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ミステリの祭典

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黒い糸

作家 染井為人
出版日2023年08月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 文生
(2023/11/26 10:55登録)
クレイマー、別れたDV夫、モンスターペアレントといったイヤミス全開の登場人物が次々と現れては主人公を追いつめていく物語はサスペンス小説として読み応えあり。大人びた女子小学生や変人兄貴といった探偵役も魅力的です。テンポもよくて十分に面白い作品なのですが、ミステリーあるあるパターンに当てはめた結果、早々に犯人が分かってしまったのが個人的に残念。

No.1 7点 人並由真
(2023/10/24 18:31登録)
(ネタバレなし)
 その年の12月。千葉県の結婚相談所「アモーレ」に勤める39歳の離婚女性・平山亜紀は、お客の会員のひとり・江頭藤子のわがままな物言いに悩まされていた。一方、亜紀の一人息子で小学六年生の小太郎の学校では、彼のクラス6-2の少女・小堺櫻子が行方をくらます事件? が発生。学校側の不備を問う櫻子の両親のクレームに苦しんだ担任の女性・飯田美樹は休職し、本来は4年生受け持ちの38歳の長谷川祐介が代理の担任を務めていた。やがて二つの場での物語は、じわじわと絡み合っていく。

 評判が良いのでフリで読んでみた、今年の新刊(書き下ろし)。
 作者はすでにそれなりの著作があるようだが、評者はこの方の作品は初読みである。
 
 帯にはホラーサスペンスを謳っており、スーパーナチュラルな要素があるのかないのかも読む前には不明。
(結局どうだったのか、もちろんここでは、それについては触れない。)

 いずれにしろ、イヤミスっぽい緊張感を漂わせながら、ぐいぐい読ませる筆力は実感。サブキャラクターたちもアモーレの所長の小木とか、小学校の校長と教頭とか、記号的になりがちなキャラシフトの人物にちょっとした印象的な芝居をさせているあたりとか「読ませる」作家らしい器用さを認める。

 真相の開示までかなり引っ張り、終盤に怒涛のごとくショッカー要素が襲ってくる構成で(ここまではギリギリ書かせてください)、「タメ」を受けたクライマックスの迫力はなかなかのもの。クロージングには少し思う所もあるが、まあこれはこれで。
 ひと晩、十分に楽しめた。評価は0.25点くらいオマケか……な。

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