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ミステリの祭典

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死はわが隣人
モース主任警部シリーズ

作家 コリン・デクスター
出版日1998年03月
平均点5.20点
書評数5人

No.5 3点 レッドキング
(2021/12/03 18:11登録)
デクスター(長編)第十二作。終末にかけてさらに頁分量を増すモース警部シリーズ。オックスフォード大学(university)の一大学(college)の学長(学寮長て言うらしい)の地位を争う二人の教授(研究員て言うらしい)とその妻と関係者達。
一見、大学とは何の関係もない住宅街で起きる連続殺人と、WhoWhyダニットで繋がれて・・その真相は・・・・
もはや、アリバイトリック以外に何の期待もしないデクスターミステリだが、第一殺人のWhyはチョビっとユニーク。

No.4 7点
(2020/09/29 10:03登録)
 オックスフォード大学ロンズデール学寮長選挙のさなか、ブロクサム通りの北側にならんでいるテラス・ハウスの一軒で殺人が発生した。被害者は同僚とともに独立開業したばかりの若き物理療法士、レイチェル・ジェームズ。彼女は裏窓のブラインド越しに首の下を銃で撃たれ、明るいとび色の髪を血の海にひたし台所の奥に倒れていた。
 テムズ・バレイ警察のモース主任警部は朝食どきに起こった銃撃の謎を追い始めるが、被害者が人から恨みを買っていたとはとうてい思えない。だが一癖も二癖もある隣人たちの錯綜する証言から、やがて殺人事件と学寮長選挙との意外な接点が浮かび上がってくる。手がかりを掴んだと思った矢先病に倒れたモースは、糖尿病治療の苦痛に耐えながらなおも事件の真相に迫ろうとするが・・・。現代本格ミステリの最高峰、モース主任警部シリーズついに佳境へ。
 1996年発表。『カインの娘たち』に続くシリーズ十二作目で、本来ならばモース最後の事件になるはずだった長篇。そのせいか最後の絵葉書の趣向に見られるように、人間モースを浮き彫りにするようなエピソードがいくつも見られます。シリーズ自体は読者の懇請の結果、次作『悔恨の日』であのような結末を迎える訳ですが、生みの親としては希望を持たせる形で終わらせたかったのかもしれません。
 序章、終章を含めて全七部と分厚い割に、途中まではややたるんだ感じ。鏤められた仮説や衒学趣味ほか各エピソードで引っ張るものの前作以上にイマイチな展開が感興を削ぎます。
 〈残念だけどシリーズでも下の方かな〉と思って読んでたら、第四部以降の半ば過ぎから急速に挽回。学寮長選挙を戦うジュリアン・ストーズとデニス・コーンフォード、二人の候補者それぞれの夫婦模様がクローズアップされ、主人公の疾病も一役買って決着。さらに保養地バースの高級ホテル〈ロイヤル・クレセント〉での素晴らしいエンディングからモース警部のミドル・ネームが明らかになるなど、『悔恨の日』でなくこちらが〆でも良かったような気もします。現行の形がよりベストなのは分かりますが。
 『カイン~』、本書、『悔恨~』の三冊で一括りとも言えるんですよね。尖ったスタートをした割には、また別の良さを出して上手くシリーズを纏めたなと。第十作『森を抜ける道』辺りから、小説創りは飛躍的に向上してます。ミステリとしては大した事ないかもしれないけれど、本書をプッシュする人の気持はよく分かるなあ。
 デクスターもコンプリートしたので、即席の順位を以下に掲げます。偏った読み手の偏ったランキングなので、まあ参考程度に。
 ①キドリントンから消えた娘 ②ウッドストック行最終バス ③カインの娘たち ④死はわが隣人 ⑤森を抜ける道 ⑥死者たちの礼拝 ⑦ジェリコ街の女 ⑧悔恨の日 ⑨モース警部、最大の事件 ⑩謎まで三マイル
 次点は第九作の『消えた装身具』。十位をどっちにするか迷った以外は、ほぼ順不同です。

No.3 5点 nukkam
(2016/05/29 15:30登録)
(ネタバレなしです) 1996年発表のモース主任警部第12作で、もともとは本書がシリーズ最終作の予定だったとか。初期作ほど面白く感じられないのはモースがきっちり説明しないで事件が片ついているからでしょうか(謎解き伏線はほのめかされてはいますけど)。もっともモースのファンなら前作「カインの娘たち」(1994年)に引き続き体調不良のモースを心配したり、ついに明らかになるモースのファーストネームですっきりすればいいのかもしれませんが(笑)。それにしても断片的な会話が多くて読みにくかったです。

No.2 4点 了然和尚
(2015/10/28 17:21登録)
モーズ作品中では最もイマイチ。特に1件目の殺人の起こる前半部分が面白くない。前作から、作品中の謎よりモースの健康が気になって読んでいたせいか、中盤の後半で入院(糖尿病なんや)したあたりからテンポが良くなり、ちょっと面白くなります。(相変わらず他人事とは思えんな)
 結局、平凡な替え玉によるアリバイトリックとか、いつもにも増してどうでもいい真犯人とかで評価は低くなりますね。ま、シリーズも残りあと1冊ですので頑張ります。

No.1 7点 あびびび
(2015/06/06 00:54登録)
「ウッドストック行き最終バス」、「キドリントンから消えた娘」と、この作家の有名作を読んだが、まったく自分には合わなかった。それから図書館で目にしたこの作品、最終的な挑戦で手に取り、読んだが…。

ある程度作風を理解していたせいか、今回は障害(途中放棄)なく、一気に読めた。主人公のモース主任警部は相変わらず好きにはなれないが、今回の事件捜査の進行、犯人像は共感できるものであり、英国風ミステリを堪能できたような気がする。

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