| A先生の名推理 |
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| 作家 | 津島誠司 |
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| 出版日 | 1998年03月 |
| 平均点 | 5.86点 |
| 書評数 | 7人 |
| No.7 | 2点 | ことは | |
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(2026/04/07 03:03登録) 今年になって2つも投稿があったので、我慢ができずに投稿だぁ。他書評に「一般に評価が非常に低いか、忘れられている作品」とあるように、低い評価の感想もぶち込みますよ。(これが一般の評価だよね? そうだよね?) 本作のどこが受け付けないかというと……。 ・冒頭にあわらわれる事象を、登場人物たちが、なんの改めもなく「不可解だ」といいだす。 ・その事象を「不可解」とするならば、最低限「こういうことではない」と確認する必要があるのではないか、と考えると、真相がまさに「こういうこと」 ・もしくは、物理的にありえない「こういうこと」が真相という気か、と考えると、真相がまさに「こういうこと」 というわけで、悪い謎解きミステリの典型というのが私の評価。謎解きミステリは、「謎と解決」さえ整えれば一応成立するので、もっとも簡単に作れる小説だと思うのだけど、だからこそ「謎と解決」に対する評価はシビアであるべき。私の評価軸では、本作の「謎と解決」は文句なしに最低ラインです。 他書評に「ナンセンス小説」の評があるけど、そうなのか? そう見れたら楽しめるのか? そういう視点はなかったけど、うーん……私にはどうしても見直せないなぁ。 そういえば、収録作の「叫ぶ夜行怪人」は、「ミステリ-の愉しみ (第5巻)、奇想の復活」で、島田荘司からサンプルとして作家たちに配られた作品だった記憶がある。「奇想の復活」は、「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」、「どんどん橋、落ちた」、「重ねて二つ」、「バベルの塔の犯罪」などの初出でもあって、思い出すといい選集だったなぁ。 |
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| No.6 | 6点 | まさむね | |
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(2026/04/06 21:04登録) 各短編とも、非常に不可解かつ魅力的な謎が登場してワクワクさせてくれます。一方で、鎌倉駅前の喫茶店に現れるA先生の「解答」を聞くや、何とも言えない肩透かしを感じてしまう面も。①の衝撃が次第に薄れつつあった③に至っては、読中「まさか…」と想像しつつ、そのまさかのまさか。無理がありすぎるような…などと思ってしまうのは野暮なのかもしれない。また、警察の捜査って…と思ってしまうのも、おそらく野暮。外連味を大いに楽しみましょう。 ①叫ぶ夜行怪人:深夜の大通りを叫びながら、そして光りながら歩む怪人。 ②山頂の出来事:消えたり現れたり、あるいは上下逆さになったりする峠の小屋。 ③ニュータウンの出来事:ニュータウンの半分が倒壊? ④浜辺の出来事:海底で助けを求める謎の女…。 ⑤宇宙からの物体X:エイリアンが地球人を殺害? ⑥夏の最終列車:作者のデビュー作。A先生は登場しません。短尺で締りのある作品だけど、警察は気付くよね… |
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| No.5 | 8点 | 人並由真 | |
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(2026/03/17 06:44登録) (ネタバレなし) 本サイトにほぼ日参するようになって、およそ10年。そんななかでサイト内の未知の作品のレビューを散策するうちに、なんとなく気になった&心に引っかかった何冊かのミステリのうちの一冊が、コレだった。それが7~8年前。 古書価が少し高めなので、どっかのブックオフか古書店の100円棚で出会えればいいなと思いつつ気が付いてみたら、あっというまに2025~26年。 そんなタイミングで2025年の新刊『コージーボーイズ、あるいは四度ドアを開く』(笛吹太郎)を読むと、同作の作中の登場人物間のミステリ談義とさらに本編外の作者の注釈で、この作品『A先生』が実に面白そうに語られていた。じゃあ、そろそろ……と一念発起して近所の図書館から借りてきた(そこの蔵書にあることは知っていたが、できればなぜかこの本は購入して読みたい気持ちが強めだった)。 で、読み始めると、ケレン味満点の怪事件の謎が出るわ出るわ、で予想以上に楽しい。 私の場合、謎解きの解法に関しても実はどれもそんなに不満はなく、各編が良い意味でナナメ下の急角度で、A先生の説明に襟首を掴まれて<現実の世界>へと引き戻される感じ。 