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ミステリの祭典

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夏休みの空欄探し

作家 似鳥鶏
出版日2022年06月
平均点7.00点
書評数4人

No.4 7点 よん
(2024/10/23 11:20登録)
成田頼信は、会員2名のクイズ・パズル研究同好会所属の高校生。夏休みのある日、店で隣り合わせた姉妹の手元にあった暗号を見た彼は、つい解読してしまう。かくして彼は、七輝とその姉の雨音とともに、ある富豪が残したという数々の暗号に挑むことに。同級生の清春も加わって4人で過ごす夏休みは、七輝に惹かれていく頼信にとって忘れられない日々に。
姉妹との出会い、そして妹への想い、さらに自分とは別世界の住人と思っていた同級生の知らなかった一面を見て、頼信の世界は広がっていく。暗号を解読することが、頼信と七輝の関係の進展と重なり合う、そのプロセスを丁寧に描いているからこそ、全体の構図が明かされた瞬間の頼信の痛切な思いも、読む者の胸を打つ。

No.3 7点 ぷちレコード
(2023/10/23 22:35登録)
主人公は、会員が二人しかいないクイズ・パズル研究同好会会長の高校二年生ライ。夏休みが始まったばかりのその日、駅前の店で二人の姉妹が隣の席で暗号解読に苦心しているのを見る。
ライは数字だらけの暗号を盗み見てすぐに解いてしまい、解答を残して店を出るが、二人は追いかけてきて協力を求める。暗号はほかにもあるという。こうしてライは大学二年生の立原雨音と妹で高校一年生の七輝と知り合い、クラスの人気者であるキヨを交えて暗号を解いていくことになる。
キヨはライにとって敬遠する相手で、仲良くなることなどないと思っていたのに友情が芽生え、それぞれ姉妹とのほのかな恋心も育むようになる。暗号の問題を解くことがやがて恋心を解くことにもつながり、最終的には思いもかけない真相へと到達する。もの悲しくも温かな物語。

No.2 7点 人並由真
(2023/02/19 07:59登録)
(ネタバレなし)
 あとがきで、作者にとって初めて「青春小説」を意識して書いた作品とある。
 それだけ切り取って聞くと、えー、ウソでしょ、これまでいくつかそういうのあるじゃん、という感じだが、これに関しては今回はそこまで本気度の高いもの、ということで了解できる。そんなタイプの作品。

 おっさんも十分に楽しませてもらったが、やはりこれはリアルタイムで若い人、せいぜい二十代半ばくらいまでの読者が読んでおいた方が心に刺さるだろう。これからそういう出会いができる方が、ちょっとうらやましい。

No.1 7点 まだ中学生(仮)
(2022/09/18 21:49登録)
部員二人のクイズ研究会会長で高校二年の成田頼伸(ライ)は、クラスで「じゃない方」と呼ばれている。同じ名字でダンス部所属の人気者、清春(キヨ)が同級生だからだ。キヨとは仲良くできないと感じていたライだったが、夏休みのある日、ひょんな縁で出会った姉妹も一緒に、四人で暗号を解くことになる。
謎の人物が作成したクイズに挑む青春恋愛ミステリ。問いの答えは次の問題の在りかを示し、四人は各地を移動しながら出題者を追うこととなる。
友達が少なく、会話も苦手なライはキヨに劣等感を抱き、一方のキヨは自分にライほどの豊富な知識がないことを嘆く。友情を深める過程で互いの長所を発見し、それぞれの恋を応援する様子がほほえましい。

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