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ミステリの祭典

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愛の探偵たち
ポアロほか、短編集

作家 アガサ・クリスティー
出版日1980年06月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 5点 レッドキング
(2022/05/12 11:01登録)
アガサ・クリスティー第十一短編集
  「三匹の盲目のねずみ」雪中孤絶の宿の7人。犯人、ターゲットWho? 戯曲「ねずみとり」の前バージョン。3点。
  「奇妙な冗談」 これもクリスティー版「黄金虫」。オチともかく、いんぐりっしゅ分らんと・・つまらん。2点。
  「巻き尺殺人」 落ちていた針1本から、殺人容疑の噂を被る人物を救出するミス・マープルのロジック。5点。
  「完璧なメイドの事件」 「家政婦のミタ」の如く完璧なメイドは、完璧な怪盗だった・・その正体は・・7点。
  「管理人事件」 医師のミステリ原稿(クリスティー十八番トリックエッセンス)を解釈するミス・マープル。7点。
  「四階のフラット」 ずいぶんと手の込んだ仕掛けの割には・・得られる驚き効果イマイチ。4点。
  「ジョニーウェイバリーの冒険」名家の予告身代金誘拐・・情状酌量余地はあるが・・無罪放免て訳には・・4点。
  「愛の探偵たち」 中世の絵に描いた様な互いの罪を庇いあう恋人たち・・からの・・6点。
で、全体を平均して、(3+2+5+7+7+4+4+6)÷8=4.75、5点。

No.3 5点 弾十六
(2020/02/23 16:54登録)
1950年出版。原題Three Blind Mice and Other Stories(米国オリジナル編集) 早川クリスティー文庫版は、原本(9篇収録)から「二十四羽の黒つぐみ」を除いたもの。
なるべく発表順に読む試み。カッコ付き数字は文庫収録順。初出データはwikiを基本にFictionMags Indexで補正。英語タイトルは初出優先です。
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⑺ジョニー・ウェイバリーの冒険(ポアロ) The Grey Cells of M. Poirot, Series II III. The Kidnapping of Johnnie Waverly (Sketch 1923-10-10) 単行本タイトルThe Adventure of Johnnie Waverly: 評価5点
語りの流れが良い。話自体はシンプルなもの。ヘイスティングスが用心深くなってるのが面白い。
p291 二万五千ポンド♠️身代金。英国消費者物価指数基準1923/2020(60.87倍)で約2億1600万円。
p298 十シリング♠️4318円。伝言の駄賃。成功したらさらに10シリング、という約束。
(2020-2-23記載)
TVドラマのスーシェ版(1990, 1期3話)は楽しい作品に仕上がっている。誘拐が英国で起こるなんてあり得ない!みたいな反応だが、英国初の身代金誘拐は1969-12-29発生のMuriel KcKay(55歳)誘拐事件とwikiのKidnapping in the United Kingdomにあり。(子供は1975-1-14のLesley Whittle(17歳)事件が初) ヘイスティングズの車(Lagonda)が活躍。仲良くポワロと歌う童謡はOne Man Went to Mow。
(2020-3-14記載)
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⑻愛の探偵たち(クィン) At the Crossroads (Flynn’s Weekly 1926-10-30 挿絵画家不明; 英初出Story-teller 1926-12 連載タイトルThe Magic of Mr. Quin, No. I. At the Cross Roads) 単行本タイトルThe Love Detectives: 評価4点
この頃の作品はロマンチックな空想力のたまもの。
p323 危険な十字路(dangerous crossroads)◆アガサさんが自分で自動車を運転していた感じが出ていると思う。当時の交通ルールは幹線道路(main road)優先なのか?
p324 最後に会ったのは… <鐘と道化師>(Bells and Motley)◆雑誌発表順だと正しい順番。クリスティ文庫『クィン氏』の表記は<鈴と道化服>
p327 肌の色はやや浅黒いが(Rather dark)◆クィン氏の感じ。外国人風ではない… という観察なので、肌の色で良いのだろう。
p328 修道僧たちが金曜日のために鯉を飼っていた池(the fishpond, where monks had kept their carp for Fridays)
p350 ゴルフボールそっくりの銀の懐中時計(a silver watch marked like a golf ball)◆ Dunlop Golf Ball Pocket Watch 1920で当時のブツが見られる。読んでいて私は球形だと誤解したが、実際は平べったい普通の懐中時計型でカバーにディンプルをつけてゴルフボール風にしたもの。試訳「ゴルフボールに似せたカバーの銀の懐中時計」
(2022-5-14記載)
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⑹四階のフラット(ポアロ) The Third Floor Flat (英初出Hutchinson's Story-Magazine 1929-1; 米初出Detective Story Magazine 1929-1-5 掲載タイトルIn the Third Floor Flat 挿絵画家不明)
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⑵奇妙な冗談(マープル) A Case of Buried Treasure (This Week 1941-11-2) 単行本タイトルStrange Jest
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⑶昔ながらの殺人事件(マープル) Tape-Measure Murder (This Week 1941-11-16 挿絵Arthur Sarnoff)
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⑸管理人事件(マープル) The Case of the Caretaker (Strand 1942-1)
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⑷申し分のないメイド(マープル) The Perfect Maid (Strand 1942-4) 単行本タイトルThe Case of the Perfect Maid
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⑴三匹の盲目のねずみ Three Blind Mice (Cosmopolitan 1948-5)
BBCのラジオ劇(1947-5-30放送 タイトル同じ)を小説化。のちの超ロングラン劇The Mousetrap(1952-11-25)

No.2 4点 クリスティ再読
(2017/03/05 22:16登録)
本作品集は戯曲「ねずみとり」のベースになった「三匹の盲目のねずみ」を別にすると、マープル4作、ポアロ2作、クィン氏1作になるけども、まあどれもこれも大した作品じゃない。どっちか言えば「没トラック集」という雰囲気である。本質が短編作家じゃないクリスティの場合、短編集の作家的位置づけが難しいな...
この中で一番読ませる「三匹の盲目のねずみ」でさえ、ミステリとしては説得力があまりなくて、ミステリ短編としては今一つである(まあ、詳細は「ねずみとり」でツッコむが)。要するに短編だとクリスティの論理性の弱さが目立ってしまって、真相が恣意的に見えるんだよね。これが長編だとキャラの性格に真相をうまく埋め込んで説得力を出すのが、クリスティの得意技なんだけども、短編だとなかなか難しい。
まあ筆者としてもここらは消化試合という感じ。まだもう少しだけクリスティは残っているが...

No.1 7点
(2010/11/20 13:38登録)
最初に収められているのは、演劇有名作『ねずみとり』の原作『三匹の盲目のねずみ』です。短編集は1950年に出版されていて、戯曲化されたのは1952年だそうですから、小説が先であることは間違いないのですが、再読して感じたのが、最初から完全に舞台化を意識しているな、ということでした。特に真相が暴かれる部分など、マザー・グースの歌のピアノ演奏、多少無理してまでの舞台の固定など、いかにも演劇的です。真相は単純でむしろ平凡ですが、小説の文章や映画のカットバック映像等でていねいに説明しなければ理解できないような複雑なトリックや論理は、演劇には向きません。
ミス・マープルもの『管理人事件』は再読して、後期某長編の元ネタはこれだったのかと気づきました。
クィン氏の『愛の探偵たち』は30年代の某長編と同じアイディアです。道化亭に言及されていることから『謎のクィン氏』の第4作になるはずだったと思われます。雰囲気があまりクィン氏ものらしくないので、連作短編集としてまとめる時にはぶいて長編に仕立て直したのでしょうか。

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