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ミステリの祭典

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若きウェルテルの怪死
旧制高校シリーズ

作家 梶龍雄
出版日1983年07月
平均点6.20点
書評数5人

No.5 6点 makomako
(2023/09/09 07:46登録)
梶氏は登場人物の描写がとても上手な方とお見受けしておりますが、この作品では肝心の中心人物たる若きウェルテルなる堀分くんのキャラクターが今一つはっきりしなかった。
登場人物が少なくトリックの多くは私でもわかるものでした。勿論すべてがわかったわけではなく、犯人は誰だが出てくるときには違う人を犯人と思っていた次第(これでも十分に理屈は通じると思っている二ですが)。
いろいろ割り引いても素敵本格推理小説です。
梶氏にはちょっとはまってしまった。
まだ未読作品がいろいろありそうなので楽しみです。

No.4 6点 ボナンザ
(2023/05/14 18:59登録)
復刊第4弾。強烈さはそれほどないが、当時を彷彿とさせる丁寧な描写と後半のラッシュは流石。

No.3 6点 nukkam
(2015/12/31 07:58登録)
(ネタバレなしです) 1983年発表の旧制高校シリーズ第2作で、舞台は仙台の旧制二高です。過度に重々しくはありませんが戦争が迫りつつある緊張感と反戦活動が随所に描写されています(作中時代は1934年)。主人公は事件捜査にはほとんど直接参加できず伝聞的に知らされる情報に感情的に反発するばかり、この主人公に共感すればするほど読者は真相から遠ざかってしまうような気分にさせられるという本格派推理小説としてはユニークなプロットです。終盤には「読者への挑戦状」が挿入され、畳み掛けるようなどんでん返しの連続が待っています。都合よすぎる偶然に感じられる部分もありますがなかなかの力作です。

No.2 6点 kanamori
(2013/06/13 12:43登録)
昭和9年の仙台、考古学者邸の離れに下宿する学生の毒死事件に端を発する怪事件を描いた”旧制高校シリーズ”の2作目。

特高刑事や非合法の反戦組織の存在が時代の雰囲気を感じさせると共に、巧妙なミスディレクションになっています。
化石骨の身代金奪取のトリックはちょっとアレですけど、毒殺事件時のアリバイ工作に絡んで、図らずも二人の人物が両方とも〇〇だったというアイデアがユニークです。効果のほどは疑問ですが、本書で作者が一番やりたかった仕掛けではと思います。
友人の怪死事件の捜査に関わりを持つことになる旧制二高生の主人公の日記形式という全体構成があまり意味がないように思えましたが、ラストで意外な方向に効いてくるのが流石です。

No.1 7点 こう
(2009/12/06 22:37登録)
 飲み屋で編集者の「私」が金谷という老人と意気投合し推理小説かもしれないと自分の古い日記を渡される。そこには旧制二高を舞台とした殺人事件が描かれていた、というストーリーです。
 難点は主要登場人物のほとんどが殺され、もしくは事故死、失踪などで舞台から消え犯人は容易に絞りこめる点と「善意の共犯者」を使っているトリックが絶対上手くいかないであろうことです。初期作に比べれば伏線はかなり露骨に散りばめられていますがそれでも全てを回収するのは難しいでしょう。作品の出来としては少し劣りますが個人的には楽しめました。

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