「夜光怪人」も「山頂」の消える小屋の謎も、「ニュータウン」のホワットダニットも、「浜辺」と海での連続怪事件も、どれもこれもヒジョ~にワクワクした(「物体X」がちょっとだけ他より落ちるが、これも悪くはない)。 ベスト編は「浜辺」イチオシ。とんでもない悪夢のようなビジュアルと、その真相の落差。これこそ新本格の妙味のひとつである。 さらに巻末のノンシリーズ編。これもまた、実にいい感じに肝を冷やしてくれて、何とも言えない感興のなかで一冊を最後まで読み終えられた。そのラストの一本が、なんか戦前の「新青年」か戦後初期の「宝石」の、グルーミーかつシンプルで切れ味の良い秀作パズラーに触れた気分。 この作者はこの一冊だけ残して(ほかに短編が少しあるようだけど)、ミステリ史からこのまま消えてしまうのかなあ。惜しいなあ。本当に惜しい。もう一、二冊くらい、5~10年単位で著書を出してくれないかなあ。 |
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| No.4 | 6点 | メルカトル | |
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(2013/01/29 21:55登録) 再読です。 事件の概要が説明される前半と、A先生が登場する解決編がはっきりと区別されている連作短編集。 前半の事件はどれも奇天烈なもので、謎としては申し分なく実に魅力的だが、一転それらの謎を解く後半は味も素っ気もないくらい、あっけなく解決されてしまう。 A先生の推理は、なるほどと思わせる部分もあるが、いささか強引で説得力が無い。 『宇宙からの物体X』の前半が最も面白かったかな、後半は相変わらず肩すかしだが。 それと、もしかしたらこの作者の本領が最も発揮されているのは最終話の『真夏の最終列車』かもしれない。 この短編だけはA先生が登場しない、氏のデビュー作であるらしい。 このアリバイトリックはすっきりしていて、意表を衝かれる、なかなかよく考えられたものであると思う。 ただ、轢断死体、つまり変死体なので、警察が本気で調べればあっけなく真相が看破されてしまうはずなのだが。 それでも、この最終話だけは評価されるべきではないだろうか。 |
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| No.3 | 5点 | kanamori | |
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(2011/03/06 17:03登録) 黒ぶち眼鏡にベレー帽、鎌倉に住むココア好きのA先生が喫茶店で謎解きをする連作ミステリ。 深夜に出没する光る怪人、消えては現れる峠の小屋、隕石に付着したエイリアンによる連続殺人など、提示される謎は奇抜で派手なものばかりですが、真相はいずれも強引で説得力に欠けます。 真っ当な文体がバカミス的トリックと合っていなくてチグハグ感がありました。併録されたノンシリーズの鉄道ミステリが作者本来の持ち味が出ている気がする。 |
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| No.2 | 9点 | TOMY | |
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(2010/01/03 21:32登録) 一般に評価が非常に低いか、忘れられている作品ですが、大抵は通常の本格ミステリとして評価した結果のようです。出版当時バカミスという言葉が流布されていなかったことに加え、作者もユーモア色を意識していることを全く表面上出していないので(内心意図していたかは不明)無理もありませんが、これはナンセンス小説の傑作です。世の中何でもかんでもバカミスと称する傾向がありますが、ナンセンスものとしては小林信彦の神野推理シリーズ位では?本作はそれとはまたタイプが異なりますが、トリックというか解決が無茶苦茶な点は凄まじい。特に「ニュータウンの出来事」は映像を思い浮かべるとパニックもののハリウッド映画みたいでたまりません! |
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| No.1 | 5点 | 江守森江 | |
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(2009/06/10 11:38登録) 鎌倉在住のA(鮎川?)先生が安楽椅子探偵の連作短編集にデビュー短編を加えた作品集。 不思議な謎を論理的に解決する本格の手本的スタイルだが、今一つ解決編でスカッと出来なかった。 その辺りにこれ一冊で消えた?原因がありそう。 実現不能そうな大技トリックを使うなら“島荘”ばりにシリーズ探偵物で長編に挑戦すれば良かった気がする。 |
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