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ミステリの祭典

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まず良識をみじん切りにします

作家 浅倉秋成
出版日2024年10月
平均点5.75点
書評数4人

No.4 6点 文生
(2025/03/22 09:32登録)
奇妙な味的な短編集

「そうだ、デスゲームを作ろう」
SFチックなスケールの大きな話になりがちなデスゲームを小市民的なスケールで描いたのがユニーク。

「花嫁がもどらない」
花嫁がお色直しから戻ってこない理由を推理する推理合戦ものかと思いきや、推理にかこつけた本音大暴露大会になっているのがブラックコメディとして秀逸です。

「ファーストが裏切った」
個人的ベストがこれ。2軍あがりのファーストが利敵行為を繰り返す訳のわからなさがシュールで面白い。

他の2編はピンとこず、トータルで6点くらい

No.3 5点 sophia
(2025/03/21 23:06登録)
●そうだ、デスゲームを作ろう 5点・・・ただのDIY奮闘記
●行列のできるクロワッサン 5点・・・ただの行列奮闘記
●花嫁がもどらない 5点・・・ただの偏見大会
●ファーストが裏切った 5点・・・ただのNHKスペシャル
●完全なる命名 6点・・・この中では一番マシ

多くの話で主人公の行動の描写、心情の描写ばかりが続き劇的な展開はありませんし、オチらしいオチもありません。「行列のできるクロワッサン」は「世にも奇妙な物語」でありそうな話。「完全なる命名」は歌野晶午「世界の終わり、あるいは始まり」を思わせる構成ですね。総じて浅倉秋成に期待するものではなかったです。ひょっとすると短編は向いていないのかもしれませんね。

No.2 7点 HORNET
(2025/02/02 17:21登録)
 日々増幅する、取引先の役員に対する憎しみ。ついに男は復讐を計画する(「そうだ、デスゲームを作ろう」)。結構披露宴で、突然花嫁が「気持ち悪い」の言葉を残して部屋にこもってしまった。原因は何?(「花嫁が戻らない」)。試合終盤に突然、自チームの足を引っ張るプレイを全力でし出したプロ野球選手。その真意は?(「ファーストが裏切った」)
 日常を逸脱したちょっと異常なシチュエーションを舞台に、ブラックユーモアを交えた痛快な作品が並ぶ短編集。

 一作目の「そうだ、デスゲームを作ろう」から面白かった。日々の苦渋に耐え、いつかそれがデスゲーム決行へのモチベーションになっていく中、その思いは果たせるのか―と純粋に結末が楽しみに。「行列のできるクロワッサン」は、ありえないバカバカしさながら、週刊誌報道に右往左往する昨今の日本の群集性が思い浮かんでくるところもあり、痛快な皮肉を感じた。
 印象的な一編は「ファーストが裏切った」。選手の奇行には最後まで明確な理由はないが、理由のない人間心理の危うさを描くという趣旨は面白かった。

No.1 5点 まさむね
(2025/01/05 19:42登録)
 ブラックユーモア短編集。いずれの短編も極端な人物が登場し、ナンセンスな展開が繰り広げられるのですが、心情が分からないではない(むしろよく分かる?)辺りがミソ。考えさせられもするのですが、作者らしい「捻り」を期待すると、肩透かしかもしれません。
 「行列のできるクロワッサン」のバカバカしさと絶妙な心理展開、「ファーストが裏切った」の深みが印象に残ったけれども、最終話の「完全なる命名」における新米パパの妄想と現実が素敵でした。

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