やまのめの六人 |
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作家 | 原浩 |
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出版日 | 2021年12月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 6点 | 虫暮部 | |
(2025/07/26 11:45登録) 色々と伏線を拾う面白さは結構ある。 但しそのせいで、物語を牽引する役目はクライム・ノヴェル的なスリルが担うことになり、ホラー的な怖さはあまり感じない。それでラストがああだと、何だかはぐらかされたような気分になった。 |
No.2 | 6点 | 猫サーカス | |
(2025/07/18 19:40登録) 嵐の夜、ある仕事を終えた男たちの乗る自動車が土砂崩れに巻き込まれて横転。一人が死亡し、残り五人は山奥に建つ洋館に足を踏み入れる。年齢も性格もバラバラな五人組の正体はダイヤ強盗犯グループだった。しかし安堵したのもつかの間、男たちは不気味な老婆に率いられた館の住人に拘束されてしまう。閉ざされた洋館で繰り広げられる、強盗グループVS奇怪な一家の攻防戦。そこに峠に現れると噂される妖怪「やまのめ」の存在が加わる。物語は登場人物の名を冠した七つのパートからなる。章ごとに交代する語り手の心の声を聞きながら、異常な事件の推移を見届けることになる。物語が進むにつれ、男たちのキャラクターの違いが浮き彫りにされていく。緊迫した状況の中、ある者は仲間を出し抜き、ある者は邪悪さをあらわにする。人間の善と悪を活写したドラマとしても読み応えがあった。クライムと妖怪ホラーという着想が新しい。 |
No.1 | 6点 | びーじぇー | |
(2024/04/26 22:09登録) 台風直下、人気のない山道を走っていた車を土砂が襲い、乗っていた六人の男のうち一人が亡くなる。男たちは途方に暮れるが、幸い近くに人家があり、その住人だという金崎兄弟に助けられる。兄弟の厚意に感謝しつつ、彼らは金崎家の洋館に避難するのだが。 旅先でトラブルに見舞われた人々が人気ない屋敷に導かれ入っていくとそこは、という展開はホラーの定番だろう。本書が一味違うのは、遭難したのがいかにも危険な男たちであること。案の定、金崎兄弟はほどなくを本性を現すが、男たちもただ黙って服従することはなかった。 男たちと金崎家の闘いは一旦片付くが、今度は男たちのお宝は紛失、互いに疑心暗鬼に駆られ始める。現地では「おめんさま」と呼ばれる山神信仰があり、やまめという妖怪話も伝わっていた。 ノワールとホラーの見事な融合。先が読めないスリリングな展開で一気に読ませる。 |