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ミステリの祭典

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マイクロスパイ・アンサンブル

作家 伊坂幸太郎
出版日2022年04月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 4点 E-BANKER
(2024/04/29 13:26登録)
~付き合っていた彼女に振られた社会人一年生、どこにも居場所がないいじめられっ子、いつも謝ってばかりの頼りない上司・・・。でも、今見えていることだけが世界の全てじゃない。優しさと驚きに満ちたエンタメ小説。猪苗代湖の音楽フェス「オハラ☆ブレイク」でしか手に入らなかった連作短編がついに書籍化!~
ということで、いわゆる「タイアップ」である。単行本は2022年の発表。

①「一年目」=キーワードは”グライダー”? そう、エンジンを積んでない飛行機である。グライダーをめぐって「失恋」と「失言」、そして「逃げる」男が登場。
②「二年目」=①の三人のその後が描かれる二年目。それぞれに進展しているような、いないような・・・。そして、突然湖面に湧き上がる「スポンジマン」、じゃないっ!
③「三年目」=今度は“カゲロウ”である。
あーあ、もうこの辺で細かいことはどうでもよくなってきた! 以下、四年目から七年目まで物語は続いていく(最後にボーナストラック的な締めもあり)。

本作は、2015年より猪苗代湖を舞台とした音楽とアートを融合したイベント“オハラ・ブレイク”で、小説とのコラボを依頼され、作者が手掛けてきたもの。
そういう制約(?)のためか、いつもほどの自由な発想は見られない。
連作のなかで並行して語られる二つの物語がやがて奇跡のような邂逅を果たし、そしてそれぞれのあるべきところへ収まる・・・
伊坂の筆致で書くと、何だかうまく言いくるめられた気になるけれど、プロットとして目新しさはない。

まぁ、有り体に言えば、「童話」或いは「ファンダジー」である。こういうのが好きならばどうぞ!
私は・・・それほどは・・・
(結局、あのマグカップはどうなったのか? 若干気になる)

No.2 5点 まさむね
(2024/03/20 11:28登録)
 もともとは、猪苗代湖を舞台とした音楽イベントの来場者に小冊子として配られた短編小説。イベントが毎年開催された結果、7年間で1冊の本にまとまったようです。
 そういった経緯もあるからなのか、全体として見ると多少散漫な印象もございますが、お伽噺と現実世界との組み合わせ方は伊坂さんらしいし、温かい気持ちにさせてくれました。

No.1 6点 ぷちレコード
(2024/01/21 22:15登録)
ストーリーはごく平凡な会社員の生活と、一般世界とは全くかけ離れたスパイたちの活動の、二つの軸で紡がれ繰り広げられている。およそ結びつくはずのない異質な関係が、いつしかあざなえる蠅のごとく、ぴったりと寄り添うように共鳴する。
理知的でありながら、人間的な情感がたっぷりと凝縮されている。忙しい毎日で置き忘れてしまった大切な気持ちを取り戻させてくれる魅力がある。

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