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ミステリの祭典

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牢獄学舎の殺人 未完図書委員会の事件簿

作家 市川憂人
出版日2024年08月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 5点 虫暮部
(2024/11/08 12:36登録)
 主人公二人が作中作の手掛かりを吟味するやりとりが楽しい。凝った構成、密室、謎の作家に謎の組織、と構成要素を鑑みればもっと乗れそうなものだが、何故か実際にはそれほどでもなかった。主人公が無個性と言うかプリセットされたキャラクターをそのまま使った感じ。事後従犯グループの動機がファジィで素直には頷けない。
 By the way, this title is an important clue(?).

No.2 6点 人並由真
(2024/10/23 12:43登録)
(ネタバレなし)
 安定の実力派・市川憂人先生の新シリーズ、黙っていてもレビューが集まるハズなのに、ふた月前後経っても誰も書かない。 
 じゃあ読んで感想書くか、と思って昨日からページをめくりメモを取っていたら、読了直前に文生さんのレビューが上がった(笑)。いや、人生はドラマチックでオモシロイ。

 中身に関しては、イカれた? 大設定に直に触れてもらい、わははははは、こんなことあるかい!? と実写映画版『ビッグマグナム黒岩先生』公開時の横山やすしみたいに笑ってもらいたいので、あらすじは省略。
 いや『金田一少年』の「地獄の傀儡師」シリーズの拡大版みたいで外連味たっぷりです。
 主人公がミステリマニアで、あれこれ読書体験の中からウンチクを引っ張り出す趣向も楽しい(当人はネタバレには気を使ってるので、読者にもやさしい)。

 で、先行レビューの文生さんのおっしゃる肝心の事件がツマラんというご指摘はまったくごもっともとも思うが、ただまあ個人的には、イカれた歪んだ一部の登場人物の思考など、それはアリか? ……あるのかな? というせめぎ合いのグレイゾーンでなかなか楽しかった。
 謎の解法が込み入って、ロジックが均質化され、ダイナミズムを失ってしまった(少なくとも私にはそう見える)分だけ、パズラーとしての構造矛盾が生じてしまったのはアレだが。

 なんにしろ、やや強引な部分も含めて個人的にはそれなりに面白かった。読んでいて、ここはこういう解釈もできるんじゃないかな? と思った箇所が、あとでちゃんと推理の輪のなかでフォローされるのは、改めて気持ちいいとも思った。
 7点に近いこの点数で。

No.1 3点 文生
(2024/10/23 09:38登録)
アマチュア作家だった学校の教師が解決編の存在しない未完ミステリーを100作以上遺し、しかも、それらが犯罪に利用されているという設定は大風呂敷が過ぎると思いつつも個人的には嫌いではありません。ただ、問題は未完ミステリーそのものにあります。100作以上存在するという未完ミステリーのうち本作で紹介されるのはタイトルにもなっている『牢獄学舎の殺人』なのですが、作中での説明を聞いた限りでは、犯罪者たちを魅了してやまないものとは到底思えません。せいぜい、ミステリ好きが嵩じた素人が創作にチャレンジした結果出来上がった愚作程度のレベルではないでしょうか。
そのうえ、実際に起きた事件の方の真相も到底納得できるものではなく、犯人の意味不明すぎる思考には頭を抱えるばかりです。構想の壮大さに完成度が追い付いていない駄作です。

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