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ミステリの祭典

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A先生の名推理

作家 津島誠司
出版日1998年03月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 メルカトル
(2013/01/29 21:55登録)
再読です。
事件の概要が説明される前半と、A先生が登場する解決編がはっきりと区別されている連作短編集。
前半の事件はどれも奇天烈なもので、謎としては申し分なく実に魅力的だが、一転それらの謎を解く後半は味も素っ気もないくらい、あっけなく解決されてしまう。
A先生の推理は、なるほどと思わせる部分もあるが、いささか強引で説得力が無い。
『宇宙からの物体X』の前半が最も面白かったかな、後半は相変わらず肩すかしだが。
それと、もしかしたらこの作者の本領が最も発揮されているのは最終話の『真夏の最終列車』かもしれない。
この短編だけはA先生が登場しない、氏のデビュー作であるらしい。
このアリバイトリックはすっきりしていて、意表を衝かれる、なかなかよく考えられたものであると思う。
ただ、轢断死体、つまり変死体なので、警察が本気で調べればあっけなく真相が看破されてしまうはずなのだが。
それでも、この最終話だけは評価されるべきではないだろうか。

No.3 5点 kanamori
(2011/03/06 17:03登録)
黒ぶち眼鏡にベレー帽、鎌倉に住むココア好きのA先生が喫茶店で謎解きをする連作ミステリ。
深夜に出没する光る怪人、消えては現れる峠の小屋、隕石に付着したエイリアンによる連続殺人など、提示される謎は奇抜で派手なものばかりですが、真相はいずれも強引で説得力に欠けます。
真っ当な文体がバカミス的トリックと合っていなくてチグハグ感がありました。併録されたノンシリーズの鉄道ミステリが作者本来の持ち味が出ている気がする。

No.2 9点 TOMY
(2010/01/03 21:32登録)
一般に評価が非常に低いか、忘れられている作品ですが、大抵は通常の本格ミステリとして評価した結果のようです。出版当時バカミスという言葉が流布されていなかったことに加え、作者もユーモア色を意識していることを全く表面上出していないので(内心意図していたかは不明)無理もありませんが、これはナンセンス小説の傑作です。世の中何でもかんでもバカミスと称する傾向がありますが、ナンセンスものとしては小林信彦の神野推理シリーズ位では?本作はそれとはまたタイプが異なりますが、トリックというか解決が無茶苦茶な点は凄まじい。特に「ニュータウンの出来事」は映像を思い浮かべるとパニックもののハリウッド映画みたいでたまりません!

No.1 5点 江守森江
(2009/06/10 11:38登録)
鎌倉在住のA(鮎川?)先生が安楽椅子探偵の連作短編集にデビュー短編を加えた作品集。
不思議な謎を論理的に解決する本格の手本的スタイルだが、今一つ解決編でスカッと出来なかった。
その辺りにこれ一冊で消えた?原因がありそう。
実現不能そうな大技トリックを使うなら“島荘”ばりにシリーズ探偵物で長編に挑戦すれば良かった気がする。

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