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ミステリの祭典

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こわされた少年

作家 D・M・ディヴァイン
出版日1996年04月
平均点5.80点
書評数5人

No.5 3点 レッドキング
(2021/09/11 10:31登録)
ディヴァイン第四作。原題は「His Own Appointed Day=己自身の宿命の日」だが、内容は「スコットランドから消えた少年」。優れた知性と詩的感性を持ちながら、自身が養子であることを知らされ「屈折」し、ある日突然に行方不明となった少年。前三作までの一人称叙述は姿を消し、事件を追う警部と義姉の二視点三人称叙述で話が進む。容疑者達・・養父母、義姉、教師達、少女、友人、実父、養父の愛人、刑事・・のパズル完成ビックリ感がイマイチ。

No.4 6点 蟷螂の斧
(2017/01/13 13:25登録)
裏表紙より~『霧の濃い夜、16歳のイアンは家を出た。優秀な生徒だった彼は、ある出来事を境に不良仲間に入り、急に金回りが良くなり、挙げ句の果ての出奔だった。姉は単なる家出と考えていたが警察に。ニコルソン警部と姉の捜査から家族の秘密・不良仲間との関係・学校での出来事・轢き逃げ事故など様々な手がかりが出てくるが。彼に何が起こったのか、生死は…。そして姉が襲撃される。』~

警部ニコルソンと少年の姉アイリーンの視点で交互に語られます。前半は事件も起こらず、捜査状況や家族関係が描かれるだけなので、やや緊迫感に欠ける印象です。後半、アイリーンが襲われるあたりから盛り上がってきます。本作はミスディレクションをメインにした作品という感じを受けました。

No.3 6点 kanamori
(2010/08/08 18:20登録)
普通の本格パズラーであれば、後半になって事件が動き出すあたりから小説が始まってもおかしくないのですが、冒頭の少年の失踪から、学校及び家庭の人間関係、事件の背景の説明などで小説の半分を費やすというゆったりとした展開は、ディヴァインの作風を知らないとちょっとついていくのがきつそうです。
二人目の被害者が少年の姉に言った「あなたは彼に似ていない」という伏線は面白いのですが、提示方法が巧くなく効果をあげていないのがちょっと惜しい。
トリックをほとんど使わず、ミスディレクションのみで意外な犯人の設定ということで、作者の特徴の出た作品だと思います。

No.2 9点 nukkam
(2009/01/23 11:31登録)
(ネタバレなしです) 1965年発表の長編第4作の本格派推理小説です。短気な私は事件性がなかなかはっきりしない失踪系はどうも苦手で、名手ディヴァイン作の本書でも前半は読んでてちょっと辛かったです。しかし後半になってようやく事件らしい事件が起きてからは挽回し、最後はさすがディヴァインと唸るような謎解きが楽しめました。

No.1 5点 こう
(2008/06/22 01:46登録)
 16歳の少年が突然失踪し、警察が捜査してゆく過程で、作品のキーパーソンの姉が襲撃されて、という話ですが明らかな本格作品である他作品程の仕上がりはありません。
 最後犯人は唐突に明かされますが、正直犯人の行動は一般読者には納得しかねるものです。
 ディバインの邦訳作品の中では一番出来が悪いと思いますが、個人的にはまあまあ楽しめました。 

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