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ミステリの祭典

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八月は一夜限りの心霊探偵
私立霧舎学園ミステリ白書シリーズ

作家 霧舎巧
出版日2003年11月
平均点6.00点
書評数4人

No.4 6点 505
(2015/10/22 20:59登録)
本書は超常現象に対して、論理的に解決することで『この世には不思議なことなど何もないのだよ』とするのが根幹にあり、タイトルにあるほど『心霊探偵』部分がプッシュされているわけではない。
本作は、シリーズものであるが、こればかりは〝本書単独では読めない〟仕組みになっており、最低でも前作は読んでいないとトリックの威力が半減する。
また、本シリーズの特徴として、本文のみならず、〝本〟自体に仕掛けを施す作者の技巧が光るのは、本書でも不変であるが、今までの作品に比べてその部分の仕掛けの集大成とも言える大技が組み込まれている。かつてここまで大胆な伏線があったのだろうか、という程であり、『心霊』部分に対して鮮やか過ぎるアンサーを用意しており、なんとも憎たらしいほどに作者の稚気が愛しいくらいである。

作中のトリックは、『死体移動』であるが、心霊現象を上手く絡めて不可能状況を生み出しているので、それなりの雰囲気を演出しているが、やはり〝無理なものは無理〟なので、あくまでも装飾程度のものだと言える。ミスディレクションというほどの効力は無いと個人的に感じた。

しかし、作中の登場人物たちの行動原理は実に〝これまでのシリーズならではの説得力〟なので、シリーズ作だからこそ生まれた錯覚である。言い換えれば、今までの作品が伏線だったと主張しても過言ではない。
勿論、登場人物たちの行動のみならず、本自体の〝仕掛け〟も考慮すれば、シリーズの〝集大成〟という位置付けも出来るのではないだろうか。

メイントリックに関して、事件が起きる前までの伏線張りやら怪談話の紹介などで、事件そのもののインパクトがやや弱いのは否めないが、キャラの配置の仕方が凝っている。しかし、被害者、加害者の心理描写が淡泊すぎて、トリックそのものにキャラが負けているのは流石に致命的。これまでのシリーズではベストといえる作品であることに違いないが、ホワイダニットを重視する方にはオススメ出来ないのは変わらず。

No.3 6点 ボナンザ
(2014/12/01 23:51登録)
これはこれまで読んできたシリーズの中では良い方ですね。
ただ、逆にこれまでの作品を読んでおく必要はありますが。

No.2 7点 isurrender
(2011/10/01 00:27登録)
正直に言って、トリック自体は大したことはないです
ただこのシリーズの見どころは、どこに伏線が張ってあるかわからない、というところに尽きる
そういう意味では本作の伏線には脱帽
まさかそんなところに仕掛けてくるとは…。

No.1 5点 江守森江
(2009/05/24 07:17登録)
ネタバレです。
トリックは分かり易いが犯人は当てられない(シリーズの他作にさり気なく登場)なんだかなー。

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