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ミステリの祭典

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パラレル・フィクショナル

作家 西澤保彦
出版日2022年03月
平均点5.25点
書評数4人

No.4 6点 HORNET
(2025/03/08 21:44登録)
 久志本刻子(ときこ)とその甥・有末素央(もとお)は、未来に起きる出来事を夢に見る、「予知夢」を見る体質をもつ。その2人が、刻子の息子の婚約披露パーティで殺人事件が起こる予知夢を見た。殺人を回避するために、夢とは違う行動をとる素央、推移を見守る刻子。結果現実に起きた出来事と夢とを照らし合わせ、真実を探ろうとする。果たして殺人は阻止できるのか、そして真犯人は―

 ちょっとややこしさはあるものの、予知夢を見る能力がある2人が、夢で起こったことと現実でとった行動とを引き比べながら、答え合わせのように真相を探っていくという展開はなかなか面白い。後半はさらに構造が複雑化していくが、ミステリとしても一段深化する。
 設定の特異さによるところも大きいが、ミステリとしても面白かった。

No.3 5点 パメル
(2025/01/27 19:44登録)
久志本刻子と甥の有末素央は、予知夢の能力を持っていた。本作の特殊設定は未来に起こる出来事を夢で見る能力の存在である。いわゆる予知夢の設定を活かしたいくつかの妙があって、その一つが血族二名に同じ能力が現出している点。互いの認識を補完し合う過程に妙味がある。冒頭で明かされる夢の内容は、資産家一族が集まった別荘で次々と惨殺されるというものなのだが、さらにややこしいのはその事件が起こらなかったのはなぜなのかという問題が発生していること。つまり本作は、現実には存在しない事件の犯人の動機に迫るという奇妙な目的から始まるわけである。
起こらなければそれでいいとはならないのが設定の妙。悪意の所在を推理する過程で、異能力を逆手にとったツイストが幾重にも仕掛けられ、物語はますます複雑さを増していき、全ての関係者が特殊状況に飲み込まれていくラストに背筋が凍る。この構成が巧い。西澤作品を読み慣れている人は、仕掛けに気付くかもしれないが、そこにさらに捻りを加えているところが作者らしくていい。

No.2 4点 虫暮部
(2022/07/26 16:52登録)
 ネタバレ気味だが――結末のように予知能力を主人公以外にも解禁してしまうと、じゃあ他にも能力者がいるのでは、という話になる。すると、その人も予知夢への対応(実現もしくは改変する為)として行動をしたのかもしれない。
 読み終えて振り返ると、作者の意図とは全然違った風景、予知夢能力者達による、先読みと潰し合い合戦のようなものが見えたりして。
 そしてまた、夢に夢を重ねてしまうと、最終ページは本当に現実の出来事なのか、確言出来なくなってしまう。夢オチは怖いんだよ。

 “プロバビリティの犯罪” なるタームは、ミステリ用語として別の概念が確立されているので、他の言い方を考えるべき。

No.1 6点 sophia
(2022/05/19 17:20登録)
第二部までは面白かったのですが第三部で失速。××の予知夢の見方が都合よすぎて醒めてしまいましたし、ひねりすぎたせいでタイムパラドックスが生じてしまっています。「七回死んだ男」は完成度が高かったなあと再認識する結果となりました。もうひとつ付け加えるとするならば、作中で描かれる男女の歪んだ関係性がどうにも気持(以下自粛)

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