悲鳴だけ聞こえない 木村&高塚弁護士シリーズ |
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作家 | 織守きょうや |
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出版日 | 2022年09月 |
平均点 | 5.75点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 6点 | SU | |
(2024/04/22 21:41登録) 表題作は、顧問先の会社でのパワハラの告発を二人が調査するが、目撃者はいても被害者が名乗り出ない状況が謎となる。以降、弁護士までが絡んだパチンコの打ち子詐欺の全容を暴く「河部秀幸は存在しない」、破産手続きを前にどうしても手放したくない財産を隠したい依頼人に懇願される「依頼人の利益」、偏った財産分与を記した遺言状の作成に苦慮する「無意味な遺言状」、子供たち三人による遺産分割協議が始まった矢先にもう一人の相続権を持つ人間の存在が発覚する「上代礼司は鈴の音を胸に抱く」の5編を収録。 極めて今日的な話題から普遍的な揉め事までを幅広く取り入れて、そこにトリッキーな解決を見せる。弁護士コンビの目を通して描かれる生々しくほのかな闇を垣間見せる人間模様が解明とともに浄化される気持ちになる。 |
No.3 | 6点 | 人並由真 | |
(2023/03/15 15:45登録) (ネタバレなし) 今回の連作集は、多くの人の人生のどっかで関わってきそうな民事事件を主題にした内容が多い。 ミステリ味はさほど強くないものの、読んでタメになるわかりやすい法律教室? という趣で、これはこれで良い。 連作短編ミステリの大海は、こういう趣旨のものもあってこそ、だと思うので。 |
No.2 | 5点 | 文生 | |
(2023/02/22 10:19登録) 木村&高塚弁護士シリーズ第3弾の連作短編。 民事の問題を専門家の観点から扱った物語はどれも興味深く、ためになります。ただ、ミステリーとしてはそれほどヒネリが効いているようには思えず、なんとなく着地点が想像できてしまう点が物足りませんでした。唯一例外なのは表題作で、会社でパワハラが行われているはずなのになぜか被害者が判明しないという謎と盲点を突いた真相はなかなか良かったです。それでもやはり、全体的には凡庸な印象。 |
No.1 | 6点 | HORNET | |
(2023/02/12 16:08登録) パワハラ相談、遺言、自己破産など、弁護士事務所に持ち込まれる庶民的な相談を題材にしたミステリ短編集。 題材としての眼の付け所が面白く、純粋に話として面白い。特に後半は遺言・相続にまつわる話だが、依頼人の隠し事や、隠された家族関係を解き明かしていくさまはなかなか興味深いものがあった。 収録作品中では「無意味な遺言状」と「上代礼司は鈴の音を胸に抱く」が印象的だった。「上代…」は中盤でほぼ真相が看破できたが、それでも最後まで面白かった。 |