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ミステリの祭典

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濱地健三郎の呪える事件簿
心霊探偵・濱地健三郎シリーズ

作家 有栖川有栖
出版日2022年09月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 6点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2024/05/13 14:04登録)
怪異と論理の切れ味で、時に哀しみまで交えて語る心霊探偵シリーズ第三作。
今回特に注目すべきは、執筆時のリアルタイムを反映し、コロナ禍中においていったい怪異はどのように現れるのかを追求した点にある。そして、社会状況に応じて様態や人間側の受け止め方に変化はありつつも、決して怪異自体は途切れることはない、というあたりに作家としての矜持が垣間見える。
また、ミステリにおける探偵という存在について心霊探偵ならではの、つまりホラーであればこそのアプローチをしているところも興味深い。

No.2 5点 HORNET
(2023/02/23 20:39登録)
 霊視ができる心霊探偵・濱地健三郎シリーズ第三弾。
 著者の魅力は、探偵がフーダニットの事件を解決するというオーソドックスなスタイルへではあるので、これは変化球のシリーズ。やはり一番好きなのは著者の本格作品だが、これはこれで素直に楽しめる。
 「戸口で招くもの」は、光景を想像するとゾッとするものがあり、本作品集の中では一番良かったかな。「囚われて」なんかは完全なホラー。著者のファンは、上記のようなミステリを期待している人が多いと思うので、「こういうのもそれはそれで面白い」と思うか、「有栖川有栖に求めているのはこういうのじゃない」と思うか、きっと評価は分かれるだろう。
 私は前者なので、シリーズが続くのであれば読みたい。

No.1 7点 虫暮部
(2022/12/22 16:31登録)
 このシリーズ、巻を重ねるにつれて有栖川有栖の本道から斜めの方向へゆっくり逸れて来た感じ。収録作品から “謎” が減ったのは、作者が変節したわけではなく、その系統は純ミステリ作品の方で書くからだ、と希望的観測をしたい。但し、代わりに台頭して来た “シンクロニシティ” は、純ミステリに於ける “名探偵” の意義付けにも重なりそうなテーマだから、根っこはつながっているのだ。「伝達」のラストに薄ら寒さを感じた。

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