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ミステリの祭典

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彼女らは雪の迷宮に
森江春策シリーズ

作家 芦辺拓
出版日2008年10月
平均点4.50点
書評数4人

No.4 5点 ミステリ初心者
(2022/12/11 10:11登録)
ネタバレをしております。

 読みやすい推理小説を求め、クローズドサークルに惹かれて買いました(笑)。小説中にもクローズドサークルファンの話が出てきますが、あそこまでクローズドサークルにこだわりがないものの、私も大好きです。そして、この作品もまた読みやすかったです。
 ただ、この作品はただのクローズドサークルではなく、殺人や死体も出てこないし携帯電話もつながるといった、お約束を破った作品です。殺人が起こらないだけあって、雰囲気は明るく、ちょっとしたユーモアミステリのようです。反対に、殺人が起こらないのでサスペンス性には乏しいです。

 推理小説部分について。
 推理小説のプロローグほど信用できないものはないですね(笑)。プロローグを信じるなら、クローズドお約束の全滅なのですが、シリーズキャラの新島ともかが死ぬはずもなく…。
 私は、状況と雰囲気から新島ともかが偽物だとわかり、そこから結末をいろいろ妄想しておりましたが、まんまと作者の手のひらの上で踊らされた形でした(笑)。作者が本当に隠したかった本命叙述トリック…を隠すための小粒叙述トリックにすぎませんでしたね。
 この小説一番の大きなトリックである、映画セットを使った場所移動は面白かったです。前々から私が妄想している、こんなトリックがあったらいいな~と思うものの一つには映画セットを利用した叙述トリックがありました(笑)。この主観人物を運び、いつの間にか場所を移動させているが主観人物は気づかづに読者に伏せられるトリックは、現実的に可能なのかすこし疑問ではありますし、似たような趣向のトリックを他にも読んだことがあります。

 一向に殺人が起こらず、この小説はどういうふうに着地するのだろう…と思いきや、すでに大トリックは起こっていました。読みやすかったし、驚きもありました。ただ、もう少し見せ方が良かったら、もっとびっくり仰天させられる小説になったかもしれないという気もします。また、結果、過去に二人殺している犯罪を犯した集団は、結局罰が与えられなかったのはモヤモヤしたかもしれません。

No.3 5点 測量ボ-イ
(2013/04/25 22:29登録)
定番「雪の山荘もの」の割にはもうひとつでしょうか。
トリックのオリジナリティに欠ける印象。

No.2 3点 mozart
(2012/09/08 11:53登録)
「閉ざされた雪の山荘」でのワクワク感が乏しすぎです。ある意味、ひねりの少ないトリックについては置いておくとしても、もうちょっと、拉致された「彼女ら」が徐々に追い詰められていく恐怖感を読者と共有する形で描写しても良かったんじゃないか、と思いました。犯行の動機も「後出し」感が拭えず、タイトルの割に楽しめなかったというのが正直な感想です。

【ややネタバレ?】
まぁ、被害者となるべきは「彼女ら」ではないので、このくらいが限度、と思えば仕方がないのかも。

No.1 5点 江守森江
(2009/05/22 09:32登録)
これまた森江春策より助手の新島ともかのお転婆ぶりが読みどころな作品。
ミステリ的には既視感が拭えず水準レベルに届かないかも。

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