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ミステリの祭典

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バグダッドの秘密

作家 アガサ・クリスティー
出版日1956年01月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 6点 虫暮部
(2024/04/11 13:21登録)
 これは最初期のアウトテイクをリメイクしたものじゃないかと勘繰りたくなる。強引な真相(一目惚れに内実が感じられないのも読み返せば立派な伏線か)。“可笑しな理想に邁進する秘密組織” は大いにアリ。
 異国情緒もそれなりに楽しめた。発掘現場に紛れ込んだりする擬似自分語りが或る種のファン・サーヴィスだと作者は認識していたのだろうか。

No.3 5点 レッドキング
(2021/04/23 19:29登録)
操りとラスボスWho(見え見えだが)、およびWhatダニットのミステリが、まるでジェフリー・ディーヴァーツイストの源流の様な明るいオプチミズムで泳着する。本来3~4点だろうが、奔放にして聡明なヒロインのエネルギッシュな魅力と、見事なる異邦イラク描写に加点したく。

No.2 6点 クリスティ再読
(2016/01/02 22:03登録)
大変意外なことなのだが、本作はミステリじゃないが面白い。評者は「クリスティ再読」を名乗りながらも、いくつか読み落としがあってその一つが本作だが、「つまんないだろうな...」という先入観で敬遠していた。
ただし、本作はシリアスなスパイ物だと読んじゃいけない。嘘ばっかりで世渡り上手、だけどカワイイ女の子が、ビンボかつシタタカにバグダッドの街をはじめイラク国内を放浪する小説だと思って読むべきだ。そういうヒロインのヴィクトリアに憎めない生彩があってイイ。仕事をクビになって「あ~あ、ふう」でパン齧ってた公園のベンチで出会った男に一目ぼれして、バグダッドくんだりまで追いかけるわけだから、「茶色の服の男」のアン級の突進力である。読んでいて遠藤淑子風味。マダミスのグレースに近いな。
まだからミステリを期待せずに読むとそれなりの逆転はあっていい。クリスティの少女マンガ視点で見るならば、ここまでアカラサマな真相ってあったっけ...というものなので、一応ビックリでいいと思う。けどミステリとかスパイとかそういう内容よりも、発掘現場で専門家相手にうまく切り抜けるとか出土物でウルウルするとか、ホテルの主がなかなか楽しいキャラだとか、それからバグダッドのスパイ網を一手に握るダキン氏が中村主水風の昼行燈切れ者で妙にカッコイイとか、そういうデテールこそがお楽しみ。
あと敵の設定など例の迷作「フランクフルトへの乗客」に共通するものが多い。そういえば「疑惑の空港」とでもいうべきネタでもかぶってる。アノ迷作を理解したいと願う(願い下げな人多数だろうが)ならば必読かも。

No.1 4点 蟷螂の斧
(2015/04/16 07:37登録)
裏表紙より~『おしゃべり好きが災いして会社を馘になったヴィクトリアは、一目惚れした美青年を追いかけて一路バグダッドへ。やっとのことで彼の勤め先を探しあて、タイピストとして潜り込んだものの、とたんに不可解な事件に巻き込まれてしまった。さらに犯人の魔手は彼女にものびて…中東を舞台に展開するスパイ・スリラー。』~
ロマンチックな冒険談といったところですね。とてもスパイ・スリラーとは言えないような、まとまりのない作品です。誰がどういう目的で動いているのかが良くわかりません。著者の私生活(若き頃)をだぶらせて読めば楽しめるかも?。イギリスの秘密諜報部員が登場します。007・ジェームス・ボンドより2年早い登場ということが分かった作品です(苦笑)。

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