが、そこは運のない男ドートマンダーのこと、事態は思わぬ方向へと転がって――。

文句なしのスラプスティック・ミステリの最高傑作。ユーモアミステリと聞くと敬遠する人も多いかもしれない。たしかに出来の悪いユーモアものは読んでいて寒いだけだが、その点、本書は心配いらない。最初から最後まで笑いっぱなし間違いなしである。
その理由としてスラプスティック(ドタバタ)そのものよりも、会話の妙やシチュエーションの不条理さにおかしみがあるからだろう。子供騙しではないエッジの効いたユーモアがずっと続く、これでおもしろくないわけがない。

登場人物も個性的で魅力的。ドートマンダーは泥棒の天才でありながらとことん運のない中年男。相棒のケルプはそんなドートマンダーにいつも「うまい話があるんだ」と悪魔の誘いを持ちかける調子のいい奴。他の仲間も運転偏執狂に、色男、浮世離れした鍵開け名人と変わり者揃い。依頼人であるアイコー少佐からして身上調査書マニアだ。

ユーモラスなだけでなく、そのトリッキーな数々の計画はクライムノベルとしても素晴らしい出来である。またドートマンダーは殺人、放火、誘拐などはいっさいしない、純粋(?)な強盗犯であるため、血なまぐさい話は苦手だという人でも安心である。
肩肘張らずに楽しめて、何回読んでもおもしろい。騙されたと思って読んでほしい一冊である。

『陽気なギャングが地球を回す』シリーズは本作の影響を受けて書かれていると思われるので伊坂幸太郎ファンにもお薦めしたい。

No.3 5点 E-BANKER
(2013/02/23 16:02登録)
1970年発表。作者12作目の長編作品。
“盗みの天才”ドードマンダーが初登場した記念すべき作品と言えそう。

~長い刑期を終えて出所したばかりの盗みの天才・ドートマンダーに、とてつもない仕事が舞い込んだ。それは、アフリカの某国の国連大使の依頼で、コロシアムに展示されている大エメラルドを盗み出すというもの。報酬は15万ドル。彼は四人の仲間を集め、意表をつく数々の犯罪アイデアを練るが・・・。不運な泥棒ドートマンダーの奇怪で珍妙なスラプスティックミステリー~

持ち味がよく出た作品だろう。
今まで、本シリーズは短編しか読んだことがなかったのだが、むしろ長編の方が楽しめた。
(連作短編的な味わいではあるが・・・)
本作は、ドートマンダーと仲間たちがエメラルドの強奪に成功したと思いきや、何らかの邪魔が入って失敗するという展開が都合五回繰り返されるが、ラストには見事に肘鉄を食らわせるというプロット。
まぁ、要は痛快でコミカルなクライムミステリーということだ。

捻りやドンデン返しなど複雑な仕掛けやプロットはないので、トリックなどの風味を期待するとダメだが、その分気軽に楽しめる作品。
欲を言うなら、ラストにツイスト感というか、もうひと捻りがあるとよかったかな、という感じか。
ただ、この作者であれば、こんな手の作品が最も持ち味が出ていると言うべきだろう。
そんなに高評価はできないが、まずは水準プラスαという評価に落ち着く。
(登場人物では、ドートマンダーよりも国連大使の方がよっぽど不運な気がするが・・・)

No.2 6点 kanamori
(2012/03/14 22:26登録)
不運な泥棒ドートマンダーの初登場作品。
リチャード・スターク名義の”悪党パーカー”と同様に、犯罪プランナーを主人公とした金品強奪もののクライム・ミステリながら、こちらはスラップスティックな味付けが特徴です。

シリーズの後の作品群は、ドートマンダーを悲惨で笑える窮地に立たせるドタバタ劇が興味の中心なんですが、第1作の本書は意外と強奪方法のハウダニットにも力点が置かれていてテイストがだいぶ違います。
目的の”ブツ”エメラルドの所在が、展示場から警察ビル、精神病院、銀行など次々と変転するたびに、繰り出す強奪計画が段々と過激になっていくのが笑える。一種の連作短編の趣もあります。
小悪党の仲間、相棒のケルプ、運転役のスタン・マーチのレギュラー陣は、まだ持ち味全開じゃあないのが少々残念。

No.1 5点 mini
(2009/01/18 10:14登録)
年明けに訃報が入ってきたウェストレイク
リチャード・スターク名義の書評は既に書いたのでウェストレイク名義の方も
「ホット・ロック」はシリーズ第1作で、ドートマンダー以下奇矯なキャラの泥棒仲間が登場する
全体的には同じユーモア調ということでトニー・ケンリックと似ているが若干違いもある
ケンリック作品にも変な性格の人物は登場するけど、ケンリックの場合は悪く言えば人物の性格が物語に上手く融合しておらず、良く言えばキャラに頼らずあくまでも物語の展開勝負なところがある
しかしウェストレイクのこのシリーズはキャラへの依存度が高くて、都合の良い才能を持つ設定の登場人物を揃え過ぎている印象だ
この作ではキャラに寄りかかっている割に、特殊なプロットに振り回されている感じで、この種の段階的構成だとどうしても物語が4分割された感じなんだよなぁ
ただしテンポ良くさらっと読めるのはポイント高い
個人的にはスターク名義の悪党パーカーの方が好きなので5点としたが、内容的には6点くらい付けてもよかったかなとは思う
ところで題名のロックはあの石のことだよね?

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