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ミステリの祭典

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花面祭

作家 山田正紀
出版日1995年02月
平均点6.80点
書評数5人

No.5 7点 虫暮部
(2024/03/16 12:55登録)
 華道と言う素材と山田正紀ブシを巧みに融合。浮世離れした異界ではなく現代日本の生活者を描きつつ、花の彩り・時の移ろい・輪廻転生を鮮やかに幻視させる言の葉の力を感じた。トリック云々より人の心が織り成すミステリ。特に夏のエピソードは良く出来ているのではないか。
 ただ、“天才華道家” の天才性をエキセントリシティだけで表現しちゃうのはちょっと不公平かな~。この人はココが凄い、と言うのを具体的に示して欲しかった。全編を貫く “しきの花” は、正体が判ってみれば詭弁だろう。華道の素養があれば受け取り方も違うのだろうか。

No.4 6点 蟷螂の斧
(2012/06/20 20:47登録)
各章での事件はその章で完結しますが、全体を通しては「しきの花」の謎が流れているので、連作ものという違和感はありませんでした。幻想的な雰囲気で物語は進んで良かったのですが、最後の探偵役の扱いはいかがなものか・・・。幻想の世界から打算的な現実へ引き戻された感じで残念です。

No.3 8点 nukkam
(2012/06/07 20:12登録)
(ネタバレなしです) 元々は1990年に発表された主人公の異なる4つの短編で、それらを合体させて加筆して1995年に長編化したそうですがつぎはぎ感は全くなく、実に完成度の高い本格派推理小説に仕上がっています。戦時中の密室からの人間消失トリックには驚きました。このトリック自体はアガサ・クリスティーの作品に前例があります。クリスティーは密室でない用途でこのアイデアを使い、それも結構巧妙でしたがこれを密室トリックに流用した山田のアイデアもすごいと思います。この作者ならではの幻想的雰囲気も女性と花との組み合わせにマッチしていると思います。

No.2 6点 kanamori
(2010/03/03 20:57登録)
天才華道家の死の謎をめぐる連作ミステリ。
読者を惑わすこの仕掛けは連城三紀彦を想起させる。気持よく騙されました。

No.1 7点 じゃすう
(2003/02/25 01:16登録)
「花面祭」
いい意味で、かなりやられました。連作短編としても面白かったのですが、やはり最後にきれいにまとまるのは読んでいてすがすがしいです。
しかしこの作者さんは、探偵役というものにたいして何か思う所があるんでしょうか……?
「神曲法廷」といい、いろいろと邪推してしまいます(笑)

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